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ゲーム・映像分野のみならず、建築や自動車・製造などの非エンターテインメントの領域でも3DCG技術の活用事例が多く見られるようになりました。ソフトウェアやミドルウェアをはじめ、これら非エンタメ領域での制作環境も各業種で様々な特徴があるのではないでしょうか。
そこでCGWORLD編集部では、シリコンスタジオの協力を得て、非エンタメ領域において3DCG制作の経験があるエンジニアおよびクリエイターの皆様を中心に、制作環境に関するアンケート調査を実施しました。その結果のダイジェスト版を公開します。

TEXT_CGWORLD編集部

ホワイトペーパー配布中!



  • なお、本調査結果の完全版はシリコンスタジオよりアンケートにご回答いただいた方、およびシリコンスタジオ公式サイトの資料ダウンロードフォームより無料で提供されます。
    >>公式サイトはこちら

<1>回答者について

今回のアンケートは下記の要領で実施しました。

調査方法:Webアンケート
調査対象:エンタメ・非エンタメ領域問わず、3DCGコンテンツの制作に携わっている方
調査期間:2020年7月10日(金)~7月22日(木)
有効回答数:315(非エンタメ領域の制作業務経験あり:168/エンタメ経験のみ:147)

<1-1>【全員】勤務先の規模

  • 今回のアンケートは有効回答315。そのうち、なんらかの非エンタメ領域の3DCG制作(デザインビジュアライゼーション)業務経験がある方が168、業務経験はエンタメのみの方が147となりました。業務としてはエンタメ系が主体の企業でも非エンタメ系の業務経験がある方々の存在も確認できました。 まずは所属先の業種や職種を聞きました。勤務先の規模ですが、「10~ 49名」が全体の26.6%と最も高い比率となりましたが、2位以下の回答は比較的近い比率で分散し、様々な規模感の企業が大きな偏りなく回答を寄せてくれたことを示しています。また「自営業・フリーランス」も全体の15.4%を占めました。


<1-2>【全員】主に手がけている業種
※複数選択可(3つまで)

1位が「エンタメ( プリレンダーCG中心)」:155人、2位が「エンタメ(リアルタイムCG中心)」90人という結果に。その一方では、3位:「建築」50人、4位:「製造業」31人、5位:「自動車」29人という順に、非エンタメ領域の業種が続きました。なお「その他」には、Webデザイン、印刷媒体、教育コンテンツ、フリーライター、広告代理業といった回答がありました。



<1-3>【全員】職種

  • 職種としては46.1%(147人)と全体の半数近くが3DCGデザイナーという結果になりました。以下、「マネージャー/プロジェクトマネージャー」11.6%(37人)、「プロデューサー」8.2%(26人)、「ディレクター」と「エンジニア」が共に7.5%(24人)ずつと続きます。なお「その他」には、エディター、コンポジター、経営者、研究職、教職者、歯科医師といった回答がありました。


<1-4>【全員】3DCG制作業務の経験年数

  • 3DCG制作の経験年数では、全体の約4割(127人)が10年以上の経験ありと回答。ベテランの方々の関心の高さが窺えます。なお、2位は「1~ 3年」で19.4%(62人)、3位は「5~ 10年」で15.4%(49人)という結果になりました。


<2>非エンタメ領域向け3DCG制作について

<2-1>【全員】非エンタメ領域向け3DCG 制作業務経験の有無
※以降、非エンタメ領域向け3DCG制作業務経験者を【非エンタメ経験あり】、エンタメ領域のみの経験者を【エンタメ経験のみ】と表記します

続いて、3DCG制作の業務内容について聞きました。先述のとおり有効回答315のうち、非エンタメ経験ありと回答したのが168人で全体の46.7%、エンタメ経験のみと回答したのが147人で全体の53.3%と、およそ半数が非エンタメ経験があるという結果になりました。



<2-2>【非エンタメ経験あり】具体的な業種

  • 非エンタメ経験者(168人)が手がけてきた業種のトップ5を見てみると、「建築系」63人、「製造業(家電、工業製品など)」37人、「製造業(家電、工業製品など)」35人、「医療系」12人、「アパレル系」5人という順になりました。建築やプロダクトデザイン、自動車業界だけでなく、医療やアパレル業界でもビジュアライゼーションの需要があることがわかります。なお「その他」には、建設機械、 文化財の3Dデータ制作、スポーツといった回答がありました。


<2-3>【非エンタメ経験あり】制作したコンテンツの対象
※複数選択可(3つまで)

制作した3DCGコンテンツの用途を聞きました。1位は「受託案件の3DCG制作(B2B)」105人、2位は「社内向け3DCG制作」73人、3位は「受託案件の3DCG制作(B2C)」60人という結果になりました。非エンタメ領域ということもあり、対外に公表されないコンテンツ制作業務も多そうです。



<2-4>【非エンタメ経験あり】< 2-3 >にて制作したコンテンツの形態(用途)
※複数選択可(3つまで)

