2016年1月10日(日)より放送が始まったNHK大河ドラマ『真田丸』。初回の視聴率は19.9%と、過去2年を上回る好調なスタートをかざった本作では、王道の戦国時代を舞台としながらも、"新たな試み"が随所に凝らされている。その典型が、ここに紹介するタイトルバックだろう。
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 212(2016年4月号)からの転載記事になります
TEXT_須知信行(寿像) / Suchi Nobuyuki(JUZOU STUDIO)
EDIT_沼倉有人 / Arihito Numakura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota
原点回帰をしつつ新たな難関へ果敢に挑む
今年のNHK大河ドラマ『真田丸』タイトルバックのコンセプトは、ずばり「実写への回帰」。近年は3DCG主体のものが続いたが、真田信繁の生きた乱世の時代を描く上では、日本各地の秘境や史跡における実写ロケが効果的と考えたと、タイトルバック制作のクリエイティブ・ディレクターを務めた佃 尚能氏(NHK)はふり返る。しかし、戦国時代ならではのスペクタクルを実写だけで表現するのは困難であるため、実写の力をVFXでさらに高めるというアプローチが採られた。そこで日頃からNHKとタッグを組んでもらえる先進的な外部パートナーの開拓に励んでいるという佃氏が白羽の矢を立てたのが、新宮良平氏(EPOCH)と彼が率いるVFXチームLili。「実写+CGという手法で、今カッコイイ映像をつくっているのは誰だろう? と探していく中で新宮さんたちの画づくりに感銘を受けたのです。今回は企画&全体のディレクションを佃が行い、新宮さんのチームには映像演出ならびにVFXワークに専念していただきました」(佃氏)。
5分でわかる『真田丸』 ~第1回「船出」~
ビジュアルのソースとしては、異能の左官職人・挾土秀平氏による題字をはじめとした重厚な土壁や日本の実景でありながらも海外のファッション映像的なルックが志向された。そこでNYのアートシーンで活動していたキャリアをもつ、正田真弘氏(D-CORD)がキャメラマンとして参加。こうして佃氏をはじめ中核スタッフはいずれも20~30代という若い力によって、これまでになかったタイトルバックの実現という挑戦が始まった。「1年を通じて放送される大河ドラマでは、いつも戦場が舞台として描かれるわけではありませんし、今回は脚本が三谷幸喜さんということでコメディタッチのシーンも登場します。その意味でも、毎回の始まりにスペクタクルあふれるタイトルバックが流れることによって、ごく自然に作品世界へ入り込んでもらおうというねらいもありました」(佃氏)。
左から、真吾氏(Lili)、新宮良平氏(ディレクター、EPOCH/ Lili)、田崎陽太氏(Khaki)、佃 尚能氏(クリエイティブ・ディレクター、NHK)、荒牧大貴氏(Lili)
epoch-inc.jp/works/sanadamaru
<Topic 1>プリプロダクション
難航を極めた屋外ロケ
本プロジェクトを時系列でふり返る。まずは2015年の初夏、佃氏が新宮氏へオファーしたという。そして佃氏が作成した企画コンテを叩き台として、撮影プランや具体的な映像化の手法が詰められていった。「佃さんから提供されたコンテが非常に詳細で、どんなビジュアルを描きたいのかが明確だったので自分としてはやりやすかったですね」(新宮氏)。実写の収録について、メインカメラにはALEXAを、ドローンにはRED EPICを採用して4K解像度RAWの60~120fpsで収録された。8月下旬に都内スタジオにて挾土氏が作成した題字などの土壁素材の収録をかわきりに、9月中のクランクアップを予定していたそうだが、屋外ロケが難航を極めたという。「そもそもロケ地自体に秘境が多く、気軽に行けないという問題があったのですが、さらに美ヶ原高原(長野県松本市)のような高地では実際に登ってみないと雲海が撮れるかわからず、最終的に5回も登頂する羽目になりました(苦笑)」(佃氏)。
