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ハードウェアメーカー発の無料レンダラ、AMD Radeon ProRenderを徹底検証>>No.2 アドバンス編

ハードウェアメーカー発の無料レンダラ、AMD Radeon ProRenderを徹底検証>>No.2 アドバンス編

ArnoldとRadeon ProRenderの、レンダリング速度&画質を比較

Radeon ProRenderは、OpenCLを使用した、GPUでもCPUでもレンダリングできるフォワードパストレーサーだ。対してArnoldは、元々はCPUベースのフォワードパストレーサーだったものを、NVIDIAのGPUでも動くようにしたものだ(2019年7月現在、Arnold GPUレンダラは開発中であり、検証にはベータ版を使用した)。

OpenCLと、NVIDIAのCUDAひとつとってみても、単純に比較できるものではないが、ユーザーからみれば、どちらもGPUを使うレンダラだ。単純なシーンと、テクスチャやライトを多用した複雑なシーンの2つを用いて、レンダリング速度と画質を比較してみた。なお、画像サイズはいずれも1,920x1,080とした。

・Maya 2018+Radeon ProRender 2.6.294.の検証環境
CPU:Ryzen Threadripper 1950X, Core i9-9900K
GPU:RTX 2070, Radeon Ⅶ

・Maya 2018+Arnold MtoA 3.2.1.1.の検証環境
CPU:Ryzen Threadripper 1950X, Core i9-9900K
GPU:RTX 2070


・単純なシーン

▲シーンデータ。Maya 2018のコンテンツブラウザにある、MASH_greeble.maにレンダラ専用の標準シェーダを割り当て、IBLでライティングした


▲レンダリング結果


▲【左】ArnoldはStanderd Surfaceシェーダ、【右】Radeon ProRenderはRPR Uber Materialを割り当てた。それぞれのシェーダの値は同じにしてある


  • ◀レンダリング時間はレンダリング設定によっていくらでも変わってしまうため、あえてレンダラの開発元が設定したデフォルトの値でテストしている。サンプリングのクランプは、両者ともOFFにして条件を合わせた。左はArnoldのレンダリング設定


▲Radeon ProRenderのレンダリング設定


▲レンダリング速度の検証結果


Arnold+GPU(RTX 2070)のレンダリングは飛びぬけて速いが、Arnold+CPUでは逆に遅い。サンプル数によってレンダリング時間が増減するArnoldとはちがい、Radeon ProRenderは指定したイテレーション数に達するまで計算を行うので直接比較はできないが、Radeon ProRender+CPUのレンダリングでは、なぜかCPUを変えてもレンダリング時間に差が出なかった。

▲画質を比較するために一部を拡大してみた


ArnoldはCPUベースで開発されたレンダラなので、CPUを使った場合には、レンダリング時間はかかるがノイズは少ない。一方で、GPUを使った場合には、レンダリング速度はかなり速くなるが、デフォルトのサンプル数ではノイズが目立つ(前述したようにArnold GPUレンダラはベータ版のため、仕様が変わる可能性がある)。

Radeon ProRenderは、OpenCLベースで開発されているため、GPUでのレンダリングが速いのに加え、ノイズが少ない。ただしCPUを使った場合には、Arnoldより短時間でレンダリングできるものの、ノイズが目立つ。


・複雑なシーン

▲複数のテクスチャとライトを使用した、複雑なシーンデータのレンダリング速度も比較してみた


▲レンダリング結果


▲レンダリング速度の検証結果


複雑なシーンになると、Arnold+GPUのレンダリング時間も常識的な範囲に収まってきた。一方で、Radeon ProRenderの場合は、複雑なシーンでもレンダリング速度がそれほど落ちていない。両者ともCPUとGPUではノイズの収束に差がみられたが、同じような見え方に近づけた場合は、ArnoldはGPUのレンダリング時間が、Radeon ProRenderはCPUのレンダリング時間がさらに長くなる。

つまり、Radeon ProRender+GPUのレンダリングが、一番スピードと画質のバランスが優れていると言えるだろう。

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