>   >  2Dを超えた"3D視点の制作環境"へ―VR空間でのドローイングの実現を目指すワコムによる「Wacom Creators' Symposium」レポート
2Dを超えた"3D視点の制作環境"へ―VR空間でのドローイングの実現を目指すワコムによる「Wacom Creators' Symposium」レポート

2Dを超えた"3D視点の制作環境"へ―VR空間でのドローイングの実現を目指すワコムによる「Wacom Creators' Symposium」レポート

<3>3年間のVRゲーム開発における3D制作フローの進化と課題
by GREE VR Studio

Luis Paolino氏(グリー株式会社 Wright Flyer Studios事業本部 VR Studio部 3Dチームマネージャー&リード3Dアーティスト)

続いてはGREE VR StudioのLuis Paolino氏が登壇し、同社のVRタイトル開発事例が紹介された。GREE VR Studioは現在26名のチームで、マネージャーが5人と比較的多いのが特徴。NVIDIA GeForce GTX 1080を搭載したPCが全スタッフに用意され、社内では数多くのVR機器が自由に触れるようになっている。

Luis氏を筆頭に3Dアートチームが編成された当時は、まだGREE自体に3Dゲームの開発実績がなかった。そこで、まずは東京ゲームショウ 2015での発表を目指し、4ヶ月という短いスパンでPC向けのVRタイトルを制作したという。そのときリリースされた『サラと毒蛇の王冠』(2015)は協力プレイ型のVR謎解き脱出ゲームで、PhotoshopとMaya、Unityのみを用いたレガシーなワークフローで制作されていた。

次作『シドニーとあやつり王の墓』(2015)はスマートフォン向けVRゲームとなったが、ここではUnityのワークフローの改正を行い、また端末ごとのポリゴン数などの検証を行なったとのこと。続く『乖離性(かいりせい)ミリオンアーサーVR』(2017)ではモーションキャプチャ周りやフェイシャルなどもつくり込むようになったとLuis氏は説明する。

乖離性ミリオンアーサーVR 公式プロモーションムービー

その後開発された『ようこそパニックマンションへVR』(2017)は、タブレットで撮影した自分の写真が3Dアバターとなり、仲間と一緒にゴーストを退治するという内容のVRマルチプレイ・ガンシューティングゲーム。3D空間上で記念撮影ができ、それをシェアすることも可能だ。同作ではGREEとして初めてディファード・レンダリングが用いられている。背景オブジェクトに事前にライトベイクを行うフォワード・レンダリングと比較すると、アンチエイリアスが効かない等の不利な点もあるが、ダイナミックなライティング表現を実現するためには不可欠な手法だったとのこと。

現在の同社最新作は『釣り★スタ VR』。今作からはZBrushを用いることで、同じスカルプトモデルからローモデルとハイモデルをエクスポートできるようなかたちを採った。また、今作からはSubstance Painterも併用している。

このように回を追うごとに使用ツールが増え、ワークフローの改善が行われている3Dアートチーム。2015年にはMayaとUnityのみの利用だったが、今では5倍近くの数のツールを用いている。この理由についてLuis氏は、「毎回のプロジェクトを同じワークフローのままで開発するとスピードは上がるが、クオリティは変化しない。クオリティを上げるためにはワークフローを更新しなくてはいけない」と説明。まとめとして、Luis氏は「VRゲームはファミコンと同じような企画方法ではいけない。どのような体験をユーザーに与えたいかという視点で企画者もゲームエンジンを扱うべき」とし、VR開発を始めたい会社に対しては短期間でプロジェクトを回していく方法が適していると述べた。

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by Luminous Productions

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