最終的に全ての実写素材がそろったのが11月に入ってからのこと。前述のとおり、本作のコンセプトは「実写+CGで創り出すスペクタクル」のため、実写プレートが届かないことにはVFX作業を進めることができない。「本作は、3分ちょうどの尺が38カットで構成されています。中盤に登場する架空の城内を再現したシーン(スタジオ収録)を除き、約7割のカットには何らかのかたちで3DCGが絡んだためテイルヘビー極まりましたね(苦笑)」(新宮氏)。一連のVFXワークは、Liliの荒牧大貴氏と真吾氏、そしてKhakiの田崎陽太氏の3人でやりきったというから驚かされる。「企画当初から難易度の高いVFXが求められることがわかっていたので、かなり早いタイミングで田崎さんをつかまえておきました(笑)」(新宮氏)。実写素材のロトスコープは、AfterEffects(以下、AE)のPrimatte Keyerによるキーイングと手作業が中心、カメラのマッチムーブにはSynthEyesを、スタビライズはAEの標準機能で基本的には対応したとのこと。現在はディレクターとして活躍する新宮氏だが、もともとはデジタルアーティストということで最終的なコンポジットワークは自ら行なったという(新宮氏の強みのひとつだろう)。また、最終的にカラーグレーディングが行われるため、VFX作業時は仮のLUTを配布し、なるべく最終の見え方に近い状態で作業を進めたそうだ(フルHD解像度の16bit DPXフォーマットで納品)。
1−1.企画コンテ
▲佃氏が作成した企画コンテの例、イメージボードをベースに構成されている。<A>昨年8月25日(火)に行われた技術打ちの資料として用意されたもの/<B>クライマックスの軍勢シークエンスの企画コンテ
1−2.イメージボード
▲プリプロ段階で描かれたイメージボードの例
1−3.撮影プランの検証
▲クライマックスに登場する実写の騎馬カットの撮影プランをまとめた資料と、ロケ収録時の様子
▲中盤に登場する挾土秀平氏が作成した4種類の土壁をスタジオ収録するにあたっては、カメラワークの速度や距離感を事前に検証するためのプリビズが作成された
<Topic 2>題字に対する破壊エフェクト
3ds Maxの強みを活かした定番FXプラグインの併用
ファーストカットからカメラがトラックダウンしながら暗転すると、左官職人・挾土秀平氏(www.syuhei.jp)により描かれた題字が浮かび上がる。すると、その題字がダイナミックに破壊されるというVFXを担当したのが、Liliの荒牧大貴氏だ。新宮氏の代表作として、ONE OK ROCK『Mighty Long Fall』MV(SPACE SHOWER「MUSIC VIDEOAWARDS(MVA) 2015」BEST VIDEO 50ノミネート)が挙げられる。そんな同作のクライマックスに登場する床が崩落するという大規模な破壊エフェクトを手がけたのが荒牧氏ということで、今回はさらに進化した破壊エフェクトに挑戦したという。「今回も『MightyLong Fall』のときと同じく3ds MaxプラグインのthinkingParticles(以下、tP)をメインに利用してます。ですが、当時から課題になっていた破片断面のディテールを高める手段として、今回はV-Rayディスプレイスを利用しました。破壊のシミュレーションについてはハイポリのまま計算すると高負荷すぎるため、ローポリ化したオブジェクトでシミュレーションをかけ、それに対してハイポリで近くのローポリ破片を検索して親子付けをするように設定しています」(荒牧氏)。ひびの形状については、ひびを手描きした白黒マスクを作成し、その画像をRayFire Trace機能でトレースさせることで効率化が図られた。
初期のテイクでは、題字にひびが大きくかかりすぎているとリテイクが発生したそうだが、ベースのSim設定をプロシージャルに組んでいたことからスムーズに対応できたという。「当初はもっと寄りの状態から破壊エフェクトが入ってくる想定だったこともあり、ハイポリで作成していたのでレンダリングコストがかなり大きくなりました。そこでクラウドレンダリングを利用しようと思ったのですが、tPのバージョン6に対応しているサービスがなかなか見つからず、最終的に「RENDER 4U」というドイツの業者を利用しました。ところが、ジョブを投げる際にtPのキャッシュが自動的に繋がらないため、メールで繋ぎ方を伝える必要に迫られたのですが、ものの見事に間違えてくれたり、といった想定外の災難にも見舞われました(苦笑)」(荒牧氏)。そうした苦労の甲斐もあり、インパクトあふれる破壊エフェクトに仕上がっている。
