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第4回:キャラクター制作

第4回:キャラクター制作

section 02 Character
明確なワークフローの下でクオリティを最大限に高める

有名原作の3DCG化ということで、全12チームの中でもひときわ高いプレッシャー下におかれたであろうキャラクター制作。革新的なインハウスツールの導入と、適確なワークフローを構築することにより確かな成果を上げることに成功した。


左から、増田 潤氏、清水智弘リードモデラー、鴻巣 智リードモデラー、高橋恵介キャラクタースーパーバイザー、高橋聡氏、皆川恵美里氏、宇田敬幸氏

6つの段階に分かれたキャラクターモデルの制作

3DCGモデリングとしては、マケット制作からスタートしたキャラクター制作。本プロジェクトでは、そのマケットモデルを皮切りに、ベースモデル、モーキャプモデル/フェイシャルマケット、アニメーションモデル、ミッド(ミドル)モデル、ハイモデルという6つの段階(工程)に分かれて各種モデルが制作された。詳しくは「Character Modeling Workflow」(下図)を参照してもらえればと思うが、マケットを入念に制作する一方では、素体となるベースモデルを作りジオメトリを共通にすることで費用対効果を上げる、あるいは非常に高精度なフェイシャルアニメーションが生成できるImage Metricsの技術をベースに開発された「Faceware」を導入したのに伴い、それに対応したアニメーションモデルを用意するといった具合に、できるだけやり直しを生じさせずに、着実にクオリティアップを実現するためのワークフローが構築された。

ハーロック

キャラクター制作ワークフロー図

「キャラクター制作には12名のアーティストが参加しました。中核スタッフの半数がRITA(パイロット版)から参加していたので、わりと初期の段階から求められるクオリティや必要となる作業は把握できました」とはキャラクタースーパーバイザーを務めた高橋恵介氏。
今回のインタビューに応じてくれた7名が中核を担ったそうだが、モデリングは鴻巣 智氏が、サーフェシング(質感)は清水智弘氏がリードする一方では、皆川恵美里氏が女性キャラクター制作全般を、増田 潤氏が全身にFur処理が施されているため実はアルカディア号よりも高負荷のデータになったという「トリさん(ハーロックの肩に止まっている、複数の松本零士作品に登場する架空の鳥)」を担当するといった具合に、作業内容やキャラクターに応じて独自の役割を担いつつ、全員が全ての工程に携わったという。「限られた条件下の中でベストを尽くすために、というねらいから細かく分業したのですが、『michelangeloRig(ミケランジェロリグ ※後述)』をはじめとするインハウスツールを適宜導入することで、デザインとしてもクオリティとしても高いレベルで統一できたと自負しています」(高橋氏)。

ハーロック ハーロック
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01.Maquette
マケット:プリプロ段階にキャラクターデザインを詰める目的で作成されたもの。ハーロック、ヤマ、ケイなど主要キャラ8体が作られた
© LEIJI MATSUMOTO / CAPTAIN HARLOCK Film Partners

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02.Base Model
ベースモデル:素体となるモデル。男性キャラ用、女性キャラ用、太ったキャラ用という3種類(全てジオメトリ共通)が用意された
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03A.Mocap Model
モーキャプモデル:レイアウト作業ならびにモーションキャプチャ用モデル
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03B.Facial Maquette
フェイシャル・マケット:モーションキャプチャのアクター向けに、各キャラクターの性格や表情の特徴を説明するために作成された資料用モデル
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04.Animation Model
アニメーションモデル:キャラクターアニメーション作業用モデル。Facewareによるフェイシャル作業にも用いるため、この段階で顔の形状はFIXさせる
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05.Mid Model
ミッドモデル:ミッド(ミドル)とは、あくまでも内部的な定義であり、事実上の最終モデル。メインキャラで約50日、サブキャラで約15日を目安に制作された
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06.High Model
「ハイモデル:ECU(Extreme Close Up)」と呼ばれた、超クローズアップ用のモデル。一部のメインキャラにのみ用意された特別なもの。表情だけのテクスチャで4Kサイズに達した/(上左)ハーロックECU/(上右)ヤマECU/(下)ハーロックのハイモデル。ボディUVの展開がミッドモデルと異なっており、顔の一部を切り取ってより詳細が描き込めるように展開されている
© LEIJI MATSUMOTO / CAPTAIN HARLOCK Film Partners

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