>   >  2Dを超えた"3D視点の制作環境"へ―VR空間でのドローイングの実現を目指すワコムによる「Wacom Creators' Symposium」レポート
2Dを超えた"3D視点の制作環境"へ―VR空間でのドローイングの実現を目指すワコムによる「Wacom Creators' Symposium」レポート

2Dを超えた"3D視点の制作環境"へ―VR空間でのドローイングの実現を目指すワコムによる「Wacom Creators' Symposium」レポート

<5>登壇者全員によるパネルディスカッション

写真左から 井出信孝氏、石丸健二氏、Luis Paolino氏、岩崎 浩氏(株式会社Luminous Productions チーフプログラマー)、上野功士氏、玉野 浩氏(株式会社ワコム)

午前の部の締めくくりとして、登壇者全員によるパネルディスカッションが行われた。登壇したのは井出信孝氏、石丸健二氏、Luis PaoLino氏、上野功士氏ならびにLuminous Productions チーフプログラマー 岩崎 浩氏の5名。なお、ファシリテーターとして、株式会社ワコムの玉野 浩氏が登壇した。

冒頭、玉野氏から「新しい体制のワコムに求めるものは?」という質問が投げかけられたが、これに対し石丸氏、Luis氏両名は紙やペンに変わるVR空間での開発環境の進化に期待を寄せた。また、岩崎氏は描き心地に対する触覚フィードバックについて言及し、上野氏も、触覚にも「不気味の谷」現象が起こる可能性を指摘した。その上で、井出氏も「部分的なところを最適化するのではなく、全体の文脈をどう表現するかというアプローチに(不気味の谷を)渡るヒントがあるかも知れない」と語った。

続いて、玉野氏より「今後デバイスが進化した際、VRとMRのどちらが制作環境に適しているか?」というテーマが提示された。これに対しては全員が「(両方良し悪しがあるが)現時点ではVR」としながらも、上野氏は「人間の身体、思考、リアルな部分の良さをさらに引き出していくMRに可能性を感じる」と語り、岩崎氏も「小型独立化したMR機器なら、着けたまま日常生活が送れる利点もある」と補足した。これに対し井出氏は「MRの場合は着けたまま他人とリアルなコミュニケーションが可能な点で優位」とし、どちらもワコムとして追求していきたいと語った。

パネルディスカッションの終わりには、2D(=既存の手描き手法)と3D(=VR空間での作業)、どちらで作業を行うべきかという議論も行われた。最初に回答した上野氏は「用途次第で選択できるというのが一番。やりたいことに対する手段としてマッチする方を選択できるのがベスト」と語った。続く岩崎氏は、VRデバイスが一般に普及していないことを問題とし、「VR専用タイトルをつくるのではなく一般的なゲームのVR化を行うことで普及に努めたい」とした。Luis氏も上野氏と同様どちらかにふり切るという考えはなく、「3D空間に3Dで描いていくとしても、ベースとなるラフは紙やホワイトボードに描かれている。結局はコンセプトアートに戻る必要が出てくる以上、現状どちらかにふり切るのは困難」と説明した。石丸氏は「現状ではまだスピード感は紙と鉛筆が優れている。ただ、今までVRでの制作経験のない私でも、いきなり3Dの中で造形ができたりする。技術が変われば速度感も変わるので、今後に期待したい」と展望を語り、午前の部が締めくくられた。

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