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第13回:「カラーマネジメントとリニアワークフローの違い」

第13回:「カラーマネジメントとリニアワークフローの違い」

こんにちは、パーチの長尾です。本連載は「カラーマネジメントの導入に必要な情報をすべて伝える」ことを目的に、全 12 回で連載していました。そして今回は、連載後にいただいた質問や相談を受けて、追加で解説する必要性を感じたものや、新しく出てきた情報などをご紹介することになったのでよろしくお願いします。

3DCG 業界では、カラーマネジメントと同じような意味でリニアワークフローという言葉がよく使われています。もちろんこの連載でも第 5 回でリニアワークフローについて解説していますが、その際にリニアワークフローという言葉としては解説しなかったので、今回はカラーマネジメントとリニアワークフローの違いや、その関係について詳しく紹介していきたいと思います。リニアワークフローは、カラーマネジメントと同じような意味で語られることが多いんですが、実は違う物です。一緒にして考えてしまうと導入がうまくいかなかったり、期待はずれに終わったりすることが多いようなので、注意が必要ですね。
ちなみに、あなたがリニアワークフローを導入する目的はなんでしょうか? 「色が合うようにしたい」という方が多いようですが、実はリニアワークフローだけを導入しても色を合わせることができないんです(よくセミナーでこの話をすると驚かれます)。
では、その理由や、色を合わせるために必要なことを見ていきましょう。

リニアワークフローの目的

リニアワークフローの目的は、3DCG ソフトを他のソフトウェアやハードウェアで使用されている「色の濃度管理」と一致させることです。私たちが何気なく行なっている PC による制作作業では、裏側で【ガンマ】というものを使った濃度管理が行われており、これを意識することでリニアワークフローが理解できるようになります。
PC 内ではデジタルデータが動いていますが、それを直接見ることはできません。私たちは必ずモニタを通じて見ることになります。そのモニタですが、PC から送られてきた信号に対し【常にガンマという濃度調整】を行なっています。一般的な PC モニタは、PC からの入力信号にガンマ 2.2 という値のカーブで出力信号を変換して、モニタ表面に発色しているんです。
ところがこのままでは、PC 内のデータを見るときに必ず濃度が変わってしまい、撮影などを行なった画像は現実と違う明るさで見えることになり、大変困ります。そこでその問題を解消するためには、図 1 のように、PC 内のデータがあらかじめそのカーブを相殺するような濃度になっていればいいわけです。そのためカメラやスキャナなどの入力デバイスは、撮影時にすでに【逆ガンマカーブ】をかけてデータを保存するようになっています。

濃度調整

図 1「制作時に行われている濃度調整」

では、3DCG データはどうかというと、初めから現実世界のシミュレーションを行なっているため、ソフトウェア内での演算でガンマなどの濃度調整を行うとまずいことになります。そこで濃度調整のカーブがかかっていない、直線(リニア)な状態で処理が行われるのです。

画像の不一致

図 2「画像の不一致がおこる」

そのため図 2 のように、3DCG のデータをそのまま実写合成などに渡してしまうと、濃度が異なった画像同士になり、違和感のある仕上がりになってしまいます。

不一致の解消

図 3「不一致の解消」

そこで図 3 のように、3DCG のデータに撮影同様に逆ガンマをかけて渡すことで、違和感のない仕上がりにします。
これがリニアワークフローの目的と効果です。今の説明では 3DCG の出力データのみの話でしたが、このほかにテクスチャなどの入力時の問題を解消したり、3DCG 制作中の作業ウィンドウやレンダリングウィンドウなどがモニタに正しく表示されない場合に問題を解消するのもリニアワークフローの役割となります。この点について、より理解を深めたい場合は、本連載の第 5 回「"現実世界"と"3DCG のバーチャル世界"の間で色情報をやりとりする考え方」を参照してください。

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