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ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)

ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)

■まとめ:美少女フィギュアは見た目以上に難易度が高い

メカなら図面を基に造形を進めれば良いわけですが、女の子の体表の脂肪によるなだらかな曲面の膨らみの複数の交差というのはそういう意味においてはとてもやっかいなもので、メカのように平面とエッジがないので凹凸の基準にできる「ものさし」がありません。女性キャラの造形が比較的簡単そうに見えて意外に難しいと言われる所以であります。ポーズを付けた後、スカートで見えない部分のつくり込みであっち引っ張ってこっち押し込んでと、局所的な食い込み表現にこだわればこだわるほど全体の形状が歪んでいき、中心軸もずれていきます。

作業のながれとしては、全体の形がいったんできた時点で(分割作業前に)仮出力といきたいところですが、一体化された状態でパッと見が良くても、製品化する際の分割後のパーツ単位で見たとき、不自然な歪みが生じている箇所が必ずみえてきます。もともと手作業でフィギュアを造っていたわれわれは、こうしたディテールのつくり込みに関しては画面上でアレコレ悩むのは諦めて、早い・確実・余計 なコストがかからない、ということで直接出力物にパテを盛って削って調整しています。最終が立体物という手に取れる物なので、直接立体物を加工するというアプローチが一番の近道だと考えています。もちろん「時間」と「コスト」さえ見合うならば、パーツを分割した状態でFDM(熱溶 解積層法)3Dプリンタなどで仮出力をして、パーツの歪み、厚み、ブーリアンのミスなどを確認してから、判明した修正点をデータに反映させるのが一番スマートな方法です。とは言え、ただでさえアナログに比べると依然として割高なデジタル原型においてはなかなかハードルが高いですよね(特にガレージキット原型での立体出力は、見込んだ利益が全て出力代にもっていかれかねないので......)。

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<A>前述の通り、女性キャラのお尻まわりには複数の膨らみ(曲面)の集合体となっている(図では7箇所)。ここへパンツの食い込み表現などが加わるとさらに作業が難しくなる/<B>このようにエッジや平面があると図面にもしやすく、曲面の集合体よりも造形しやすい

自分たちで原型を担当させていただくときは、アナログ作業でお尻周りの形状修正をよく行なっています。

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<A>大雑把にポリパテを盛りつけ、デザインナイフで削る/<B>デジタル出力物には付着しにくいため、境目にさらさらタイプ(低粘度)の瞬間接着剤を流し込む/<C>粗めの紙やすりとスポンジペーパーで表面を整えていく/<D>サーフェイサーを吹きつけ、細かい傷にプラパテを刷り込んだ上でさらに磨き込む

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  • 造形スタジオ「エルドラモデル」
    【Profile】
    潤(エルドラモデル)
    1年前から造形スタジオ「エルドラモデル」として活動を開始。エルドラモデルの全体的なとりまとめを担当。本業のかたわら、他社さんのデジタル原型師補佐(出力品磨き等、原型のブラシュアップ)なども行なっています。

    増宮宏一
    東京在住のなんでも原型師。今年4月から潤と共に「基礎から学ぶフィギュア原型のためのアナログ作業講座」を開始予定。デジタルデータは作れるけど、アナログ作業経験がなくて、仕上げに困っている生徒さん募集中です!
    「増宮宏一の作品倉庫」

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