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いうまでもなく、CGプロダクションにおいては不可欠の存在である大容量ストレージ。 社内のネットワーク上に、共有先として様々なNASを設置しているプロダクションも多いだろう。TB単位の容量を確保できる、複数スタッフの同時アクセスが可能、各種セキュリティ・バックアップ機能を備えているなど、NAS には数多くのメリットがある。

今回紹介する白組では、Synologyの5ベイ NAS サーバーであるDS1515+を、都内3箇所(青山スタジオ(本社)、三軒茶屋スタジオ、調布スタジオ)全てで導入している。DS1515+は、2台の Synology DX513 ユニット をつなぐことで最大 90TB の容量を確保できる拡張性を誇っているが、「その用途は単なる大容量ストレージに留まらない」と同社システム部 部長の鈴木 勝氏は語る。白組におけるDS1515+の活用事例を、鈴木氏への取材を通して紹介しよう。



青山スタジオのサーバールームの一角に設置された2台のDS1515+(写真内の左)と、その"健康"状態をチェックする鈴木氏。普段は、ネットワーク経由で遠隔からチェックしているそうだ

プロジェクトに紐づかない各種データをDS1515+に格納

白組におけるストレージの用途は、大きく分けて2つある。1つは、年間約300を数えるプロジェクトの、アセットデータ、レンダリングデータといった各種データの格納。もう1つは、プロジェクトに紐付かない各種データの格納だ。DS1515+は、後者のデータを格納する目的で導入されている。

  • 「DS1515+の導入以前は、Windows Storage Server 2008を使っていました。これの導入は2008年頃で、最初はプロジェクトのデータ格納用に使い、リプレイスのタイミングでプロジェクト外のデータ格納用へと使い回したのです。いわゆる"お下がり"の再活用ですね。とはいえストレージサーバーというのは非常に堅牢で、故障することなく稼働を続け、気付いたら導入から7〜8年が経過していました」。最新のNASと比較すれば消費電力は大きいうえ、そろそろ壊れてもおかしくない頃合いだった。そこで、代わりとなるNASの検討に入ったという。

「その当時、DS1515+はまだ発売されていませんでした。けれどSynologyのNASと、その管理ツールのDSM(DiskStation Manager)に興味があったので、RackStation RS814+(2016年2月現在、販売終了)を検証用に導入してみました」。このように、ハードウェアもソフトウェアも、まずは買って試してみるのが鈴木氏たちの流儀だという。「実際に社内のどこかに入れてみて、仕事のなかで使ってみなければ、自分たちに合っているかどうか判断できないと思うのです」。この検証で手応えを得た鈴木氏は、続けてDS1515+を導入。徐々に台数を増やし、現在は都内3箇所にあるスタジオの全てで活用しているという。

様々な機能をDS1515+に一元化することで管理コストを削減

「各スタジオのDS1515+には、アプリケーションやプリンタドライバのインストーラ、各種ツール、OSのディスクイメージなどを格納してあります。こういうプロジェクトを横断して必要とされる"ちょっとしたデータ"を格納するのに、DS1515+は適していると思います」。

  • DS1515+の外寸は、157 mm x 248 mm x 233 mm と非常にコンパクトだ。メモリもストレージも導入後の拡張が可能なので、まずは手頃な価格帯の構成で導入し、必要に応じて見直せば良い点も嬉しい。プロジェクト外のデータを社内のスタッフ間でやりとりする場所として、リーズナブルな存在といえよう。

制作に使用されるインストーラやツール類は、単体でみればたいした容量ではない。しかし、古いバージョンを含めたすべてのデータが積み上がると、大きな容量になってしまう。そのため、各スタジオ内に設置したDS1515+に格納しておく方が使い勝手が良いと鈴木氏は続ける。「例えば青山スタジオに設置したDS1515+で一括管理した場合、ほかのスタジオからダウンロードしていると時間がかかってしまいます。それよりも、同じデータを各スタジオに配置しておいた方が、時間を節約できるし、予備にもなります」。

