2月24日(木)〜26日(土)、幕張メッセにて、日本で初めての本格的な民生用ドローン専門展示会およびカンファレンスイベント、「Japan Drone 2016」が開催された。主催者側によるイベントのキーワードは「日本発。世界発。」ということで、中国製品を中心に外国勢が大半を占めるドローン市場のなかで、比較的多くの国産ドローンや関連パーツの展示が行われていた。

ただし、展示の大多数は、やはり大きな予算が動くためか、土木、建築、農業といった実業分野の産業をメインターゲットとした展示が中心で、映像をはじめとするエンターテインメント分野の展示は、ごく少数にとどまっていた。

本稿では、少ないながら見られたCG関連の出展と、国内外を問わず、映像制作への活用が期待できそうなドローンをチョイスしてお伝えする。

▲パイロット風の衣装を身にまとったコンパニオンが宣伝するトレーニングスクールの出展もみられた

<1>高性能ながら、特定用途に特化した製品が目立つ日本勢

オールジャパン体制で、各社総合すると最も大きなブースエリアを構えていたのが、国産ドローンのエンルートだ。ドローン本体を開発、製造、販売するエンルートを中心に、エンルートに対して部品を供給したり共同開発しているメーカー各社と、エンルートのドローンと連携可能な周辺ハードウェア、アプリケーションを販売するメーカーが軒を連ねていた。

エンルートの製品で、空撮向きの機種は「ZION QC 630」と「ZION QC 730」の2機種だろうか。特に「ZION QC 730」は航続時間が長いのが特徴で、最長で40分間、距離にして30kmの飛行ができる。飛行データの収集が容易なことも導入済みのカスタマーに評判が良く、GPXデータとして出力して飛行ログをマップに表示することが可能になっている。ただし、GPXデータには、時間軸に沿った位置情報が記録されているだけで、機体の向き情報やカメラの向き情報は含まれないため、そのままカメラアニメーションデータとしては利用できない。カメラパスに沿って注視点を先行させ、常にカメラが進行方向を向くようにしたり、特定の角度を維持するのが良ければ、位置情報だけでもカメラアニメーションの元データとすることはできるだろう。もちろん、アーティスティックに手で向きを付けてあげるのでよければ、何の問題もない。

ブースにアテンドしていた担当者によると、米3D Robotics社のPixhawkを機体制御ユニットとして使用しており、空撮に必要な機体自体の安定性は十分だという。ただしジンバルはDJIの物の方が優秀で、本機にDJIのジンバルと対応カメラを乗せて空撮をすれば、標準のジンバルより良い結果が得られると、非常に率直な回答をしてくれた。

この「ZION QC 730」は、なかなかに魅力的な機体だが、お値段も相応に高価で、標準構成に含まれるソニーのミラーレス一眼「α6000」とコントロール用のノートPCを自前で用意することにして省いたとしても、200万円程度の価格となってしまう。いいにはいいが、やはりこの価格が導入のネックとなるだろう。

  • ▲エンルートブースの模様。エンルート公式サイト:http://www.enroute.co.jp/

  • ▲「ZION QC 730」に赤外線カメラを搭載したモデルの展示

エンルートの長屋の一角で、ひっそりと展示を行っていたのが、オートデスクによる「Maya」を使ったドローンのオートパイロットだ。実演デモではなくビデオによる紹介にとどまっていたが、現実空間で取得したデータや撮影素材を3Dデータとして活用する方向とは逆に、「Maya」であらかじめ仮想の空間をつくっておき、「Maya」で作成したフライトパスに沿ってドローンを飛ばしたり、「Maya」の中に設置した3Dオブジェクトをフォローする形で、飛行させることができる。ドローンがフォローする3Dオブジェクトには、もちろんアニメーションが付けられることから、この機能はプリビズありきのドローン空撮プランを立てるときに役立ちそうだ。

▲エンルートブースの一角には、オートデスクの「Maya」を使ったドローン制御が展示されていた

  • ▲ドローンをコントロールする機材上でビデオによる機能説明が再生されていた

  • ▲「Maya」内の3D空間はカメラで取り込んで3D化しているように思われる。屋内では問題ないとして屋外でも同様に機能するのだろうか

NECが自律制御システム研究所と産業技術総合研究所、首都高速道路技術センターと共同で出展していたブースも見応えがあった。かなり大型のドローンで、橋やトンネルなどの老朽化を検査する目的で、打音検査に利用するという。ドローンが空中に静止しながら、ハンマーでコンクリートを叩くということは、叩く瞬間にその反作用を飛行制御で殺さないと、静止し続けることはできない。力のかかり方がある程度想定される範囲内だとはいえ、これは地味にすごい技術だと思えた。これだけだと空撮とは何も関係がないが、将来的にこの技術が応用されて、外周方向から瞬間的に強い力が加わっても即座に対応する反作用を生み出して静止し続けるドローンができれば、現状の姿勢制御がさらに強化されて、より安定した撮影ができるかもしれない。

