長い月日をかけてクリエイティブ産業の活性化に力を注いできた都市、福岡。企業とクリエイターの礎を根底から支える行政の取り組みに賛同し、ゲーム制作会社や3DCGプロダクションが続々と福岡を目指している。彼らが見出したアドバンテージとは?

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福岡市経済観光文化局
国際経済・コンテンツ部コンテンツ振興課
ゲーム・映像係長
中島賢一氏

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exsa株式会社株式会社D・A・G

TOPICS 01
映像コンテンツ企業が福岡を目指す理由


主要都市までの交通
福岡空港~上海・東京へ90分
›海外21都市への定期航空路線
›東京・大阪ほか、国内主要都市 に毎日358便・25路線が発着

日本でいち早く「産・官・学」の連携を実現させ、2006年には福岡ゲーム産業振興機構を起ち上げるなど、盤石のかまえでクリエイティブ産業を支える福岡県福岡市。さらに本格的に支援するため、昨年、福岡市経済観光文化局国際経済・コンテンツ部コンテンツ振興課ゲーム・映像係が新設された。「企業にとって最も重要となる"優秀な人材の確保"を確実かつ効率的に支援するのが我々の任務のひとつです」とは係長である中島賢一氏だ。福岡は年間に7千人もの情報・クリエイティブ系の学生を輩出している。金の卵の宝庫である上、全国政令指定都市No.1の"若者率"が示すように、あらゆるものを柔軟に受け入れて未来を切り開く活力がみなぎっている。
また、企業にとって切実な問題となるオフィス賃料だが、東京都心と比較すると約4割で済むのは非常に魅力的な点だ。「制作本部を福岡に移し、営業拠点として小さなオフィスを東京に置くという合理的スタイルを、と考える企業も多いですよ」(中島氏)。さらに博多駅から福岡空港までは地下鉄で約5分と目を疑う近さであり、県外での打ち合わせもタクシーを拾うような気軽さで可能だ。学校が優秀な人材となるにふさわしい基礎的創造力を伸ばし、企業が切磋琢磨し合ってより良い環境づくりに努め、行政がそれらを根底から支え橋渡しをする。見事な連携プレーが好循環を生み、日本全国、海外に向けて、日本のゲーム・映像業界の成長を促すための地盤を築いているのだ。


TOPICS 02
優秀な人材育成と
未知の可能性に挑戦する


「クリエイティブ・エンターテイメント都市・福岡」の実現を目的とした産官学の強い連携によって設立された任意団体Creative Lab Fukuoka。あらゆるクリエイティブ関連産業の橋渡しをし、異業種間の交流や連携を促すことで垣根を超えた新たなビジネスの創出で地域経済の発展を目指している。

行政による組織、福岡ゲーム産業振興機構は実際どのような支援をしているのだろうか?「クリエイターの力を高める目的で"福岡ゲームコンテスト"を主催しています。今年で7回目を迎え全国から毎回400点近くの応募が寄せられています」(中島氏)。審査員として、福岡のゲーム開発会社であるレベルファイブ、サイバーコネクトツー、ガンバリオンの代表各位が参加、大賞には賞金30万円が支払われる。他にも、福岡のゲーム会社で2週間から1ヶ月、時にはゲーム1作品が完成するまでの間、制作現場に体験入社することができる『FUKUOKAゲームインターンシップ』がある。これらは福岡のゲーム会社で組織されているGFF(Game Factory's Friendship)と両輪になって進めている取り組みだ。またCGや映像の分野ではモンブラン・ピクチャーズやフォレストハンティングワン、ハッピープロジェクトといったCGプロダクションが、話題作を次々と発表し注目されている。「これら各 分野のクリエイティブ企業が連携し、新たなビジネスへと発展できるよう異業種間交流会やセミナーを開催するなど、可能性の場を積極的に提供しています」(中島氏)。実は中島氏は、IT企業でソフトウェア開発をしていた経歴をもっている。それゆえ、彼のゲーム・映像業界への献身にはリアルな説得力が感じられる。現在福岡で開催されるゲーム・映像系のイベントは年間で優に100を超える。クリエイターのモチベーションアップの機会をもっと質の高いレベルに引き上げ提供するために、手と足と頭を使ってバックアップしていきたい、と中島氏は目を輝かせて話す。

福岡で働くクリエイターに聞く!

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田川杏美 氏
exsa株式会社 福岡スタジオ
制作部デザイナー

Q1 東京から福岡にUターンした理由は?
家族や古くからの友人が沢山いる地元が一番の理由です! また、"都会過ぎず、田舎過ぎず"のバランスがとれた住みやすい環境なのも魅力です。オフィスのある天神はおしゃれなカフェやショップが並ぶ地域で、そのすぐ近くの博多駅周辺は映画館やショッピングができる施設が沢山あるので、仕事帰りに遊びに行くこともできます。
Q2 住んでみてわかる福岡の魅力は?
とにかく環境の良さは抜群です。都心部から少し離れると海や山などの自然に触れることができるうえ、どこに行っても食べ物がおいしいです。私が個人的に一番魅力に感じているのは家賃の安さです。福岡の都心部でも6万円も払えば一人暮らしでも広くていい部屋に住めます。家族がいるクリエイターの方には特にオススめな土地です!
Q3 また東京で仕事をしたいと思うことはありますか?
東京の仕事にも魅力を感じることはありますが、今は福岡にいながら東京と同じ内容の仕事ができる環境を得ることができ、好きな仕事に満足するかたちで携われています。慌ただしく不規則だった東京の暮らしを抜けて、規則正しいゆとりのある現在の暮らしは自分にとても合っているので、このままずっと福岡で仕事をしていきたいです。

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中丸拓郎 氏
株式会社D・A・G 博多スタジオ
デザイナー

Q1 東京で働くという選択肢はありましたか?
地元が鹿児島なので、職場の立地条件として"帰省が苦にならない距離"であることと"適度に都会である"という2点を重視していたので、上京願望は低かったです。ただ、東京には同業者交流の機会がたくさんあるのは少し羨ましい点なので、これからは福岡でも業界交流の場を増やして行こうと同業種の友人と計画中です。
Q2 福岡での暮らしについて色々おしえてください
4万~6万ほどで8~12畳の1Kバス・トイレ別の部屋が借りられます。都心部から少し離れるともっと安くて広い部屋がありますね。昼食はお弁当だとワンコイン、外食になると、定食、海鮮、中華などが600~700円程度で食べられます。休日は映画を観たり本屋に行ったりと特に変わったことはしませんが、たまに天神大通りの屋台で飲んだりします。
Q3 福岡で暮らしていて実感する福岡の魅力はどんなところですか?
適度な都会で大抵のものはひと通り揃っている上、都会エリアが1カ所に集中しているので、移動が少なくて済み交通費もたいしてかからず便利です。福岡空港から都心部までの近さも国内随一で、全国・海外どこへでもアクセスしやすいフットワークの軽さも魅力のひとつです。あと、絶対に外せないのはゴハンのおいしさです!

TEXT_UNIKO