<3>会場での質疑応答
最後に、会場で交わされた質疑応答の一部を紹介する。
Q:測量関係の作業量はどの程度ですか?A:ドローンによる撮影は2〜3時間、基準点の設定に1日、地上レーザーでの計測は2台同時計測で5日。
Q:たくさんポイントクラウドが取得できているので、そこからポリゴンを作りたい。何か試みは?A:トンネルや橋などは、ポイントクラウドからソリッドモデルを作成する研究が以前から行われている。トンネル用、橋用など特定の用途であればある程度利用できるが、今回のようなスタジアムは構造が複雑なため、なかなか一般的なツールを適用するのは難しい。
Q:ポイントクラウドやメッシュデータ、点群データからのポリゴン生成を自動化するツールがあるが、そういうツールが使えない理由は、クオリティの面で満足いかないから?A:ソリッドモデルだと扱いやすいが、ポイントクラウドやメッシュデータでは重すぎて今回のような用途には向かない。一般的にメッシュデータのまま扱えるのは地形のみ。構造物はソリッドデータにしないとデータ量と汎用性の面で扱えず、他のデータ形式は向かない。
Q:レーザースキャンする計測機の設置の基準点は? 経験によるカン?A: 今のところカン(笑)。計測器の位置を逆算しているが、その方法も3パターンくらいある。フォトグラメトリーにしたデータを参考にソリッドデータを作成している。
Q:図面立てしてからソリッドモデルにしている? 建築でいうところの三面図を作っているということですか?A:その通り。建築系の図面からソリッドモデルを起こすのは、その作業に慣れたメンバーが担当した。
Q:基準点というのは、何点? 複数点があったとすると見通しがある?A:基準点は複数点。バック点といって少なくとも2点ないといけない。今回は8点、内部と外で4点、角に置いた。それぞれ見通しがきく状態だった。
Q:SfMの処理、ツール、実行環境は?A:3種類くらいのソフトウェアを組み合わせて利用し、最も良い結果のものを使っている。業務用市販ツールと、自社開発のものも利用した。実行に2日かかるものもあれば、すぐできる場合もあり、かかる時間はクオリティの設定次第で変わってくる。今回のものは、2日ほどかかった。マシンはGPU搭載のPC1台で、今のところ分散処理はしていない。