>   >  ファンとともに作品を育てていきたい〜日本エンタメの風雲児たちが中国・大連にCGスタジオを設立&クラウドファンディングのねらいとは
ファンとともに作品を育てていきたい〜日本エンタメの風雲児たちが中国・大連にCGスタジオを設立&クラウドファンディングのねらいとは

ファンとともに作品を育てていきたい〜日本エンタメの風雲児たちが中国・大連にCGスタジオを設立&クラウドファンディングのねらいとは

クラウドファンディングの目的は
「一番最初の人たちとは気持ちで繋がりたい」

CGW:ところで、Root studioのコーポレートロゴをデザインされたのはさわえさんですか?


さわえ:はい。今回のバーチャルマーケットでも実感したのですが、既存のコーポレートロゴのほとんどは3D空間で使用することを前提にデザインされていないんですよね。ですので、Root studioは3D空間に置いて回したり多角的に見たりしてもおかしくないようなデザインにしました。

野澤:RとTの間のOOがアニメーションして「ROOT」になるようにするというコンセプトです。IT用語に「最も根っこの部分」という意味の「ROOTフォルダ」という言葉があります。そこから、中国に根を下ろして、そこから根をどんどん広げていって大きなスタジオになることを目指す最初のスタートという意味合いも込めています。文字の箇所のOOは無限大の記号で、横から見ると8にも見える。中国では8や赤が縁起が良いとされているので、そこも意識しています。

CGW:拠点が置かれる大連はどのような街なのでしょうか?

野澤:もともと日本のアニメや遊戯機の映像を作っているスタジオが多く、日本のCGスタジオもいくつかあります。大きなところでは日本にもあるBetopさんとか。それに関連するプロダクションが100社くらいかな。結構大きいですね。

野澤: 僕も大連のプロダクションには何度も仕事をお願いしています。知り合いもたくさんいるので、何かがあればとりあえず大連に行ってプロダクションを回っていました。結局はスタジオを作っても、人をゼロから揃えるのは難しいんです。最初はいろいろな会社と連合軍を組まなければいけないので、そういった意味でも大連で作った方が早い。あと大連は中国の中ではそこまで大きな街ではないので、人件費もまだ上海などの大都市に比べて高騰はしていません。

舟越:ひと言で言えばとても良い街でしたね。スタジオを作るために会社さんを回ってみたんです。飛び込みで入っても、普通は「アポを取ってください」と言われますよね。でも、どこもウェルカムで、自分たちにはどんな能力があるのかをプレゼンしてくれました。とても前向きだという印象を受けました。

福原:日本でたとえるとアニメの制作会社が多い中央線沿線のような感じでしたね。

野澤:今はテンセントなどの中国産アニメを作ることが、かなり大きな比重を占めていますね。中国は国産アニメに力を入れているので、スタッフの7割以上が中国の人でないと国産アニメとして認められないんです。そういうこともあって、大連で人をたくさん揃える方が良いんです。

CGW:すでに人は集めているのでしょうか?

野澤:これからはじめます。まずはスタジオを借りるところからですね(笑)。

舟越:ビジネスの話に付け加えて、自分たちでIPを生み出すことについてお話しします。これだけのプロジェクトですから協力者もたくさん生まれると思っています。でもそれで従来のような製作委員会方式で作ってしまうと、許可申請を下ろすだけでも時間がかかるし、ライセンシーもどこにアクセスすれば良いのかすらわからない状態になりがちです。自社でIPを生み出すのは、それを明確にしたかったからなんです。

今回はいろいろなユーザーたちの力が加わってかたちになっていくプロジェクトです。それが途中から「ゲーム化はダメだ」と言われたら、そもそもプロジェクトを立ち上げた意味がなくなって困ってしまう。だからこの作品の投資はこれまでとは異なる方法で集めて、僕たちに決定権がある状態で作っていくようにしました。

