>   >  日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3:日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第2回)
日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第2回)

日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第2回)

日本のアニメーション表現における3DCGの活用領域を切り開いてきた、Autodesk 3ds Maxとセルシェーディング・プラグインPSOFT Pencil+。この短期連載では、両ツールの最新版レビューを通じて、リミテッド・アニメーション表現における3DCG技法が現在どのような形で用いられているのか紹介していく。第2回となる今回は、Pencil+ 3の新機能を中心に導入事例を交えて解説しよう。

強化されたハイライト機能(スカッシュ・回析効果)

ハイライトのパラメータに、スカッシュと回折効果という2つの新機能が追加された。前バージョンまで、セル調のハイライト処理にはいくつか難点があった。アニメ表現におけるライティングは特殊であり、言うなれば形を見せるためのライティング(面取り影)だったりする。そのため、3ds Max上にて正攻法の設定でライティングを施しても上手くいかない場合が多い。言い方を変えると、良くも悪くも"正確に光を当てる"のでは、作画特有のライティングにはならないのだ。
そうした作画特有の光の描写のひとつとして、ハイライト処理が挙げられる。例えば丸いものに光を当てた場合、ハイライトは単調な丸型になる。

丸い形状に光を当てた例

丸い形状に光を当てた場合、ハイライトは単調な丸形に描かれる(鏡面反射レベル:50、光沢:50)
 

今回新たに追加されたスカッシュは、ハイライト形状を三日月型に伸ばす機能であり、より自然な変化を加えることができるようになった。[スカッシュ]の値を上げていくと、ハイライトがエッジに近づきながら、沿うように伸びていく。ただし、伸ばした分だけ面積は減るようなので、並行して他のパラメータも調整が必要となるが、作例ではハイライトの[光沢]の数値を調整した。こうすることで、ハイライトの形状を単調な円からより自然に見える楕円へと作り替えることが可能になった。

丸い形状に光を当てた例

新たに搭載された[スカッシュ]によるハイライト表現(光沢:10、スカッシュ:50)
 

一方の回折効果は、回り込みライトやエッジライトのような表現を可能にする機能である。我々が3DCGによるリミテッド・アニメーション表現に取り組み始めて間もない6年ほど前にあったなら......と夢想せずにはいられない優れた機能の1つであることを告白しておこう。当時はPencil+自体を使っておらず、こうした作画的な表現は非常に複雑な設定を施さざるを得なかったものだ。例えば、この回折効果のようなハイライトであれば、グラデーションを駆使して擬似的に光の回り込みを表現していた。もちろん、スカッシュと回折効果を設定するだけで、全てのアングルやライティングで意図通りの効果を得るのは難しいが、ぜひ試してみてほしい機能である。(文:サンジゲン・鈴木大介)

丸い形状に光を当てた例

[回折効果]の数値を上げると、従来のハイライトに加えるようにエッジライトが追加された(回折効果:50、範囲:0)
 

丸い形状に光を当てた例

そして、回析効果の[範囲]も設定可能だ(回折効果:50、範囲:30)
 

丸い形状に光を当てた例

[範囲]にマイナス数値を入力することもできる(回折効果:50、範囲:-100)この辺りは好みに応じて適宜調整してもらいたい
 

丸い形状に光を当てた例 丸い形状に光を当てた例

スカッシュと回折効果は同時に機能するので、組み合わせることでより多彩な作画ライクの表現が可能となる。画像上(光沢:50、スカッシュ:50、回折:100、範囲:0)、画像下(光沢:40、スカッシュ:37、回折:100、範囲:-100)

グラデーションオフセット マップ

実はPencil+ 2から実装されている機能なのだが、セル調のシェーディングの弱点である影の付き方やハイライトの入り方を制御する上で有効な手段となる機能なのでぜひ紹介しておきたい。グラデーションオフセット マップは、Pencil+で設定したグラデーションに対してマップを影響させ、その形に沿って出力してくれる。これにより手描き感覚で質感が設定できるわけだ。

グラデーションオフセット マップUI

グラデーションオフセット マップのパラメータは、Maxのマテリアル設定内の[高度な設定]内に用意されている
 

ここで例として、マップにフォールオフを適応してみよう。結果は以下の通り;

グラデーションオフセット マップUI

マップに何も適応してない状態
 

グラデーションオフセット マップUI

標準マテリアルの[拡散反射]に対してフォールオフを適用した状態
 

グラデーションオフセット マップUI

マップに対してフォールオフを貼った状態
 

いかがだろうか? こうして見比べてみると、フォールオフの明暗がPencil+のグラデーションに影響を与えていることが判るはずだ。今回紹介したのは、とても単純なオブジェクトであったが、既存のマップの組み合わせ次第で多彩なシェーディングを再現できる。先に紹介したハイライト効果と併せて使ってみてほしい。なお、開発元であるピー・ソフトハウス公式サイト「PSOFT WEBSITE」には、サンプルの静止画と動画が公開されているのでそちらも参考にしてもらえらばと思う。(文:サンジゲン・松浦宏樹)

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