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「LIMITS」とは、エントリーしたアーティストたちがリアルタイムでアートを制作し、審査員とオーディエンスの評価で勝敗を決する「デジタルアートバトル」だ。この戦いにおいてルールとなる制約は二つ。ひとつは20分の制限時間であり、もうひとつは試合直前に発表される「具体的ワード」と「抽象的ワード」を組み合わせたテーマを作品に盛り込むことだ。この二つの制約があるため、ただ上手い作品であっても、制限時間内に完成しなかったり、設定されたテーマから外れていたりすると高評価は受けられない。この制約こそが「LIMITS」の競技性とエンタメ性を際立たせており、優勝者には高額の賞金が贈られることもあって、近年その注目度はますます高まっている。

▲LIMITS 公式サイト https://about.limits.jp/

この「LIMITS」において数々のバトルで勝利を収め、世界ランキング一位まで登り詰めたアーティストがjbstyle.氏だ。氏は「LIMITS」でのライブアーティストとして活躍するだけでなく、鉄拳7(バンダイナムコ)のアートワーク、アパレルブランドRUDIE'S、格闘技イベントRIZINのメインビジュアルなど、ジャンルを問わず幅広い分野で活躍中のトップアーティストである。

今回はそんなjbstyle.氏に、AMD Ryzen プロセッサー 搭載のPC raytrek を用いて、スピードペインティングに挑戦していただいた。さらに、アーティストとしての来歴や「LIMITS」との出会い、作品の制作スタイルまで、じっくりとお話をうかがった。

なお、本記事の最後ではスピードペインティングのプロセス動画を公開しているのでぜひご確認いただきたい。

 TEXT_オムライス 駆  EDIT_池田大樹(CGWORLD)





▲jbstyle. × AMD コラボレーション インタビュー

自分のスタイルの絵を書き続けていくために、選り好みはしない

CGWORLD:まずは、jbstyle.さんの来歴からご紹介ください。

jbstyle.:もともと絵を描くことは好きだったので、学校を卒業してデザイン事務所に就職しました。とはいえ不動産のチラシだったり新聞広告だったりと、依頼を受けて、それに合わせた絵を描く仕事だったので、自分の好きなように絵を描くことはできませんでした。そこで26歳の時に「jbstyle.」というwebサイトを立ち上げて、自分の絵をそこに載せていたんです。そうするとBBSなんかで、自分が好きで描いた絵を評価してくれる人が出てきたんです。そのうちに、自分の絵で仕事として成り立つだろうかと考えて、思い切って独立しました。ただ、最初は絵をお金に換える方法がまったくわからなかったので苦労しました。

CGWORLD:見切り発車の独立だったんですね。そこからどうやって道を切り拓いてきたんでしょうか?

jbstyle.:最初はとにかく手当たり次第に企業にメールを送ったりしました。全部ダメでしたけど、もしかしたら返事が来るかもというワクワクが前に進ませてくれましたね。それから、クリエイターが集まるイベントや飲み会には積極的に顔を出すようにしていました。イラストレーターじゃなくても、写真家の人とか、ヘアメイクの人とか、色んなフリーランスに出会って話を聞いていきましたね。そうこうしているうちに、名古屋のイベントで古着屋さんに声をかけてもらって、それが友達繋がりじゃない初の受注でした。そういった経験が、結果として視野を広げることになったと思います。フリーランスは選択肢を狭めないことが大事だと思いますね、自分の中に一本筋が通っていれば、あとは柔軟にフットワークを軽くできるほうが食っていけるかなと。

CGWORLD:自分のスタイルで売っていくためには、むしろ仕事を選り好みしないほうがいいということでしょうか。

jbstyle.:そうですね、例えば十年近くイラストを描かせてもらった雑誌があるんですが、「魚類とメカを組み合わせて」みたいな、自分の中にない題材の発注があることがありました。そうすると、それを切っ掛けに、自分がそれまで触れてこなかったものについて色々と調べたりもするようになったんです。それまでは自分の好きなモノしか見ない、みたいなタイプだったんですが、そうやって色んなものに触れていくうちに、自分の中の偏見もなくなっていきましたね。そうなってくると、自分の飽きやすさもプラスになってくるというか、最初は飽きやすいからよくないなとか、深く掘り下げることが苦手だからよくないなと思ってたんですけど、それはそれで面白いのかなと。自分を肯定できるようになってきたのかなと思いました。