2−1.thinkingParticlesによる、ベースSim
▲<A>実際にシミュレーションを行うローポリのモデル/<B>レンダリングに使うハイポリのモデル。シミュレーションに親子付けする/<C>tPのシミュレーション設定
2−2.RayFireによる、ひび割れガイドの作成
▲<A>ひび割れ用ビットマップ画像。この画像に沿ってひび割れを発生させる/<B>RayFireTraceにビットマップ素材を適用した状態
2−3.ブレイクダウン
▲ 本ショットの主なレンダーパス。<A>ビューティ/<B>アンビエントオクルージョン/<C>スペキュラ/<D>マットシャドウ/<E>マスク(その1)/<F>マスク(その2)/<G>熱エフェクト用マスク(溝部分)/<H>熱エフェクト用ノイズテクスチャ/<I>煙素材
▲ ショットブレイク。<A>実写素材/<B>不足している箇所をレタッチ/<C>ひびを合成/<D>破片を合成/<E>煙を合成/<F>ひびの間からこぼれる熱エフェクトを合成し、ルックを整えたVFXとしての完成形(この後、グレーディング処理が施される)
<Topic 3>実写ロケ素材のエクステンション
ドローンは手軽で便利されど思わぬ難題も
荒牧氏による題字の破壊エフェクトが明けると、米子大瀑布(長野県須坂市)、備中松山城(岡山県高梁市)、松代城(長野県長野市)、戸隠神社(長野県長野市)など、日本各地の名所や秘境を捉えたシーンが続いていく。その一連のVFXを手がけたのがKhakiの田崎陽太氏だ。ダイナミックなランドスケープを収めるべく大半のショットがドローンによる空撮であるが、それゆえに様々な難題が発生したという。
「ドローンによる空撮は、確かに迫力ある画が撮れるのですが、軽量で小型ゆえにカメラの揺れが大きいんです。ターゲットのマーカーを配してもすぐにフレームアウトしてしまうので、トラッキングとスタビライズにはとにかく苦労しました」(新宮氏)。特に難問となったのが、ここに紹介する備中松山城のショット。滝のように水が流れる石段に沿って上昇し、土壁に配された鉄砲穴へとカメラが入り込んでいくというショットだが、実写素材を加工するレベルでは綺麗に穴に入り込むカメラワークが不可能だったことから、CINEMA 4D(以下、C4D)上で実写素材をカメラマップさせ、CGでカメラワークをイチから付け直すことで対応した。「石段を流れる滝も、ストックしていた実写のアーカイブ素材をカメラマップしています。塀や瓦、周辺の岩、草などの環境はMARIによる3Dペイントで作成しました」(田崎氏)。石段に水が流れる表現は、発案した佃氏自身もコンテを描いていた段階から懸念していたという。「企画の段階で弱気になったらダメだと、われながら難しい表現を随所に入れていたので、『本当にできるのかな?』と思っていました。無理なら、きっと新宮さんがNGを出すだろうと思っていたのですが(笑)、最後までダメと言われることなく、見事にやり遂げてくださったので感心しました」。
レンダリング負荷のVFXについて、Liliの荒牧氏の場合はクラウドレンダリングを利用していたが、Liliと同じく少数精鋭のブティックスタジオであるKhakiでは、GPUレンダラのOctane Renderを利用しているとのこと。「Octane用にGeForce GTX TITANを3枚挿したPCを数台導入しています。OctaneはC4Dにも完全対応しているので重宝しているのですが、電気代が馬鹿にならないのが悩ましいですね(苦笑)」(田崎氏)。
3−1.CINEMA 4D上に実写素材を再構築
▲ <画像上>序盤における見せ場のひとつ、備中松山城(岡山県高梁市)の実写ロケ素材をベースにしたCINEMA 4Dのシーンファイル。ドローンで収録した実写素材のカメラ揺れが大きい等の諸問題から各種実写素材をC4D上でカメラマップするかたちで作成された/<画像下>石段に沿って流れ落ちる水流は実写のアーカイブ素材をカメラマップしている
