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ついに正式実装! UE4のリアルタイムレイトレーシングを動画で学ぶ1週間〜UE4 Ray Tracing Night Week

ついに正式実装! UE4のリアルタイムレイトレーシングを動画で学ぶ1週間〜UE4 Ray Tracing Night Week

Unreal Engine 4.22から「Experimental(実験的機能、いわゆるベータ版)」として実装されたリアルタイムレイトレーシング機能が、ついに今年5月のバージョン4.25から一般的に利用可能な「Production Ready」に昇格され、安定的に使えるようになった。4.22リリース時に有志により開催されたリアルタイムレイトレーシング勉強会「UE4 Ray Tracing Night @ Tokyo」がオンラインイベントとして復活。「UE4 Ray Tracing Night Week」と称して約1週間にわたり、毎日講演動画をオンライン配信し、最終日には講演者全員によるふり返りとQ&Aに対応する生放送が行われた。各講演の概要をお届けする。

TEXT_安藤幸央(エクサ)/ Yukio Ando(EXA CORPORATION)
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

●関連記事
・UE4のレイトレーシング実装が広げる、リアルタイムCGの可能性〜「UE4 Ray Tracing Night @ Tokyo」レポート

<1>8月17日(月):UE4 Ray Tracing イントロダクション ~UE4 Ray Tracing Night Weekを楽しむために~

●講演動画

初日を飾ったのは、Epic Games JapanのDeveloper Relations Lead 篠山範明氏による「UE4 Ray Tracing イントロダクション ~UE4 Ray Tracing Night Weekを楽しむために~」。UE4やレイトレーシングに詳しくない人に向けて概要を解説する約35分の講演だ。UE4のレイトレーシングの強み・弱み、難しさや注意点についての平易な解説と、得手不得手を理解した上でレイトレーシングを効果的に使えるような紹介が行われた。

まず最初にレイトレーシングとは、3D空間でレイ(光線)を飛ばし、その衝突や黄砂などのレイを追跡することでシーンを解析する手法であることなど、ごくごく基礎的なところから解説がなされ、UE4レイトレーシングの最初の一歩として網羅的かつわかりやすい内容であった。

▲レイトレーシングの基本的なしくみ

UE4でリアルタイムレイトレーシングが可能になることで、ゲーム業界からは今までにできなかった表現ができるという期待、映像業界・建築業界からは、これまでの数倍、数百倍の速度で画像を生成できるという期待がもたらされた。主な特徴としては次の5つ。レイトレーシングならではの表現について、従来型の表現との違い、メリット、制限などがわかりやすく解説されている。

 ●Reflection(反射)
 ●Shadow(影)
 ●Global Illumination(大域照明)
 ●Ambient Occlusion(アンビエントオクルージョン)
 ●Translucency Refraction(半透明屈折)

また、UE4のGPUレイトレーシングにまつわる3つの課題も紹介された。

 ●レイトレのための世界の構築する必要がある
 ●レイの経路の複雑さ(未対応の経路がある)
 ●ノイズとの戦い、コンテンツに合わせて最適なノイズ対策、デノイザを活用する

UE4を映像制作に用いる場合、UE4.25からBeta版として搭載されているHigh Quality Media Exportという機能が便利に活用できるとのことだ。

<2>8月18日(火):UE4.25のレイトレで出来ること/出来ないこと

●講演動画

●講演資料

UE4.25のレイトレーシングで出来ること/出来ないこと from Satoshi Kodaira

2日目は、UE4やSubstance Designer、DirectXなどを幅広く解説するWebサイト「もんしょの巣穴」管理人のもんしょ氏より「UE4.25のレイトレで出来ること/出来ないこと」と題した動画が公開された。内容は昨年の「UE4 Ray Tracing Night @ Tokyo」のアップデートとのこと。

●昨年の講演資料

UE4のレイトレで出来ること/出来ないこと from Satoshi Kodaira

UE4.25でProduction Readyになり、製品にレイトレが使えるというEpic Gamesのお墨付きを得たと思いきや、実際には波乱万丈な道のりが待ち構えている。UE4.25では、下記のような発表、特徴が紹介された。

 ●描画可能なオブジェクトが増えた。World Position Offsetへの対応
 ●既知の不具合がいくつか修正され、挙動の見直しによる高速化が図られている
 ●レイトレ描画のためのテクニックは前バージョンから特に変わりはない
 ●NVIDIA RTX/GTXシリーズのみならずAMD RDNA2への対応も発表
 ●新ゲームコンソールPS5とXbox Series Xが対応を発表

▲レイトレを使った半透明のガラス表現が可能となった

<3>8月19日(水):UE4 Ray Tracingによるリアルタイムコンテンツ制作

●講演動画

3日目に登場したのはEpic Games Japan Developer Relations Tech Artistsの小林浩之氏。UE4のレイトレーシング機能は実際どうなのか?ということで、AO(アンビエントオクルージョン)、GI(グローバルイルミネーション)、Sky Light(天空光)、Reflection(反射)、Translucency(半透明)といった機能をできるだけ使い、4K60fpsの映像制作における品質、パフォーマンス、ノイズについて検証した内容が紹介された。

▲動き続ける列車と動的ライティングのテスト

検証結果をまとめると、以下の通り。
●AO(アンビエントオクルージョン): クオリティ、パフォーマンスとも優秀。リアルタイムコンテンツに使えるレベル
●GI(グローバルイルミネーション):速い動きに弱い。デノイザの調整でリアルタイムも可能
●Sky Light(天空光):シャドウ関連の問題に注意。速い動きに弱いがデノイザの調整で改善
●Translucency(半透明):正確には映らない部分を把握しておく。広い面積で利用するには厳しい

▲すりガラスのような柔らかい透明表現のクラゲの作例

レイトレーシングを活用してコンテンツを制作するメリットは、以下のような点にあるという。

 ●ライティングの動的変化に追従できること
 ●反射やライティングの物理的な正確さ
 ●イテレーションの速さ。ベイク不要なので、モデル作成からライティングまでの試行錯誤がかなり素早くできる

一方デメリットとしては、処理負荷、未対応な部分があること、動きがあるとノイズが増えることなどが挙げられるとのこと。

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<4>8月20日(木):映像勢のためのUE4レイトレ2020

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