<2>旧端末への対応も考慮された『武器よさらば』開発事例
続いてはWright Flyer Studiosのルイス・パオリーノ氏より、同社が開発する『武器よさらば』と『釣りスタ★VR』の開発事例が紹介された。ルイス氏は10年ほどコンシューマーゲームやVRタイトルなどの3Dゲーム開発に携わってきた経歴を持ち、現在はテクニカルな部分や、ワークフロー、パイプライン、アートの管理などを行なっている。
『武器よさらば』リード3Dアーティスト
ルイス・パオリーノ氏(Wright Flyer Studios)
Wright Flyer Studiosの変遷。同社では社内勉強会なども活発に行われている
『武器よさらば』
ジャンル:「大人の漢専用」アクションRPG
料金:基本プレイ無料(アプリ内購入あり)
fta.wrightflyer.net
©Wright Flyer Studios
『武器よさらば』は昨年3月にリリースされたアクションRPGで、3Dフィールド上に100体以上存在する敵を薙ぎ倒していくといった内容のスマホ向けゲームだ。同作では背景とメインキャラクターが3DCGで描かれている。古い端末にもできる限り対応しており、iPhone 4sでも30fpsでプレイできる点が特徴と言える。開発に使用されたツールは以下の通り。
モデリング:Maya 2016
テクスチャー:Substance Painter 2 / Photoshop CS6
エンジン:Unity 5.3.x
データ管理:Github / BOX
キャラクターメイキングについては、名前や身長、バックグラウンドストーリー、デザインのポイントなどを企画側が用意し、これらの特徴をコンセプトアートに落とした後に3面図化、その後、3DCGモデルを作成するというワークフローとなっている。
コンセプトアート
リグ周りは古い端末でも対応できるように指や脚部をかなりカットしており、一箇所だけを回転すれば足が動くような設定になっているほか、武器を配置する箇所にロケーターを配置し、武器の切り替えはプログラムで制御する仕組みとなっている。なお、男性と女性は別リグで、ジョイント周りは2種類作成し、それぞれUnity上でアニメーションを使い回せるような形となっている。
また、揺れものについては各キャラクター4ヶ所程度にとどめ、UnityのDynamic Boneを用いて動的に見せている。Dynamic Boneはモバイルでのパフォーマンスも良く、細かな装飾品やマントなどに適用することで、キャラクター固有のモーションを付けることなくリアルタイムな揺れが表現可能だ。
揺れものの表現にUnityのアセットDynamic Boneを用いることでアニメーションコストを削減
一方、背景は非常に細かくつくられており、こちらは3Dアーティストがコンセプトアートを確認した後、どのような形でアセットを切り分けていくのかを考えながら制作していったとのこと。
雨や雪などの環境エフェクトについても用意したポリゴン板をカメラ内に表示させ、移動させることでそれらしく見える仕組みを採用し、なるべく負荷を減らす形で数多くの表現を実現している。また、コンセプトアートとゲームのグラフィックスがかけ離れているとユーザーが違和感を覚えるため、「誇大広告を避けるためにApp Storeなどに掲載するスクリーンショットは全て3DCGモデルのものを使っている」と説明した。