福原:今回はあくまでも「商品としての作品」というように、シームレスに見ていこうという感じに捉えています。誤解されがちなのですが、これは"作品"というものを軽んじているわけでは決してありません。例えば『スパイダーマン』シリーズはもう60年近く、原作者のスタン・リーさんが亡くなっても続いています。それは皆で支えているからであって、その方が結果的には作品を大事にすることに繋がるのではないかと思っています。

舟越:今回の制作はストーリーなど細かい部分まで僕ら経営メンバーが見て、それこそケンカをするぐらい意見をぶつけ合っているんですよ。それは普通はしないことですよね。シームレスというのはそういうことで、作家に任せて進めて上手くいったから途中からビジネスにするというやり方ではないんです。最初から経営メンバーがクリエイティブにも入っているので、作品についてよくわかっていますし、作家もいちいち心配しなくてもこちらに託してくれるようなやり方です。

CGW:今回の「モクリプロジェクト」は、クラウドファンディングで資金を集めるそうですが、その理由は?


「モクリプロジェクト クラウドファンディング」メインビジュアル。クラウドファンディングは11月7日(木)開始予定。現在事前登録を受付中

舟越:既存のやり方をしないということは、それだけ大変であって、皆の力がないとできません。「一緒に作っていくぞ」と明言するのにクラウドファンディングはとても良い場所です。クラウドファンディングの会社さんたちもとても前向きで、「ものすごく良い取り組みだ」とバックアップしてくれています。

福原:クラウドファンディングというスキーム自体が良いのかなと思っています。コンテンツの成分を分解すると、「お金をもらう」「時間をもらう」「気持ちをもらう」の3つの要素に分解できます。その「気持ち」の部分が、コンテンツがヒットする上では最も大事なことなんです。

福原: クラウドファンディングを通じて、僕たちが何かリターンを提供するというよりは、僕たちの大きなものになるかもしれないというプロジェクトや、その思い自体に対してのファーストサポーターを求めているんです。だから「支援してくれたらCDをあげます」といった物とお金の交換ではなく、気持ちとの交換にしたいなと思いました。

ファーストサポーターの後には、「『モクリ』って何ですか?」というところから会話が始まる普通の企業の人たちと話をしなければいけない。そのときに、味方がすでにこれだけいると示すことができるクラウドファンディングはとても武器になるんです。形の見えないエンタメだからこそ見える形があると安心感があり仲間が増えやすいです。だから一番最初の人たちとは気持ちで繋がりたいなと。

野澤:クラウドファンディングはあくまできっかけであって、もちろんそれ以外の方法でも進めています。制作に向けて大きな企業がバックアップしたいという話も出ています。

舟越:いっぱい集まってきていますね。正直、クラウドファンディングだけでは資金は全然足りないのですが、それでもやるのは仲間を集めるという理由が大きいからなんですよ。欲しいのは本当に気持ちなんです。

CGW:Root studio、「モクリプロジェクト」の最初のファンクラブというような感じでしょうか?

舟越:まさにそうですね。「困難な道を行くという僕たちの意志を良しと思ったらフォローしてね」という感じですね(笑)。

Information


「モクリプロジェクト クラウドファンディング」
開始日時:2019年11月7日(木)11:00〜(事前登録受付中)
URL: https://www.makuake.com/project/mokuri/

Root studio
http://rootstd.com
モクリプロジェクト公式サイト
http://mokuri.world/
モクリプロジェクト広報Twitter
@mokuriproject
モクリTwitter
@mokuri8
VR法人HIKKY
https://www.hikky.life/

Profileプロフィール

舟越 靖/Yasushi Funakoshi、さわえみか/Mika Sawae、福原慶匡/Yoshitada Fukuhara、野澤徹也/Tetsuya Nozawa

舟越 靖/Yasushi Funakoshi、さわえみか/Mika Sawae、福原慶匡/Yoshitada Fukuhara、野澤徹也/Tetsuya Nozawa

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