3−2.MARIによる3Dペイント
▲<A>実際の備中松山城は白壁だが、挾土氏が作成した土壁と瓦をMARIによる3Dペイントによって描き込まれた/<B>RED EPICを搭載したドローンによる
収録模様
3−3.ブレイクダウン
▲ <A>オリジナルの実写プレート/<B>背景素材、手前の杉はCGで遠景はマットペイント/<C>石段を流れる水流まわりの素材。上述の通り、水は実写で陸地はCGで拡張している/<D>土壁ならびに瓦素材/<E>各素材を素組みした状態/<F>カラコレ等を施したVFXとしての完成形(この後、グレーディング処理が施される)
<Topic 4>600騎からなる"魚鱗の陣"
ハリウッドでも実績のあるMiarmyを初導入
タイトルバックのクライマックスをかざる真田の騎馬軍勢が「魚鱗の陣」で駆け抜けるというショットを手がけたのが、Liliの真吾氏。この群衆表現を生み出すにあたり、Mayaプラグインの群衆シミュレーションツール「Miarmy」を初めて使ってみたという。当初の予定では、比較的シンプルな俯瞰のカメラワークだったため、Mayaのリファレンス機能で対応する予定だったというが、実際に上がってきた実写素材を確認したところダッチアングルに加えて大胆なパースのついた複雑なカメラワークだったため、群集シミュレーションツールを用いることにしたとのこと。「各キャラクターのモーション自体はシンプルだったので、Massiveのようなハイエンドなシステムは必要ないと判断しました。そもそも手に余りますし(笑)。そこで小スタジオで使いやすいと定評のあるMiarmyを採用することに決めました」(真吾氏)。ただ、初めて使用することに加え、スケジュール的にイチから検証する時間的な余裕もなかったことから、導入実績があり、新宮氏と真吾氏が以前在籍していたダイナモピクチャーズに協力を求めたという。「住田(永司)さんに相談したところ、快諾していただけました。実作業はひとりでやりきりましたが、操作や仕様でわからないときに技術サポートしてもらいました」(真吾氏)。
9月頃からMiarmyの習得と騎馬のモデリング、セットアップを開始。当初は具体的な陣形のリクエストはなかったそうだが、最終的に戦国ファンから人気の高い「魚鱗の陣」で駆けさせることに決まったため、その対応にも追われたという。「軍勢としてのバラツキを抑えつつ、騎馬同士が接触しないように一定の距離を置いたかたちでシミュレーションをしてみたところ、走らせると段々と陣形が崩壊してしまったのです。最終的に一度キャッシュを取った上で微調整しています」(真吾氏)。レンダリングはV-Rayで行い、個々の騎馬は一定のつくり込みを施したそうだが、600騎からなる軍勢を全体で見た際にフラットな見映えになっていたため、コンポジットワークでスペキュラを強く乗せるといったルックの調整を行うことでリアリティが高められた。なお騎馬の足下から巻きあがる煙の表現は、エフェクトを得意とする荒牧氏が担当。Mayaから騎馬の蹄の跡だけをAlembicで書き出し(データ負荷への配慮)、それをFumeFXによる煙の発生源に用いるかたちで作成したそうだ。
4−1.群衆モデル
▲ Miarmyで制御させる群衆モデル。<A>騎馬兵、ベースモデルに複数の武器や防具を組み込み、Maiarmy側でランダムに選ぶよう設定/<B>毛や尾、垂物も全てセットアップし、最終的にベイクしたものをアクションとして使用。こちらもMiarmy側でランダムに切り替わるように設定
4−2.Miarmyによる群衆Sim
▲ <A>MiarmyのUI。群集の密度感を直感的に行えるよう、配置はメッシュベースで行なっている/<B>複数パターン作成したモデル・モーションデータをランダムに振り分けるように設定しつつ、騎馬同士が重ならないよう距離を保ったり、速度にバラつきが出るように調整がくり返された。「旗はベースモデルに含めず、Miarmy側で作成したものを使用しています」(真吾氏)
4−2.背景セット
▲騎馬が駆け抜ける地面部分は挾土氏の土壁が用いられたが、その周辺の岩山や地面のディテールは3DCGで拡張された。<A>背景の岩肌は3Dスキャンによるモデルデータを利用することでクオリティとコスト削減の両立が図られた/<B>小岩などのディテールはMayaのパーティクルで作成/<C>岩肌と地面の境界部分はZBrushによるスカルプトで馴染ませている
