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検証! 慣性式モーションキャプチャ「MVN」<br />第2回:撮影から Autodesk MotionBuilder へのインポート

検証! 慣性式モーションキャプチャ「MVN」
第2回:撮影から Autodesk MotionBuilder へのインポート

2人のアクターによる接触シーン

MVN のもう1つの特徴はマーカーレスにある。光学式の場合は、マーカをトラッキングしてデータを撮影するため、そのマーカが隠れてしまうとデータが取れなくなってしまう。そのため、マーカを多数付けて撮影されるのだが、MVN では予めスーツに腕や手首付近など17箇所に付けられたセンサにより、動きのデータを送信するため、アクションに制約も少ない。このマーカーレスの精度を確認しようと、2名のアクターがすれ違う、軽くどつき合う、ハグするというアクションを試してみた。この検証ではより上半身の精度を上げるため、ハンドタッチモーション(両手のひらを組んで回す動作)をアクターに行ってもらい MVN Studio に情報として加えた。
 

 
すれ違いやどつき合い、ハグのシーンでも、データはしっかり送信されるため全く問題なくキャプチャが行われている。
 
 

MotionBuilderとの連携

このように撮影されたモーションデータは、MotionBuilder にインポートができるため、既存のアニメーション制作パイプラインに沿う形で運用ができる。そこで、今回撮影したデータも MotionBuilder に取り込んでその精度を検証してみた。

MotionBuilder へのインポートには大きく2種類の方法がある。
1つは、通常のMVN Studio から Autodesk FBX(以下、FBX)に書き出し、MotionBuilder のインポート機能を使うという方法。もう1つが、MVN Studio に付属している Plugin スクリプトを使う方法である。

Plugin スクリプトを使えば、MotionBuilder で事前に行うモデル設定などを自動的に行ってくれるため、簡単に MVN Studio からモーションデータをマッチさせられる。今まで慣れ親しんだパイプライン上で簡単に活用できるため、技術に疎いアニメーターやデジタル・アーティストであっても戸惑うことは少なく、制作を進めていくことが可能だ。
 

 
慣性式ということでデータがどのように扱われるかイメージつかない方も多かったことだろう。上の映像は MVN Studio から書き出された FBX データを MotionBuilder にインポートする作業だが、FBX によるフローも確立されているので、データが壊れることはまずない
 
 

第1回目にお伝えした"ごく普通の会議室"におけるセットアップから撮影の実演に続き、今回は MVN の特長である、スタジオレス/マーカーレスについて撮影検証を行なってみたが、MVN のキャッチコピーにある通り、どこでも撮影ができるモーションキャプチャが実証された。MVN は撮影に関わるスタッフも少なく、場所を選ばないというのが実感できた。MOCAP に限らずスタジオを使った際につきまとうのが「再撮影と撮影時間の延長リスク」である。追加のアクションや再度撮影が必要になった場合、時間の延長や再度スタジオを押さえる必要がでてくるが、MVN であればスタジオ自体必要ないため、様々にテストしながらキャプチャができ、動きのクオリティの向上とアニメーション制作の時間を削減できる可能性があるのではないだろうか。今回は以上になるが、第3回目は、MotionBuilder によるデータのクリーンアップ、そしてモーションの編集といった部分から MVN の実力をレポートしていく予定だ。

MVN機材一式

MVNシステム構成

■MOCAPスーツ、センサ、バッテリ

小型慣性センサは標準で17個(オプションにて、1台のMVNで最大20個まで同時使用可能)。センサとPC間はワイヤレスで通信し、スーツは動きやすい伸縮自由なライクラ素材を使用。各センサ間のケーブルは埋め込み配線となっており、激しい動きにも対応する。また、ソフトウェアを上位版の「MVN STUDIO Pro」にすれば、1台のPCで最大4人までの同時キャプチャが可能。スーツのサイズは、S/M/L/XL/XXLから選択

■MVN STUDIO ソフトウェア

MVNに付属するキャプチャデータを簡単な操作で記録/出力できるソフトウェア。リアルタイムにデータを表示し、23ボーンの出力が可能となっている。再生、編集、キャリブレーションもこのアプリケーションで行い、汎用ファイル形式 BVH、FBX、MPG、AVIムービー形式(MVN STUDIO ProではC3D形式も可)など多彩な出力をサポートしている。またオプションにて、Autodesk MotionBuilderプラグインにも対応、CGキャラクターのリアルタイムプレビューも可能

対応OS:Windows XP/Vista/7
CPU:デュアルコア以上
グラフィックスボード:DirectX 9対応のボード
入出力端子:USB2.0×2ポートまたはハブ

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「MVN」に関するお問い合わせ

ゼロシーセブン株式会社
TEL:03-3560-7747(担当:池田)
FAX : 03-3560-7748
e-mail:info@0c7.co.jp

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