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IMAX 3Dに対抗する新たな上映システムが世界中で続々と登場! 今、劇的に変わりつつある映画館

IMAX 3Dに対抗する新たな上映システムが世界中で続々と登場! 今、劇的に変わりつつある映画館

<5>プレミアム・ラージ・フォーマット(Premium Large Format/PLF)

IMAXデジタルシアターの成功の影響で、各興行チェーンは自社ブランドで特別な大型スクリーン・フォーマットを展開し始めた。Film Journal International(Oct 28, 2015)によると、2014年末までに世界で1,623スクリーンに達しており、アジア太平洋地域における成長が著しい。その中で代表的なものを紹介する。

5−1.AMC ETX / DOLBY CINEMA at AMC PRIME

「AMC ETX(Enhanced Theatre eXperience)」は、米国で2番目に大きな興行チェーン「AMC」が2012年2月に導入したPLF。
4Kプロジェクタによる映写と、12chのサラウンド音響システム(現在はドルビーアトモス)が特徴。現在は「AMC Metreon 16」「AMC Ontario Mills 30」「AMC Orange 30」「AMC Flatiron Crossing 14」「AMC Aventura 24」「AMC Disney Springs 24 with Dine-in Theatres」「AMC Randhurst 12」「AMC Garden State 16」「AMC NorthPark 15」「AMC Tysons Corner 16」「AMC Loews Alderwood Mall 16」に導入されている。
なお、AMCは2012年9月に、中国の万達集団(Wanda Group)に26億ドル(約2080億円)で買収された。この結果、万達集団は世界最大の興行チェーンとなり、AMCは潤沢な資金で開発が可能になった。

そして2015年より導入が始まった「DOLBY CINEMA at AMC PRIME」は、4Kレーザー・プロジェクタによるドルビーシネマ上映を、シートトランスデューサとパワーリクライニングシートを装備した豪華な客席で鑑賞できるというシステムだ。

今、劇的に変わりつつある映画館の上映システム

「DOLBY CINEMA at AMC PRIME」のロゴ

現在、「AMC Burbank 16」「AMC North Point Mall 12」「AMC Hawthorn 12」「AMC Town Center 20」「AMC BarryWoods 24」「AMC Empire 25」「AMC Deerbrook 24」「AMC Village on the Parkway 9」に導入されているほか、「AMC Century City 15」と、「AMC Willowbrook 24」への導入も決定している。

5−2.LUXE

S3D上映システムを提供している米RealD社が、2014年から展開しているPLF。
2台のプロジェクタを用いており、2DはDCI推奨の14フートランバート、S3Dでも最低6フートランバートの輝度を持っている。3Dメガネは当然RealDの円偏光方式が用いられているが、スクリーンは2D上映時でもムラ(スクリーン両端部での輝度低下)が発生しないように特別開発された、プレシジョン・ホワイト・スクリーン(Precision White Screen)を採用している。
これは乱反射を抑えて偏光情報を失わないように設計された、シルバーとホワイトの中間の性質を持ったスクリーンで、幅は最小でも16mメートルのものを天井から床まで張っている。

今、劇的に変わりつつある映画館の上映システム

「LUXE」のシアター

現在はロシアの「Karo Reutov」「Karo Vegas 22」「Karo Schuka」「Karo Aviapark」「Cinema Park」「Kinomax Ural」「Mori Cinema Kuntsevo」、ブルガリアの「Cinemas Arena Sofia West」、中国の「天津百麗宮影城」で稼働中。今後もロシアの1館、中国の2館に導入が決定している。

5−3.RPX(Regal Premium Experience)

全米最大の興行チェーン「リーガル・エンターテインメント・グループ」(Regal Entertainment Group)のブランドの1つである、「リーガル・シネマズ」(Regal Cinemas)のPLF。
壁面一杯のシルバースクリーン。豪華な座席。40個のスピーカー。ダブルスタックのクリスティ社製4Kデジタルプロジェクタによる3D映写などが特徴。現在87館に導入されている。

今、劇的に変わりつつある映画館の上映システム

「RPX」のシアター

5−4.Cinemark XD

米国で3番目に大きな興行チェーンである「シネマーク・シアターズ」(Cinemark Theatres)のPLF。
壁面一杯のシルバースクリーン。真新しい豪華な座席。カスタムメイドのJBL音響システム。バルコ社のプロジェクタによるデジタル映写システム。RealDによる3Dなどを特徴としている。114館(未開館2館を含む)に導入。

今、劇的に変わりつつある映画館の上映システム

「Cinemark XD」のシアター

5−5.Big D

米国で4番目に大きな興行チェーンである「カーマイク・シネマズ」(Carmike Cinemas)が、2013年より展開しているPLF。現在26スクリーンに導入。幅24m×高さ10mの壁一杯に張られたスクリーン。4ウェイスピーカーと7.1chのカスタムQSCデジタル・サラウンド・システム。クリスティの2D/3Dデジタルプロジェクタなどを特徴とする。

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「Big D」のシアター

5−6.AVX

米サン・アントニオとヒューストンに展開する興行チェーンの「サンティコス・シアターズ」(Santikos Theatres)が、2013年より運営しているPLF。
壁一杯に張られたスクリーン、4Kプロジェクタによるデジタル映写、ドルビーアトモスが特徴である。「Santikos Palladium IMAX -San Antonio」「Santikos Silverado 16-San Antonio」「Santikos Mayan Palace 14」「Santikos Silverado IMAX-Tomball」「Santikos Palladium AVX-West Houston」に導入されている。

