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D4A×knead ゲーム・映像・フィギュア 一気通貫セミナーレポート

D4A×knead ゲーム・映像・フィギュア 一気通貫セミナーレポート

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ゲームや映像向けCGコンテンツ制作を主業務とする『D4A』と3Dプリンタを用いたデジタル原型師集団『Knead』。両社の代表取締役を務める木村和宏氏を講師に迎え、同じモチーフでゲーム、映像、立体物それぞれの用途に合わせた制作フローを解説する「D4A×Knead ゲーム・映像・フィギュア 一気通貫セミナー」が、ヒューマンアカデミー東京校にて開催された。
本セミナーでは3DCGデータが本来持つマルチユースの可能性について気づきを与えるべく、ゲーム・映像・立体造形それぞれのジャンルで用いられるCGの共通点と差異に触れながら、目的に合わせた最適なデータの制作手法が紹介された。
ゲームグラフィックスから、映像制作、そして国内でも早期にデジタルによるフィギュア原型制作に着手するなど、多数の製作実績を誇ってきた木村氏だからこそ出来る貴重なセミナーとなった。
本稿ではセミナー内容の一部を紹介していこう。なお、セミナーは「名古屋校」でも開催予定となっているので興味のある方はぜひチェックしてもらいたい。

イベント情報

INFORMATION
映像のプロフェッショナル集団×デジタル原型師集団 ゲーム・映像・フィギュア一気通貫セミナー

■日時:2016年2月14日(日)13:00 ~ 15:00(受付開始:12:30~)
■会場:ヒューマンアカデミー名古屋校
■主催:総合学園ヒューマンアカデミー
■申込み:こちらから

D4A

"Digital Design For Analogs -感性のためのデジタルデザイン"をモットーに、人間の情緒と感性を重視したものづくりを追求する株式会社D4A。古都京都というロケーションを強みに、ゲームグラフィックから遊技機映像の3DCGパート制作、 京都×CG=D4Aという方程式で関西の3DCGシーンに独自のカラーを添えている。

knead

3DCGアプリケーションを駆使し、フィギュアや玩具などの原型製作に特化したCGプロダション。国内でも早期にデジタルによるフィギュア原型制作に着手し、多数の製作実績を誇る、ハイクオリティかつ効率的な制作手法が注目を集めている。

3次元データについての基礎的な整理



「仮想空間の中で立体を作るという意味では同じ事ですが、"最終成果物が何か"によって、事前の準備や作り方が違います」と木村氏。まずデジタルで扱える素材とその違いを理解する為に、ポリゴン、自由曲線、ボクセルの3つの特徴と、メリット、デメリットについて詳しく解説を開始した。

「ポリゴンは、空間に頂点をおいて、面を作って構成されているものとなり、データも軽く、自由に形状が作れます。しかし平面であるため、綺麗なカーブを作成するには、面を細分化する必要があります。代表的なソフトウェアとしては3ds MaxやMaya、modo、Blenderなどが挙げられます。

自由曲面は、曲面を数式で表現しているためデータが軽く、データを拡大縮小しても精度が高いまま維持されます。定規やコンパスで絵を描く感覚に近いため、メカや建築物など形状がカッチリしたものや、金型などの寸法精度が必要とされる設計には適しています。一方で、有機的な形状を持つ、クリーチャーや美少女フィギュアなどの作成には大変苦労します。代表的なソフトとしては、SolidWorks、Pro/ENGINEERなどが挙げられます。

ボクセルは、ピクセルで描かれた画像が奥行方向に何枚も絵があるイメージです。"厚み"をもっているので削ったり盛ったり、また中身の詰まったものを作る事が出来ます。彫刻のように非常に直感的に形状が作り易いのがポイントです。しかしデータが重くなり、細かいものを作成しようと思えば思うほど、PCへの負荷も高くメモリも必要となります。3D-COAT、Freeformが代表的なソフトといえるでしょう。」と木村氏。 このように解説は一つ一つ非常に判り易く、作り方の違いに関しても同様、その特徴と用途、代表的なソフトウェアについて、図を用いながら丁寧に進められた。







ゲーム、映像向けCG制作の注意点

次にゲーム、映像それぞれのデータの作り方、考え方や注意すべき点が解説された。「ゲームでは、ユーザーの操作により、ライティングなど常に条件が様々変化されるため、30fpsまたは60fpsといったスピードで情報を書き換えて描画していくリアルタイムレンダリングが必要となります。
ハードにより描画出来る制限も大きく異なるため、スペックに合わせ如何に綺麗なグラフィックを作る事が出来るかが求められます。
また、一対一の格闘ゲームと、一度に何百人も描画が必要なゲームでは同じハードでも仕様が異なります」(木村氏)。さらにアニメーションが必要な場合は、動いた時に破綻しないような形状も考慮しなければならない。このような様々な制約の中、少ないポリゴン数でシルエットをどのように整えていくかがポイントとなる。

一方、映像や静止画では、一枚の画像を作成するのに最終的に何時間掛かったとしても高精細なビジュアルを如何に作成出来るかがポイントだ。そのため、あらかじめマシンで計算させ描画するプリレンダリングが必要となる。
「ポスターなど静止画の場合は1枚ですが、映像の場合は、1枚1枚レンダリングしたものを繋ぎ合わせアニメーションとして作成されるので、モデリングで使用出来るポリゴン数もゲームとは異なり、制限こそないが、レンダリング時間と見え方を考慮しそのバランスを取る事も必要なのだ。

