>   >  Virtual Experiences in Reality:第5回:「ACE 2016」(Advancements in Computer Entertainment 2016)前編
第5回:「ACE 2016」(Advancements in Computer Entertainment 2016)前編

第5回:「ACE 2016」(Advancements in Computer Entertainment 2016)前編

<4>Passive Midair Display

当然ながら、ACEの研究の背景にある最も重要なモチベーションは、エンターテイメントだ。近年、ウェアラブル(装着可能)、ペリフェラル(周辺装置/末梢的)、特殊用途的なツール/ハードウェアに大きな重点が置かれていて、毎日使用可能で、優れたエンターテイメントのための手頃なアイテムが歓迎されている。

ここで取り上げる「Passive Midair Display」の研究者(Naoya Koizumi and Takeshi Naemura)は、フラッシュライトのみで、暗闇とインターラクティブに連動する斬新な方法を提示する。これは、ひとりの少年が時計の力を借りてゴーストを見つけ出す、日本でとても人気のあるメディア・フランチャイズ「妖怪ウォッチ」に触発されている。

「Passive Midair Display」 NaoyaKoizumi and Takeshi Naemura / 小泉直也、苗村 健(苗村研究室(東京大学)

「Passive Midair Display」は、フラッシュライトで暗闇に光を発することで、そこにないものを見えるようにする。フラッシュライトを持つユーザーの自然な動きが、インターラクション・デザインにおける重要な要素だ。光源から発出する光の角度と位置が、様々な場所に現れる様々な対象やキャラクターを生み出すのに応じて、ユーザーの動きはダイナミックになる。ユーザーにとって、この使いやすさとエントリーのしやすさが、周辺環境とその中でのインターラクションを容易に可能にする。この「Passive Midair Display」はARのメソッドの将来を明るく照らしている。

連載"Virtual Experiences in Reality" 第5回:「ACE 2016」(Advancements in Computer Entertainment 2016)前編

空中(mid-air)に現れる可愛らしいゴーストのキャラクター
ACE 2016 Passive Midair Display, Naoya KOIZUMI
vimeo.com/188838498


<5>BathDrum2

ユーザーがインターラクションを得て体験するためのヘッド・マウンテッド・ディスプレイ(HMD)、ウェアラブル、スマートディバイスは、ユーザーからの求めに応じて、近年増大しているが、ここで取り上げる「BathDrum2 : Percussion Instruments on a Bathtub Edge with Low Latency Tap Tone Identification」(Tomoyuki Sumida and Shigeyuki Hirai)は、バスタイムをより楽しい時間にする方法を提案する。

センサー、プロジェクター、機械学習を使用する「BatheDrum2」は、入浴中にプロジェクションされたイメージを軽くポンとたたくと、バスタブの角にあるパーカッションを選択できる。「BatheDrum2」のシステムは、音を生み出すためにプロジェクションされたパーカッションの位置情報を利用するだけでなく、指のジェスチャーに基づく様々なタップトーンを区別することもできる。入浴は国境を超えた楽しみであり、入浴中に歌うことは、全世界共通の娯楽だ。このシステムのおかげで、バスタイム・シンガーは、もはやアカペラで歌う必要はなくなるのだ。



以上見てきたように、ACE 2016では様々な研究成果の興味深い実践事例が展示されていた。次回(第6回)は、後編として「ACE 2016」会期中に行われたヴァーチャル・リアリティ(VR)のストーリーテリングに関するワークショップを起点として、VRにおけるナラティブについて考察していく。

TEXT_ジャナック・ビマーニ博士(メディアデザイン学/株式会社ロゴスコープ リサーチャー)
翻訳・編集:橋本まゆ

Written by Janak Bhimani, Ph.D., Researcher/Producer, Logoscope Ltd.
Translated by Mayu Hashimoto



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    株式会社ロゴスコープは、Digital Cinema映像制作における撮影・編集・VFX・上映に関するワークフロー構築およびコンサルティングを行なっている。とりわけACES規格に準拠したシーンリニアワークフロー、高リアリティを可能にする BT.2020 規格を土台とした認知に基づくワークフロー構築を進めている。最近は、360 度映像とVFXによる"Virtual Reality Cinema"のワークフローに力を入れている。また設立以来、博物館における収蔵品のデジタル化・デジタル情報の可視化にも取り組んでいる。

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