今、劇的に変わりつつある映画館の上映システム

「Santikos Palladium IMAX -San Antonio」のAVXシアター

5−7.中国巨幕(China Film Giant Screen: CFGS)

中国電影科研所(中国映画研究所)と中影集団(中国映画グループ)が、2012年に開発したPLF。当初はDMax(Digital Max)と呼ばれていた。
独自開発のマスタリング技術。バルコ社のDP2K-32Bデジタルプロジェクタを2台使用するS3D映写システム(2D映写時は同一画面をスタック)。20m×12m、ゲイン2.4のシルバースクリーン。5.1、7.1、9.1、11.1、13.1chシステムなどと互換性のあるサラウンド。豪華な座席などを特徴とし、ライセンスはフリー。現在73スクリーンに導入。

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「中国巨幕」のシアター

5−8.X-Land

万達集団(Wanda Group)が中国で展開する「万達影城」(Wanda Cinemas)のPLF。
大型スクリーン、4Kプロジェクタによるデジタル映写、ドルビーアトモスなどを特徴とする。また3D映写に関しては、米RealDと合意を結び、常に輝度が6フートランバート以上になるように定期健診を受ける、RealD 6FL認定と呼ばれる品質管理プログラムをアジアで初めて採用している。現在37スクリーンに導入している。

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「万達影城」のシアター

5−9.Polymax

Polymaxは、「保利影業投資有限公司」(Poly Film Investment Co., Ltd.)が運営する劇場、「保利国際影城」(Poly International Cinema)のPLF。「保利影業投資有限公司」は、企業グループ「中国保利集団公司」(China Poly Group Corporation)の文化事業分野である「保利文化集団股份有限公司」(Poly Culture Group Corporation Limited)の完全子会社である。
基本はバルコのDP4K-32Bプロジェクタ2台映写で、バルコないしクリスティのレーザー・プロジェクタへの対応も可能。音響は自社開発の13.1chサラウンドの他、ドルビーアトモスやAuro11.1も対応できる。スクリーンサイズは幅18m。現在14スクリーンに導入されており、今後3年間で30館への展開を計画している。

今、劇的に変わりつつある映画館の上映システム

「保利国際影城」の上海祥騰店

5−10.UltraAVX

トロントに本社を置き、カナダ全土に162館の劇場を運営するシネプレックス社(Cineplex Inc.)が開発したPLF。大型スクリーン、ドルビーアトモス、豪華な座席などを特徴とする。現在26スクリーンに導入。

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「UltraAVX」のシアター

5−11.Laser Ultra

ベルギーを中心に、フランス、オランダ、スペイン、ポーランド、スイスなど、ヨーロッパに35館の劇場を所有する興行チェーン「キネポリス」(Kinepolis)のPLF。バルコ社の4Kレーザー・プロジェクタによるデジタル映写、ドルビーアトモスなどを特徴とする。現在9スクリーンに導入。

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「Laser Ultra」のロゴ

5−12.VueXtreme

欧州最大の興行チェーンである、英国の「ヴュー・インターナショナル」(Vue International)のPLF。現在12スクリーンに導入。

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「VueXtreme」のロゴ

5−13.Vmax

オーストラリアを中心に、シンガポール、米国に展開する興行チェーン「ヴィレッジ・シネマズ」(Village Cinemas)のPLF。
最大幅28m(Village Cinemas Knox)のスクリーン、豪華なシートが特徴。現在「Village Cinemas Crown」「Village Cinemas Doncaster」「Village Cinemas Fountain Gate」「Village Cinemas Jam Factory」「Village Cinemas Knox」「Village Cinemas Southland」「Village Cinemas Karingal」で稼働中。

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「Vmax」のシアター

5−14.CinemeXtremo

メキシコの興行チェーン「シネメックス」(Cinemex)のPLF。大型スクリーン、ドルビーアトモス、豪華な座席などを特徴とする。
現在「Cinemex Boulevares Querétaro」「Cinemex Santa Fe」「Cinemex Mundo E」に導入されている。

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  • 「CinemeXtremo」のポスター


5−15.ADMIX

「シネマックスつくば」が2013年に導入。壁面一杯のシルバースクリーン。Auro11.1。RealD XLを採用。4Kやハイフレームレートにも対応している。

今、劇的に変わりつつある映画館の上映システム

「ADMIX」のHP

5−16.TCX

「TOHOシネマズ」が2013年より導入を進めているPLF。同規模座席数の劇場よりも約120%拡大させた壁面一杯のスクリーンと、ダーク系に統一して光の反射を軽減させたシートが特徴。

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  • 「TCX」のHP


「TOHOシネマズ市原」「TOHOシネマズくずはモール」「TOHOシネマズ日本橋」「TOHOシネマズ新宿」「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」「TOHOシネマズららぽーと船橋」「TOHOシネマズららぽーと富士見」「TOHOシネマズアミュプラザおおいた」に導入。

5−17.ウルティラ(ULTIRA)

旧「ワーナー・マイカル」(現「イオンシネマ」)が2010年に開発。壁面一杯のシルバースクリーンと、高音・中高音・中低音・低音域の4ウェイ立体音響、RealDの3D映像を組み合わせたもの。

今、劇的に変わりつつある映画館の上映システム

「ウルティラ」のシアター

現在、「イオンシネマ幕張新都心」「イオンシネマ春日部」「イオンシネマ港北ニュータウン」「イオンシネマ大高」「イオンシネマ名古屋茶屋」「イオンシネマ和歌山」「イオンシネマ京都桂川」「イオンシネマ岡山」に導入されている。

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