USDビューワとの親和性を検証
Radeon ProRenderは、Mayaに限らず、3ds Max、Blender、SOLIDWORK、PTC Creo、Unreal Engineなど、様々なアプリケーションからの利用が可能だ。昨今話題になっているPixarのUSDビューワ上でも、Radeon ProRenderが使えるようになった。USD(Universal Scene Description)は、『トイ・ストーリー』シリーズで有名なPixarがオープンソースで公開している汎用的、かつ非破壊編集可能なシーン記述フォーマットで、映像制作のパイプライン上にある大量の3Dデータを、様々なアプリケーション間でやり取りできる。
▲USDビューワはUSDディストリビューションの一部として出荷されているイメージングビューワで、USDデータを視覚化するために最適化されたHydraで描画される
▲Radeon ProRenderは、ビューワ上で動作するパストレーサーとしてUSDへの組み込みが可能で、Hydra並みの速度で、よりリッチな描画を実現している。USDと共にビルドを行えば、ビューワ上のメニューにコマンドが表示される
▲Radeon ProRenderでの描画結果
▲AOVやデバッグ用の表示機能も備えている
Radeon ProRenderの未来
以上の検証結果を踏まえれば、無料で使える汎用的なGPUレンダラであるRadeon ProRenderは、ほかのレンダラに勝るとも劣らない魅力を秘めていると言えるだろう。また、USDとの親和性を活かし、KATANA(※)などのルックデヴ&ライティングツールにRadeon ProRenderを組み込んで使用するパイプラインが普及すれば、映像制作のゲームチェンジャーとなる可能性も出てくる。A.L.I. TechnologiesによるGPUレンダーファームの新サービスが、その可能性をリアリティあるものに変えてくれるだろう。
※KATANAの詳細は筆者による下記記事で紹介しているので、合わせてご覧いただきたい。
KATANAによるパイプライン・ワークフロー改善
さらにハードウェアメーカーであるAMDは、この夏、マルチコアを倍増した新型CPUのRyzen 3000シリーズと、次世代GPUアーキテクチャのRDNAを採用したRADEON RX 5700シリーズを発売した。これらのコンピューティングパワーの進化にスケーラブルに対応し、優れたレンダリングパワーを発揮してくれるであろうRadeon ProRenderの未来に注目したい。