<5>物理シミュレーションによる雪の表現
――また今回、私がこの映画で最も感心したのは、映画史上最大規模だと思われるクライマックスの雪崩シーンですが、ここのご苦労についてお聞かせ下さい。
レモン:このシーンは非常に苦労しています。まず我々は、膨大な量のドキュメンタリーやストックフッテージを集めて研究したのですが、実際の雪崩の場合、雪が舞い上がって樹木がすぐに見えなくなってしまうんです。でも我々は湿って重い雪を表現したかったので、樹木が押し倒されていく様子が映っている映像を探しました。そして次に、雪崩をキャラクターのように扱うしくみを考えました。つまり特定の人物に襲いかかっていけるように、恣意的なアニメーションと、物理シミュレーションを組み合わせることを可能にしたものです。
この他にも、今回開発されたファー・システムの機能として、毛に雪が舞い降りてくっついたり、逆に振り落とされたりする様子のシミュレーションが可能になり、雪に覆われた地形を歩くときの反応も表現できるようになりました。
<6>立体視に関して
――今回、ネイティブS3D撮影と2D/S3D変換の割合はどのくらいですか?
レモン:前作の『猿の惑星: 新世紀(ライジング)』では、ネイティブS3Dが基本で、20ショットほどが2D/S3D変換でした。変換に頼った主な場面は、爆発などのシーンですね。危険過ぎて、S3Dカメラを近距離に設置できなかったのです。でも今回はオール2D/S3D変換です。理由は、監督がArri Alexa 65という大きなカメラの使用を望んだからで、全ショットを単眼で撮影しています。そして、Stereo Dにファイナルショットを渡すと同時に、様々なインフォメーションを提供し、変換の助けにしてもらいました。
映画は三部作の最後を飾るにふさわしく、重厚な出来になっている。1画面に登場するエイプ(類人猿)の数や密度も非常に高く、自然であるがゆえにCGキャラクターだということを忘れがちだが、これは相当にすごいことである。インタビュー中にも触れているが、CGキャラクターが実写の俳優と接触する場面も多く、コンポジットやロトスコープのスタッフの苦労がしのばれる。ぜひストーリーを味わうためと、技術を分析するために、2度以上の鑑賞をオススメする。
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映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』
10月13日(金)全国ロードショー
監督:マット・リーヴス
出演:アンディ・サーキス、ジュディ・グリア、ウディ・ハレルソン
配給:20世紀フォックス映画
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