<3>使用ツールを問わず、エフェクト制作の一助になる書籍を目指した
ーー今回の書籍化は、連載当初から決まっていたのでしょうか?個人的には、連載当初から書籍化を目指してはいました。連載から1年ほど経った頃に編集部から「記事が貯まって来たら書籍にしてみませんか?」とお話をいただき、3年経った今ようやく実現したのです。今になって読み返すと内容のクオリティに納得のいく部分いかない部分それぞれありますが、何とか綺麗にまとめていただいてありがたいです。
連載では、爆発や火花など基礎的なエフェクトはもちろんのこと、「衝突試験」や「橋の爆破解体」といった風変わりなもの、応用例として物理現象の組み合わせでつくる創作エフェクト等様々なテーマを紹介しました。書籍化にあたっては全38回の作例の中から22回分をより抜いて炎、水といったジャンル別に分類し、画像を大きく配置したり連載の内容に加筆したり等、今まで連載を見てくれていた人にもより読みやすくなるよう考えた構成にしています。
「橋の爆破解体」
本書では、自分で調べると大変なエフェクトにまつわる物理現象のしくみが、22のテーマ別に手っ取り早く理解できます。物理現象を知り、基本的なつくり方を理解し、本に書いてあるしくみを応用していけば、思い通りのエフェクトをCGソフトを問わずにつくることができます。
ーーエフェクトアーティストを目指す皆さんに、アドバイスをお願いします。色々とお話ししてきましたが、実はエフェクト制作ではアニメーションやモデリングのように「必ずこうしろ」というルールはありません。もちろんチーム制作を踏まえたワークフローなどはあると思いますが。制作方法は手描きでもシミュレーションでも良いんです。手描きの方が良いときも、パーティクルエフェクトが効果的なときもあるでしょうし、この書籍で紹介している手法も数多ある解のうちの1つに過ぎません。
エフェクトアーティストを目指している人も、現在エフェクト制作に携わっていてよりステップアップをしたいという人も、自分がより良いと思う制作方法を常に模索しながら、楽しくエフェクト制作を続けていってほしいなと思います。その中でもし不安になったら、色々な映像やチュートリアルと一緒にこの書籍を見てもらえるとありがたいですね。
本書籍の刊行を記念した無料セミナーが、11月7日(火)に開催予定だ。書籍に掲載したテーマを例に、制作の裏話や失敗談、JAXAへの取材レポートなどここだけでしか聞けない話題が盛りだくさんなので、ぜひ足を運んでほしい。
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「イラストでわかる物理現象 CGエフェクトLab.」出版記念セミナー
日時:2017年11月7日(火)19:30~21:00
場所:ボーンデジタルセミナールーム(九段下)
参加費:無料(要事前登録)
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