制作したコンテンツの形態( 用途)を聞きました。1位は「プロモーションムービーなど」92人、2位は「顧客向けカタログ・広告など」70人、3位は「顧客向けカタログ・広告など」56人という結果に。4位の「プレゼン用コンセプトアート」も54人と3位に肉薄しています。
先ほどの質問(C3)では、「受託案件の3DCG制作(B2B)」が1位という結果に対して、この質問では1位がPV、2位がカタログ・広告と続くのは意外な印象ですが、B2BにおけるPVや販促物の制作業務が相応に存在するのかもしれません。また少数ですが、「機械学習向け3Dコンテンツ」8人、「HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)」6人などはこれから需要が増えそうです。



<3>使用している DCC(Digital Contents Creation)ツール

<3-1>【全員】主に使用している3DCG ツール
※複数選択可(3つまで)

ここからは業務に使用する3DCGツールや制作環境について聞きました。【非エンタメ経験あり】(2位、77人)【エンタメ経験のみ】(1位、96人)のどちらにおいてもMayaユーザーが多いことという結果になりました。印象的なのは、【非エンタメ経験あり】の1位が3ds Max(82人)ということでしょう。その他のツールでは、BlenderとZBrushユーザーが続きます。

なお、詳しくはシリコンスタジオが本サイトで提供している本調査企画についての「ホワイトペーパー」をぜひ参照いただきたいですが、【非エンタメ経験あり】に絞った分析を行うと、自動車業界ではMayaが1位に、建築業界では3ds Maxが1位となりました。
自動車業界で、Maya利用者が多い理由は、Mayaの前身となるソフトウェア「StudioTools」がNURBSモデリングが可能だったため、幅広く自動車業界で使用されてきたという歴史的な経緯があるからだと推測されます。
一方で、建築業界向けに3ds Maxが多い理由としては、建築業界で扱われるのCADデータと3ds Maxとの間で強い互換性があるためと推察されます。



<3-2>【全員】主に使用しているレンダラ
※複数選択可(3つまで)

続いては、主に使用しているレンダラを聞きました。【非エンタメ経験あり】と【エンタメ経験のみ】のどちらもV-RayとArnoldがトップ2という結果になりました。【非エンタメ経験あり】では、有効回答数168のうち、100人が「V-Ray」と答え、2位の「Arnold」44人と倍以上の差がつきました。一方、【エンタメ経験のみ】では、有効回答数147のうち、1位は「Arnold」56人、2位「V-Ray」52人と、ほぼ同数でした。また、どちらも3位は「その他」、4位は「Pencil+」という結果になりました。
なお、【非エンタメ経験あり】に絞ってデータを見てみると、その他(自動車など)業界、建築業界で、ともに「V-Ray」が1位となりました。「V-Ray」ユーザーのほとんどが3ds Maxのユーザーである点も非常に興味深いですね。これは「V-ray」が3ds Maxをターゲットに積極的に新しいアルゴリズムを採用してきたため、デフォルトの設定で短時間で高品質なレンダリングが得られる点が高評価を得ている点、さらには、各社にシェーダなどインハウスのライブラリの蓄積があり、容易に他レンダラへの乗り換えが難しい点がその理由と推察されます。

<3-3>【全員】主に使用しているゲームエンジン
※複数選択可(3つまで)

ゲームエンジンについても聞きました。【非エンタメ経験あり】と【エンタメ経験のみ】共にUnityとUnreal Engineがトップ2で、その他(自社開発など)を圧倒しました。ただし、【非エンタメ経験あり】と【エンタメ経験のみ】のどちらにおいても「ゲームエンジンは使用していない」と答えた方が約4割に達しました。ノンゲームにおけるゲームエンジンの活用が広がりをみせてはいますが、その潜在性はまだ高そうです。また【非エンタメ経験あり】では、1位が「Unreal Engine」(63人)、2位「Unity」(40人)に対して【エンタメ経験のみ】では、1位が「Unity」(44人)、2位「Unreal Engine」(34人)と順位が入れ替わりました。

現状において、【非エンタメ経験あり】でUnreal Engineが優勢となった理由については、Unreal Engineが最先端のシェーディングやレイトレーシングのテックデモを早期に発表し、フォトリアル・ハイエンド向けという印象を獲得してきた点、豊富なサンプルやチュートリアルを有している点、CAD系ソフトのネイティブファイルを読み込めるDatasmithの機能を有している点などが理由と推察されます。



<3-4>【全員】主に使用しているOS
※複数選択可(3つまで)

主に使用しているOSについては、【非エンタメ経験あり】と【エンタメ経験のみ】のどちらもWindowsが圧倒的多数を占め、次いでmacOS、Linuxという順番になりました。プロダクトデザイン系では、macOSユーザーが多い印象もありますが、【非エンタメ経験あり】と【エンタメ経験のみ】では特にちがいはなさそうです。

いかがでしたか? なお、完全版では非エンタメ領域のなかでも【建築系】と【その他(自動車など)】との傾向のちがいを考察。ほかにもレンダラやミドルウェアの利用状況、これから習得したいスキル、DCCツールなどの回答結果も紹介しています。詳しくは、シリコンスタジオ公式サイトまで。