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映画『海獣の子供』公開記念! STUDIO4℃のCGスタッフが語る制作の舞台裏:第1回〜海洋生物篇〜

映画『海獣の子供』公開記念! STUDIO4℃のCGスタッフが語る制作の舞台裏:第1回〜海洋生物篇〜

スペシャルメイキング

■作画と見分けがつかないほど馴染んだCGによる海洋生物

CGで描かれた魚たち

CGの魚と作画を合わせた状態

完成映像。このように作画と密に絡むシーンでは、CG側が作画に寄せることで違和感をなくしている。「これでOKだけどもっとやれるよね? という感じで何度もリテイクされながら、1カットずつ進めていきました」(秋本氏)。丁寧につくられた海洋生物は、こうして比べて見ても、作画とCGをハッキリとは見分けられないほどだ

■途方もない手間がかけられたヴィーナスのカット


  • 【1】作画LO

  • 【2】作画のラフ原画


  • 【3】【2】をCLIP STUDIO PAINTでクリンナップしたもの

  • 【4】プレイブラストの出力結果



  • 【5】【6】AEでの調整作業前後。AEの「ゆがみエフェクト」を用いて、作画LOのシルエットに合わせる等の微調整を、1コマ1コマで行なっていく


  • 【7】プレイブラストではラインが出ないため、【6】に合わせてCLIP STUDIO PAINTでラインを描く

  • 【8】CGのヴィーナス、作画の水、背景の素組み

【9】完成画

ヴィーナスを構成している素材を紹介する。


  • 【1】カラー

  • 【2】Z深度(奥行きの程度を黒の濃淡で表している素材)


  • 【3】ライン

  • 【4】タッチ


  • 【5】絵画のようなタッチ(Video Gogh)

  • 【6】ノイズ


  • 【7】【8】【9】ノーマルマップ3種類


  • 【10】オクルージョン

  • 【11】蛇腹のテクスチャ

メイキング動画。これだけの手間がかけられたからこそ、視聴者に強烈な印象を残すシーンとなった

■パーティクルで制御された魚群①

CGの技術が存分に発揮されたイワシの魚群を紹介する。

魚のベースアニメーション

【1】イワシのループアニメーションモデル。MayaのnParticleのInstancerという機能で制御されている。単純に泳がせるだけでなく、パーティクルのデフォーマという機能で、身体の太さや長さを同時に変化させ、生物らしい柔らかな印象を与えられるように工夫された。このようなループアニメーションを何パターンか作成し、ランダムに使用している


  • 【2】作画LO

  • 【3】パーティクルのInstancerのパス。このシーンでは、約15本ものパーティクルがつくられた。【2】の作画LOに合わせるために、複数のCurve Flowを作成してアニメーションさせている。それぞれのパーティクルの色は、それぞれ別のCurve Flowだ。このシーンでは、約15本のパーティクルがつくられている


  • 【4】インスタンス後。イワシに置き換えられた

  • 【5】完成画。作画と比べても、遜色のないハイクオリティな魚群となった

魚群が使われた冒頭シーンのブレイクダウン

■パーティクルで制御された魚群②

海を魚群が追いかけるカットを紹介する。


  • 【1】作画LO

  • 【2】作画LOの通りにCurve Flowを作成し、このCurve Flowに沿ってパーティクルがながれていく。Curve FlowのCurveとFlowのControl_curveをアニメーションした。異なるCurve Flowごとに、パーティクルの色が分かれている


  • 【3】インスタンス後。パーティクルを魚に置き換えた状態で、魚群の動きの軌道がわかる

  • 【4】作画LOの形に合わせるために、作画マスクでInstancerのパス(軌道)を調整した。さらに、目立つ魚は作画LO通りに3Dモデルを貼り込んでいる。また、魚感が足りないときは、魚群が泳いでいるところにCGの魚の連番素材(2D状態のもの)を出し、コンポジットで追加して対応しているとのこと


  • 【5】Instancerと魚の3Dモデル、そして作画のパス

  • 【6】完成画

NGとなった魚群の例

作画による、魚群の参考アニメーション

完成までのブレイクダウン

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