新進気鋭の CG スタジオ ModelingCafe が ZBrush を用いた制作技法を解説していく本短期連載。回数限定で記事の一部と動画を公開する。第 1 回で紹介した全体のワークフローに続き、第 2 回はさらに掘り下げた ZBrush の基本的なツール解説と、同社のデザインアプローチについて紐解いていこう。
©ModelingCafe
下ごしらえ/リファレンス
何かをつくり始める前には、必ず十分な時間をとってリファレンスを集めます。最近は Pinterest というサービスで資料を集め、PureRef という募金制のリファレンスソフトで集めた画像を閲覧しています。また、ローカルに落としたファイルは Clover というソフトで Windows Explorer を Chrome 化させ、閲覧の際に効率化を図っています。前回(本誌 192 号)のメカの資料には様々な工業製品、ミリタリー製品を参考にしました。集めた画像を下に何をつくるか頭で整理整頓し、途中で大きな変更が出ないように大体の方向性を決めておくことが大切なのです。
左から、Pinterest、PureRef、Clover下ごしらえ/デフォルトスケール
スカルプトを始める前に重要となるのがオブジェクトのデフォルトサイズです。角の立っている小さなパーツがたくさん出てくる今回のようなモデルでは、間違ったサイズで DynaMesh をかけるとディテールが飛んでしまいます。自分が基準にしているのは、一番小さいと思われるネジなどのオブジェクトに Resolution 512 で DynaMesh を使用したときの結果が 100,000 ポリゴンくらいであることです。デフォルトのサイズよりもかなり大きくする必要があるため、Scale モードで少ずつ大きくしていくより[Deformation→Size]で一気に大きくします。
【ネジのオブジェクトの例】
<中>サイズが小さすぎるため、ディテールが飛んでしまっている
<右>十分なディテールが確保されている
月刊 CGWORLD 193号 に本作のメイキングを掲載
TEXT_山家 遼(ModelingCafe)
制作スタッフ&執筆陣
〈前列〉左から、吉川貴弘呂(モデリング)、木村佳介(モデリング、テクスチャ)、北野修平(モデリング)/〈後列〉左から、松本龍一(ルック・デベロップメント)、山家 遼(コンセプトモデリング)、一瀬 隼(モデリング)、吉田雄貴(モデリング、テクスチャ)、紙谷瑛彦(モデリング)。以上、ModelingCafe(※敬称略)
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