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3DCGで背景を効率的に描こう!  漫画制作で使える3DCGの便利TIPS

3DCGで背景を効率的に描こう!  漫画制作で使える3DCGの便利TIPS

<2>コンポジットノードによる線画

線に表情を付けることができ、手描きの線と相性の良いFreestyleですが、いくつか欠点もあります。最も問題になるのがメッシュ同士が交差した面。いわゆる"ぶっ刺し部分"の線が出力できないことです。例えば、学校が舞台の漫画で教室や廊下、昇降口などが出てくるとしたら、それらのシーンごとに複数の背景素材を用意しなくてはなりません。交差部分がないようにモデリングされたモデルを用意できればいいのですが、購入したものやフリー素材を使用することもあると思います。用意したモデル全てをFreestyle用に修正するのも現実的ではありません。

解決方法はいくつかありますが、そのひとつにコンポジターのノードを使用する方法があります。ノードで出力する線は均一になりがちで、CLIP STUDIO PAINTでの修正が必要になる場合もありますが、交差面の線が出ない欠点を補うことができます。ノードでは深度やノーマルといったパスを使用します。詳しくは後述しますが、Eeveeのノーマルパスはマテリアルで設定したノーマルマップの情報も出力されるので、交差面の線だけほしい場合は、それが余計になってしまいます。そこでEeveeのパスの代わりとしてリンクしたシーンとWorkbenchを使います。

1.メッシュ同士が交差した面

Freestyleではメッシュ同士が交差している部分の線が出せません。球体と立方体が重なっている部分には黒の線がないことがわかると思います

2.リンクしたシーンとWorkbenchの設定

[新規シーン→リンクコピー]からオブジェクトをレイアウトしたシーンのリンクしたシーンをつくります

リンクしたシーンの[レンダープロパティ]からWorkbenchを選び、[照明]を[MatCap]、[カラー]を[オブジェクト]に設定します

[ワールドプロパティ→ビューポート表示]のカラーを白色に設定します

基のシーンとリンクしたシーンではレンダリング画像の出力サイズは独立しているので、それぞれのシーンを[出力プロパティ→寸法]にて、同じサイズで設定をします

3.コンポジターのノード

コンポジターで線を抽出するためのノードを組みます。線を抽出するための基本的なノード構成。ソーベルフィルタで色の境界を抽出することによって線を出します。使用するノーマル情報がパスではなく画像素材のMatCapなので精度には欠けますが、Freestyleの補助が目的の使い方であれば問題ないと思います。また、基のEeveeのシーンから深度パスを利用し、合わせて使っても良いでしょう

レンダリング結果です

<3>物のディテールをノーマルマップで描く

漫画の絵の要素はおおまかに、「線」「ディテール」「影(陰)」の3つに分けられます。岩肌や木の表面。石畳やレンガ壁といった物を表現するためのディテールも漫画にとっても必要なものです。しかし、漫画は黒一色で描かれるためにテクスチャ素材をそのまま二値化処理してしまうと、黒くなりすぎたり、写真をそのまま使っているような印象の絵になることがあります。絵柄によってはそのままでも良いのですが、ある程度情報を落としたもののほうが、漫画の絵としては馴染みやすいと思います。

ところで漫画のディテールとはどのようなものでしょうか? ひと口にディテールと言っても汚れや素材感、模様など様々なものが挙げられます。ここでは物の表面の凹凸からできる小さな影をディテールと考え、コンポジターのノードからEeveeのノーマルパスを使い表面の凹凸の情報を拾うことで、ディテール素材をつくります。試しに立方体に石畳のディテールを施してみましょう。なお、この項ではノーマルマップの画像を「cc0textures.com」からフリー素材をダウンロードして使用しています。

1.漫画の絵の3つ要素

「線」

「ディテール」

「影(陰)」の例です

2.ディテール素材の設定

シェーダエディタで石畳のノーマルマップの画像をマテリアルに設定します。今回はノーマルマップノードの強さの数値を0.2に設定しました。二値化を前提とした情報量を落とすためです

コンポジターで線抽出用の基本的なノードを組みます。ノーマルノードの球体をドラッグすることで、抽出される線を光源の位置を変えるような感じでコントロール可能です。また、カラーランプでも抽出線の出現密度を操作できます。ビューノードを使えばリアルタイムで変化を確認可能です。これらと先のシェーダエディタのノーマルマップノードの数値と合わせて好みの設定を見つけてみてください

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<4>アンビエントオクルージョンを利用したカケアミ

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