立体造形向け3DCGデータの作り方・3Dプリンタの原理

最後に立体造形向けデータの制作手法について解説された。「3Dプリンタなどを用いた出力を前提とするため、モデリングする際にも、ゲームや映像とは大きく異なり、現実世界のサイズを意識しなければなりません。さらに一体の塊で出力するのか、パーツ毎に分けて出力するのか、そのサイズや素材の強度を考慮したデータづくりも必要となります。また、フィギュアを制作する際には、キャラクターの瞬間的なポージングが360°どこからみても面白いと思えるポーズになっているかどうか。ここが出力物を手掛ける上での大きな目標になります」と木村氏は語る。

引き続き、初心者がよく陥りがちなミスについて解説。「ポリゴンの場合、表面はありますが、裏面は存在しません。しかし現実世界ではどんなに薄い物体でも側面がありますね。例えばポリゴンで作成した厚みがないコップなどは、仮想空間上では成り立ちますが、出力をする場合にはこういったデータはスライスしてもデータ上は線としか認識されため、出力が出来ません。外側、側面、内側すべてに厚みを作成する必要があります。またポリゴン一つ繋がっていない場合でもエラーとなり出力が出来ない為、ポリゴンに穴がないように、中身がすべて詰まっている必要があります。


例えば、映像用に制作されたクルマのモデリングデータ受け取って3Dプリンタで出力をしようとしてもこのままでは裏の厚みがないので出力ができません。そこで、まずポリゴンを繋ぎ、面を作り、裏側も作っていきます。仮想空間では面と面が交差していても問題ないのですが、出力の際にはポリゴンが交差していると、その部分は出力されなくなります。これはモデルが重なっている部分は中身がないと判断されるためです」と木村氏。この現象を回避するためには、ブーリアンを駆使したり、3D-COATなどで一つのソリッドモデルを作り上げてから出力する事が求められるとのことだ。

3Dプリンタの原理と出力時の注意点

データ制作上の注意点に引き続き、今度は3Dプリンタ出力時の注意点について、その原理に触れながら解説した。「まずは2種類の3Dプリンタについて解説します。1つ目はFDMタイプ(熱溶解積層方式)と呼ばれるもの。ABSやPLAのフィラメントをノズルで熱溶解し積層する方式で、マヨネーズで絵を描くように積み上げていくものです。比較的安価で手に入り易いタイプはほぼこのタイプとなりますね。



もう一つはSLAタイプ(光造形)といって、レーザーで光硬化樹脂を硬化し造形する方式です。透明のトレイに液体を入れて、下からレーザーをあてる事で樹脂を硬化させながら積み上げていきます。。FDMタイプと比べ非常に高精細に出力が可能となるが、金額も高価なものになってしまいますね
」。

共に3Dプリンタとして共通している事は、立体をスライスして、その断面情報を作り一層ごとに積み上げていく点だ。そのため、出力物の表面には積層痕という段差が発生する。ちょうど上からみると年輪のように見えるのがこれだ。「楕円を作成する場合、縦長にレイアウトしたほうが綺麗に見えます。これは水平方向に積み上げていく為、なだらかなものほど一つ前の積層との差が激しくなる為です。しかしなんでも縦長におくと、今度は出力する時間が長く掛かってしまい、出力サービスを利用する際には金額にも大きく影響ががでてくるので、そのバランスを考慮する必要があります」と木村氏。出力する際は、どのようなところを傾けて出力すると綺麗且つ効率的であるかレイアウトを考える必要があるだろう。



更に出力時には、サポート材というものが必要となる。これは円形などの不安定な形状を固定したり、上を向いた矢印のような形状(下図参照)を下から順に積み上げた際に、下に空間がある部分は支えるものが無いと形状を維持出来ないためという2つの理由から必要とされる。



また、サポート材はソフトウェアで自動計算させ作る事も出来るが、必要に応じて手を加えたモデルのほうが、確実で綺麗なものとなるとの事だ。下図はAutodesk MeshMixerのサポート機能を使ってサポートを自動作成した後、補助的に手作業でサポートデータを追加し、レイアウトしたものだが、青くなっている部分が手を加えた部分だ。最適なサポートを作成するには、モデルの形状を適切に理解する事に加え、3Dプリンタの特性も良く知る必要がある。積層痕などを極力抑え、如何に効率的に確実に出力出来るか。ここには長年の研究と経験により培ってきたノウハウが大きい。まずは一度、実際に3Dプリントを経験する事から初めてみるとその理解も大きく深まる事だろう。





最後に木村氏からのメッセージを送る。「まずは目的に合わせた作り方を知ることが大事です。それさえ押さえれば ゲーム・映像・立体物のどれもモデリングが可能です。造型センスは目的に関係なく必要となりますので、それぞれのジャンルの良い作品にたくさん触れてください。そうすれば色々なフィールドで活躍出来るクリエイターになれるのではないかと思います」。

TEXT_永岡 聡(lunaworks)