4−3.FumeFXによる土煙エフェクト
▲ <A>FumeFXの作業UI。動きの異なる煙素材を複数生成し、コンポジット工程で調整された/<B>ベースとなる煙素材/<C>発生箇所に応じてランダムにRGBチャンネルへ振り分けた素材。コンポ時に色むらを加えるために用いる/その他の煙素材の例。<D>足下から引っぱる動きの素材/<E>全体的に舞う煙。「FumeFXのソースとしてtPで作成したものです。馬のひづめが地面に接地したときのみに発生させました」(荒牧氏)
4−4.ブレイクダウン
▲ <A>ベースとなる挾土氏が作成した土壁/<B>CGで作成した岩山モデルを追加/<C>岩などのディテールを追加した背景セットの完成形/<D>騎馬兵や土煙を加え、全体のトーンを整えた状態/<E>フレアやカラコレを施したVFXとしての完成形(この後、グレーディング処理が施される)。非常にダイナミックなカメラワークのため、実写素材のトラッキングにも苦労したという
Column 汎用性とリッチさを最大限に両立したテロップワーク
タイトルバックの上に載るテロップワークにおいても新たな試みが実践された。こちらはNHKアートの寺部 晶アートディレクターが中心となり、今までの大河ドラマのテロップ作成手法では不可能だった細かな質感やエフェクトにも対応した新ワークフローが考案された。「テロップ自体のクオリティアップを目指すと共に、大切にしたのが大河ドラマという50週にわたり放送される番組のテロップを作成する上で、ミスが起きず安定して運用できるシステムに仕上げることでした」(寺部氏)。「もともとデザイナーである自分としては、せっかくハイクオリティなタイトルバック映像を作り出せてもその上に載るテロップがオーソドックスな白文字のノーマルフォントになってしまうことに課題を感じていました。映画のタイトルバックほど凝ったモーションタイポは難しいとしても、昨年ECSがノンリニアシステムへ移行したことを好機と捉え、テロップワークでも新たな試みを実現できないかと、寺部さんに相談したのがはじまりです」(佃氏)。
左から、小田島佑樹CGアーティスト、寺部 晶アートディレクター、山本綾子CGアーティスト、杉浦陵士CGアーティスト、小池葉子エグゼクティブプロデューサー、番井みさ子CGアーティスト、以上NHKアート。
www.nhk-art.co.jp
NHKでは「ECS(Electronics edit Control System)」と呼ばれる部署がテロップワークを担当しているが、従来まではリニア編集システムで作業が行われており、そもそもレンダリングの概念(作業)が存在しなかったため、現場スタッフの理解と協力を得ることも不可欠だったという。「タイトルバックの収録も一部参加し、狹土さんが作成された土壁の質感やライティングなどの環境を共有して、タイトルバックの世界観を最大限テロップにも反映することを心がけました。フォントも使える書体はほぼ全てテストしました」(寺部氏)。運用面では、テロップ作業者はAE上で文字入力用コンポと最終のレンダリングコンポのみを操作するだけで済むように設定することでヒューマンエラーが極力生じないように配慮。質感やエフェクトもAEの標準機能だけで表現することで、30~40分を目安にレンダリングが終了できる(プロキシは未使用)仕様になっているとのこと。
▲ <A>今回開発されたテロップ用AEコンポジション/タイトルバックのルックに応じたテロップの調整例。<B>背景の投げ縄の影の方向性に合わせ、かつ視認性が保てる強度で影を加えている/<C>竹細工と赤土の壁からサクラ色の壁に変わる際、背景の色味に合わせて影を変えている
info.
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NHK大河ドラマ『真田丸』
毎週日曜[総合]21時~、[BSプレミアム]18時~/毎週土曜(再放送)[総合]13時5分~
作:三谷幸喜/題字:挾土秀平
制作:屋敷陽太郎/演出:木村隆文
www.nhk.or.jp/sanadamaru
©NHK