>   >  「高校時代は0点以外、とったことがなかった」 風変わりな父親から多大な影響を受けた秋元純一のアーティスト人生(前編)
「高校時代は0点以外、とったことがなかった」 風変わりな父親から多大な影響を受けた秋元純一のアーティスト人生(前編)

「高校時代は0点以外、とったことがなかった」 風変わりな父親から多大な影響を受けた秋元純一のアーティスト人生(前編)

<4>専門学校でHoudiniと出会う

CGW:高校卒業後の進路はどう決めたんですか?

秋元:最初は美大に行くつもりだったんですよ。というのも、磐高に来たのはいいけれど、どうやってCGの道に進めばいいかわからなくて。いろいろ調べたら、美大に行けばグラフィックができることがわかって。ただ、東京藝術大学はセンター試験があるので無理だなと。

CGW:0点ばっかりだし。

秋元:それでも私立で入試科目が限られていたら何とかなるんじゃないかなと、多摩美術大学や武蔵野美術大学といったところを受けたんですが、案の定、全滅で。絵は良かったと思うんですけどね。親父は「浪人して美大行けよ」と言っていましたが、一刻も早くCGをやりたかった。まだCGをやれないのかと思って悩んでいたら、専門学校の存在に気付いて、3月頃に全部決めました。

CGW:なぜ東京マルチメディア専門学校に決められたんですか?

秋元:昔、新聞に記事が出ていたんですよ。スコット・ロス(※)が日本の専門学校とコラボするといった話で。親父が「こんなのあるんだ」と、話していたのを覚えていたんですね。スコット・ロスといえば、映画『タイタニック』(1997)やジェームズ・キャメロンともゆかりがあるすごい人だよなあ、この人が学校やるんだったら、そこに行ったほうがいいじゃんと。さらによくよく調べてみるとインターンシップ制度があって、Digital Domainにも行けるらしい。それで決めたんです。

※スコット・ロス/Scott Ross
ILMのゼネラルマネージャーなどを歴任し、1993年にスタン・ウィンストン、ジェームズ・キャメロンと3人でDigital Domainを創立。1998年には東京マルチメディア専門学校の名誉技術顧問に就任する。当時ハード、ソフト両面のアドバイスや教材の監修、特別講話などを行なっていた

CGW:何年制だったんですか?

秋元:当時は映像科という3年生のコースがあり、そこに進みました。通常の実習設備とは別に「あすかデジタル工房」という場所があり、そこはDigital Domainと同じ体制を採っていたんですよ。そこでは当時からLightWave、Houdini、Mayaなどが使えました。

CGW:そこでHoudiniに触れるわけですね。

秋元:自分は入学前からすでにLightWaveをがっつりやっていたんですが、専門学校では基礎から始めるので、全部知っていることばかりだったんですよね。それで、最初のうちは地元に戻って遊びほうけていました。ただ、お金もそんなに続かなくて、すぐに東京に戻ってきて。仕方がないから専門学校に行ってみたら、だんだん知らないことが増えてきたんですね。そうこうしているうちに、Houdiniの授業が始まって。

CGW:Mayaはやらなかったんですか?

秋元:MayaとHoudiniは選択授業だったんですよ。当然、大半がMayaを選んだんですね。ただ、Houdiniはマイナーだけど、ハリウッドではわりと使われているツールだという記事を読んで、Houdiniに決めました。

CGW:それはなぜですか?

秋元:いまだに授業でも話すんですが、音楽で言うなら、ロックならその他大勢であっても、ボサノバだったらてっぺん取れるかもしれないぞと。そのくらい分母が少ない方を選ぼうと思って。ただ残念なことに、学校でHoudiniをちゃんと教えられる人がいなかったんですよね。LightWaveの先生がHoudiniも勉強しながら教えるくらいの感じでした。

CGW:わかります。

秋元:もう自習でやっていくしかない、ってことで、いろんな人に聞きつつ、ツールを弄っていたんです。そうしたら、当時Digital Domainに在籍していて、ビザの関係で一時帰国されていた坪川拓史先生(現・Digital Domain FXスーパーバイザー)の授業が始まったんですよ。Houdiniをバリバリやっていて、めちゃくちゃロジカルな人だったんです。その先生の授業で、もう完璧にハマりました。

CGW:それは良かったですね。

秋元:はい。めちゃくちゃ面白かったんですよね。Houdiniってこういう考え方をするんだと、本当に明確にわかったときで。もう、そこから先はHoudiniしかほぼ頭にありませんでした。

CGW:プロシージャル的な考え方が性に合っていたんですね。

秋元:それもありましたし、先生自身の教え方も面白くて。授業で出された課題に対してこっちが何か突っ込んだ質問をすると、ずっと無言で延々と考え始めるんです。でも、学生もいつも2人くらいしか出席していなくて、ほぼマンツーマンでやっているようなものだったから、余計に楽しかったですね。

CGW:ぜいたくな授業ですよね。Digital Domainのトップクリエイターが先生で、学生が2人って。

秋元:なので、それまではわりと遅刻がちだったんですが、坪川先生の授業だけは完璧に出席していたと思います。その後、先生がまた海外に戻ってしまって、3年生のときはうちの社長の宮下善成が講義に来るようになって。

CGW:そこでトランジスタ・スタジオとの接点ができるわけですね。

<後編に続く>
後編は6月15日(金)公開予定です。


  • 「Houdini COOKBOOK +ACADEMY」
    Houdiniを基礎から楽しく学ぶオンライン講座

    公開日程:毎週金曜日公開(予定)
    価格:1,200円(税込)
    ※第一回「Houdiniの基本概念とインターフェイス」は無料公開中
    受講対象:Houdiniをこれから学びたい方、Houdiniの勉強で挫折した方など
    cgworld.jp/special/houdinicookbookacademy

Profileプロフィール

秋元純一/Junichi Akimoto

秋元純一/Junichi Akimoto

株式会社トランジスタ・スタジオ 取締役副社長
2006年に株式会社トランジスタ・スタジオに入社。専門学校時代よりHoudiniを使用し続け、現在CGWORLD.jpにて「Houdini Cook Book」を連載中

スペシャルインタビュー