アートをエンタメ化することで、絵を描かない人にも興味を持ってもらえる

CGWORLD:そうやって色んなものに触れていく中で、「LIMITS」に出会ったというわけですね。ではいよいよ「LIMITS」との関わりについてお聞かせください。人前で画を描くということにプレッシャーはありませんでしたか?

jbstyle.:もともとライブハウスで紙を貼って描いたりとかはしていたので、人前で描くということに関しては他の人より慣れていたんじゃないかと思います。実際参加したときも「呼んだお前らが悪いんだからな」みたいな感じで開き直れましたし(笑)。ただ、「LIMITS」に参加して二回目くらいに後輩に負けてしまって。私は当時は普段はマウスで描いていたんですが、ワコムさんの縛りでタブレットを使わなければいけなかったんです。負けた当初は、慣れないタブレットで描くという制限があったからだ、普段通りマウスで描かせてくれたら......と思っていたんですが、やはりそれを言い訳にしちゃいけないなと思って、タブレットで描く練習を始めて、そこから楽しくなりましたね。

CGWORLD:敗戦から再チャレンジして「LIMITS」の頂点まで登り詰めたのは素晴らしいですね。それにしても、アートが競技になるのって新しいですよね。

jbstyle.絵描きがイベントをやっても、大抵は集まる人も絵描きなんですよ。だから「LIMITS」は絵を描かない人に見てもらいたいですね。ゲーム性を増したりYouTubeで配信してもらったり、そうやって間口を広げてもらったのはありがたいことです。描く側としては、観る側にどう見せるかも意識しながら、どの部分から描くかの順番を工夫したり、ひっくり返したら見え方が変わると言ったようなどんでん返しを仕掛けたりもします。仕事と違うベクトルの脳味噌を使うので面白いですね。

CGWORLD:では次に、普段使用されているPCや制作ツールについてお聞かせください。

jbstyle.:PCには特にこだわりはなくて、スペックよりは、自分が使って気持ちいいかどうかを重視しています。何があればというより、使っていてストレスがなければいいですね。ソフトはずっとillustratorです。描画デバイスは六年位前まではマウスで描いていましたが、先ほどもお話したとおり「LIMITS」を切っ掛けに、タブレットを使うようになり、現在は液晶タブレットで描いています。

CGWORLD:「LIMITS」が色んな意味で転機になったんですね。

jbstyle.:ただ、「LIMITS」は勝負ですし、入場料も取ってるのであまり遊べない、ふざけられない場所です。最近はこんな時代だからこそ、責任のない遊びをしたい、遊びで楽しい絵を描きたい、とも思います。公園でも駐車場でもいいから、子供も来て良いような場所で絵で遊びたいなとも思いますね。なので、外で気軽に描けるような設備が整えばいいなと最近は思います。surfaceとかiPadだと全部入りきらないですからね。

CGWORLD:では最後に、これから描かれる絵についてお伺いさせてください。

jbstyle.:AMDさんのCPUの処理能力の高さを表現する意味で、スピード感のあるものを近未来的に描こうかなと思っています。ただ、ある程度アウトラインだけ決めておいて、あとはその場で描きながら全然別のところから色々持ってきたりもするつもりです。あまり厳密に決めてしまっていると、それを完成させるためだけの作業になってしまうので、ライブのスピードペインティングならではの、その場の勢いなどを活かせればと思います。

CGWORLD:ありがとうございました。それでは、引き続きスピードペインティングをお願い致します。

スピードペインティング プロセス動画

▲今回の企画向けにjbstyle.さんに挑戦していただいたスピードペインティングのプロセス動画

▲完成作品、その名も「Speed Star」