一方で、データによっては本社のある青山スタジオ内のDS1515+で一括管理しているという。「スタジオ間の地理的な距離を越え、誰もが気軽にアクセスし、データ共有できる場所もあった方が良いので、青山スタジオの1台は社内の全員がアクセスできる設定にしてあります」。アクセス権は同社に勤務する200人以上のスタッフに配布されているが、今のところデータ容量の制限や、定期的なデータの消去などは行っていないという。

  • 「TB単位の大容量を用意してあるので、まだまだ余裕があります。それにプロジェクトのデータを入れる場所ではないので、大した容量のデータは格納されないのです」。今後必要になれば、本体のフロントから簡単にストレージを増設できる。この手軽さも安心材料だと鈴木氏は補足する。

さらにDS1515+は、Webサイト、メール、プリンタサーバーとしての機能も有している。「事務手続きの解説動画(タイムカードの打刻、有給申請、経費精算などの方法を解説する動画)などを配信する社内用Webサーバとしても使っています。DS1515+にはEthernetが4ポート搭載されていて、様々な方法で束ねることができます。通信速度もある程度でますし、この価格帯では珍しいパフォーマンスを発揮してくれます。以前はMac miniをWebサーバーとして使っていましが、こういった機能をDS1515+に一元化することで管理コストを削減できました」。DS1515+には、システムの"健康"状態をメールで自動的に通知する機能が付随している。鈴木氏の場合は、月1回のペースで全社のDS1515+から一斉に"健康"状態を通知するメールを受信できる設定にしているという。「複数のNASが稼働していると、気づかないうちに何台か故障しているといったこともあり得ます。何かあればDS1515+の方から警告してくれる今のシステムは、非常に便利です」。



システムの"健康"状態を伝えるDSMの画面。DSM(DiskStation Manager)は、Synology NAS を管理するためのWebブラウザを用いたオペレーティングシステムだ。直感的な操作が可能なUIが、作業効率をより一層高めてくれる

DSMを使えば、システム専門のエンジニアがいなくても設置可能

DSMには、進化していく面白さがあると鈴木氏は語る。「どんどん新しい機能が追加されるおかげで、DS1515+を使ってできることは日々増えています。しかもWebブラウザ上で動作するので、表示端末のデバイスやOSを選びません」。最近は、Photo Stationという機能を使った写真共有のしくみ構築を模索しているという。「Photo Stationを使えば、膨大な数にのぼる社内の写真リファレンスをわかりやすく整理できるのではと期待しています」。


  • Photo Stationの管理画面。DS1515+に格納した写真データを、Webブラウザから閲覧できる。RAWデータを格納すると、自動的にJPEGのサムネイルが生成される
  • 写真データに付随した撮影時のGPS情報から、撮影地を表示する機能もある。「ロケハン写真の撮影場所を把握する際に、とても便利だと思います」(鈴木氏)

  • 前述のGPS情報に加え、写真データに付随した撮影時の露出、絞りといったカメラ情報も閲覧できる。また、写真に任意の"タグ"を付けることも可能だ
  • Photo Stationのタグ編集画面。「特定のプロジェクトに紐づく写真なら、そのプロジェクト名をタグとしてつけておけばわかりやすいですね」(鈴木氏)

タグの編集は、Photo Stationの管理画面でも行えるし(左)、コンピュータのフォルダ管理画面でも行える(右)。「タグや写真の名前を一括で変更したい場合には、フォルダ管理画面からリネーム用のツールを適用すると効率的です」(鈴木氏)

単なる大容量ストレージに留まらない、多彩な機能を有するDS1515+。その機能を活用し、日常業務や各種データの一元化と、管理コストの削減を目指したいと鈴木氏は語る。「今後は映像リファレンスと関連する連番画像の一元管理、経理・総務データの自動バックアップなども検討していきたいです。SynologyのNASは、DSMを使えばGUIで操作できるため、システム専門のエンジニアがいないCGプロダクションであっても比較的簡単に設置できます。例えばRAIDの設定であっても、難しくはありません。そういう敷居の低さも魅力の1つなので、ストレージのリプレースを検討している方々は、候補に加えてみては如何でしょうか」。

TEXT_尾形美幸(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充

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