スペシャルメイキング
■作画と見分けがつかないほど馴染んだCGによる海洋生物
CGで描かれた魚たち
CGの魚と作画を合わせた状態
完成映像。このように作画と密に絡むシーンでは、CG側が作画に寄せることで違和感をなくしている。「これでOKだけどもっとやれるよね? という感じで何度もリテイクされながら、1カットずつ進めていきました」(秋本氏)。丁寧につくられた海洋生物は、こうして比べて見ても、作画とCGをハッキリとは見分けられないほどだ
■途方もない手間がかけられたヴィーナスのカット
【9】完成画
ヴィーナスを構成している素材を紹介する。
メイキング動画。これだけの手間がかけられたからこそ、視聴者に強烈な印象を残すシーンとなった
■パーティクルで制御された魚群①
CGの技術が存分に発揮されたイワシの魚群を紹介する。
魚のベースアニメーション
【1】イワシのループアニメーションモデル。MayaのnParticleのInstancerという機能で制御されている。単純に泳がせるだけでなく、パーティクルのデフォーマという機能で、身体の太さや長さを同時に変化させ、生物らしい柔らかな印象を与えられるように工夫された。このようなループアニメーションを何パターンか作成し、ランダムに使用している
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【2】作画LO -
【3】パーティクルのInstancerのパス。このシーンでは、約15本ものパーティクルがつくられた。【2】の作画LOに合わせるために、複数のCurve Flowを作成してアニメーションさせている。それぞれのパーティクルの色は、それぞれ別のCurve Flowだ。このシーンでは、約15本のパーティクルがつくられている
魚群が使われた冒頭シーンのブレイクダウン
■パーティクルで制御された魚群②
海を魚群が追いかけるカットを紹介する。
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【1】作画LO -
【2】作画LOの通りにCurve Flowを作成し、このCurve Flowに沿ってパーティクルがながれていく。Curve FlowのCurveとFlowのControl_curveをアニメーションした。異なるCurve Flowごとに、パーティクルの色が分かれている
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【3】インスタンス後。パーティクルを魚に置き換えた状態で、魚群の動きの軌道がわかる -
【4】作画LOの形に合わせるために、作画マスクでInstancerのパス(軌道)を調整した。さらに、目立つ魚は作画LO通りに3Dモデルを貼り込んでいる。また、魚感が足りないときは、魚群が泳いでいるところにCGの魚の連番素材(2D状態のもの)を出し、コンポジットで追加して対応しているとのこと
NGとなった魚群の例
作画による、魚群の参考アニメーション
完成までのブレイクダウン
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