<3>凄腕の作画アニメーターによるアクションシーンと撮影による仕上げ
作画の制作フローは一般的な作画アニメに則って行われている。すなわち、絵コンテ、レイアウト、原画、作画監督修正、動画というながれだ。テレコムのデジタル作画班はCLIP STUDIO PAINTを使用。一方で半数程度は紙での作画を行なっている現状だ。
アクションシーンが多い本作。テレコムからはアクションアニメが得意なアニメーターが多く参加した。そうした中で作画監督を務めた高田洋一氏はまさに八面六臂の活躍。「手が空いているときは、『もっとキャラクターを掴むために』とおっしゃって、前半は原画から作監作業までお一人で担当されました」(田中氏)。
後半のバトルシーンでも、「絵コンテに『一気に敵を蹴散らす忠臣。アクションはゲーム動画を参考に』と、忠臣っぽく、間にキックを入れてくださいと書いたら、とても格好良いものに仕上げてくれました。ご覧になったファンの方もそれに気づいて喜んでくれたのが嬉しかったですね」(山下氏)。
エフェクトについては、作画で描くカットとデジタルのコンポジットで処理するカットとを使い分けている。「例えば煙が上がるカット。ここは作画でないと良さが出ないので、描いてもらっています」(山下氏)。
撮影(コンポジット)は、100カット中80カット分をハイパーボールが担当。「キャラクターのグラデーションや作中の空気感を決めるのは撮影の力。ディレクターの自分が撮影まで担当することで、当初から作りたかった映像のかたちに仕上げることができました」(山下氏)。
また、撮影を担当することで制作自体への意識にも影響があったようだ。「これまでの素材を受け取って仕上げる最後の工程なので、責任重大。妥協や言い訳はききません。皆さんのタスキを受け取った感じがして、自分だけでではなく、大勢で作っているという実感がありますね」(山下氏)。「これまで作画のアニメのお仕事でもアニメーターさんや背景さんにお会いすることはなかったのですが、今回は全員打ち合わせで顔を合わせている人たちばかりで、進行状況も肌で感じましたし演出の富沢さんにもとても助けていただきました。タスキの重みを感じるお仕事でした」(三皷氏)。
●c009:忠臣に詰め寄る月夜叉
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▲【A】レイアウト。キャラクターを画面フレーム内でどのように置くかを確認するための絵。背景の原図もアニメーターが描く -
▲【B】原画。一般的にキャラクターの動きのキーとなる絵で、これを基に動画スタッフが中間の絵を描く(このカットの動画は口パクのみ)
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▲【C】作画監督による原画修正(デジタル)。修正は最小限に行われている。ここでは髪の毛の形と顎、まつ毛のニュアンス、鼻頭のシワなどに修正が入れられている -
▲【D】完成カット。背景は【A】の原図を基に美術スタッフが描き、合成する
●c060:ゲネラールの反撃
●c074:ケルパーズの行軍
●c088:グリート拘束呪式解放を放つ忠臣
●c100:ラストカット
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▲【A】エンドロールが終わった後、闇の中から浮かび上がるグスタフ。世界観設定上、重要なキャラクターでファンサービスを込めて登場させた。1カットのみの登場のため、原画はGODTAIL氏が担当。本編画面上では映っていない部分も描かれている -
▲【B】完成カット。目と指の撮影処理で恐ろしさをより際立たせている
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