また、NECのドローンには、カメラをドローン上部に設置することを想定した機種もあり、上空から地表方向を撮影することを想定したものが大多数であるなか、天球方向を撮影するドローンも存在することが確認できた。理屈の上では、バッテリーの位置とカメラの位置を逆転させれば、バランスは維持できるはずだが、実際にドローン上部にカメラを設置していたり、設置できる機種は少ない。橋の下やトンネル内部の検査を想定しているからこその設計だといえるだろう。

  • ▲NECが出展するドローンはかなり大型だ。宙づりになっていたため、飛行している姿がイメージできる

  • ▲奥側のブルーの部分が、打音検査を行うハンマー部分。実際にコンクリート壁を叩いても、本体は静止したまま

大型機「HEL18 S18000F」や中型機「HELI4 S6000F」と、本格的な機材を前面に押し出した展示を行っていたのは、サイトテックだ。「HELI8 S18000F」は、防災監視用にIP56準拠の防水カスタマイズが施されていたため、機体下部がすっぽりと透明なキャノピーで覆われていた。水面スレスレの飛行といった非常にタフな撮影環境の場合、防水仕様は心強いだろう。もっとも「HELI8 S18000F」の標準の構成では、防水仕様ではないが、バッテリー込み7.5kgのペイロード(有効搭載量)を持ち、最大で15分間、最大速度40km/hで飛行できる。

サイトテックには、災害現場に救援物資を搬送するといったニーズが寄せられており、その結果ペイロードにかなり余裕のある大型機が開発されている。あまりに重装備すぎるように思ってしまったため、ブースでは重量級の大型機はあまり意識していなかったが、よくよく考えるとペイロードに余裕があるということは、本格的な撮影機材をも搭載できるということになる。同社の「HELI8 S48000F」では32kg、「HELI6 S70000F」では60kgというカタログ上の表記もみられるため、このあたりの大型ドローンを使用すれば、放送や映画用の機材を用いた空撮も可能だろう。

中型機の「HELI4 S6000F」の方は、バッテリー込2.8kgのペイロードを持ち、最大で30分間、最大速度40km/hで飛行する性能を有している。空撮には十分な性能で、展示されていた機体にもソニー製のハンディカムに加え、構造物検査マーキング用のペイントガンまで搭載していた。映像素材撮影用には十分な性能で、前述したエンルートの「ZION QC 730」やDJIの「SPREADING WINGS」シリーズ(カメラなしで50万円〜60万円の価格帯)と競合する。サイトテックの製品は、いわばセミオーダーメイドで、顧客のニーズに合わせて構成を柔軟に変更できるため、価格は要件を明確にして見積もってみないと正確にはわからないが、やはり100万円〜200万円程度の価格帯になるようだ。

▲IP58仕様の「HEL18 S18000F」。防水キャノピー部分はビーチボールくらいの大きさがある

  • ▲「HELI4 S6000F」も中型とはいえ、直径930mmと大きい。それでも「HEL18 S18000F」の約半分のサイズ

  • ▲「HELI4 S6000F」のカメラ部分。展示されていた機体はハンディカムとペイントガンを搭載した建築物検査仕様

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ホビー用途から本格撮影機材まで、高コスパで攻勢をかける外国勢︎
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<2>ホビー用途から本格撮影機材まで、高コスパで攻勢をかける外国勢

ドローン先進国の中国勢で、もっとも目立った展示を行っていたのは、「CP+ 2016」では1コマブースに地味な展示をしていたAUTELだ。米軍のオスプレイのように離発着時に翼の向きを変え、垂直離発着が可能な航空機タイプのドローンをモニュメントのように配し、周囲に普及価格帯の製品を展示していた。

同社の普及機、「X-Star」シリーズには、アクションカメラ「Go Pro」を搭載できる「X-Star Go」からDJIの「PHANTOM 3」と競合する、専用カメラ搭載の「X-Star」、「X-Star Premium」の3機種がラインナップされている。「X-Star」、「X-Star Premium」は、DJIの「PHANTOM 3 Professional」同様、4K UHD30fps撮影可能なSony Exmor Rイメージセンサーを備えたカメラユニットを搭載する。

機体制御性能は、カタログスペックから、うかがい知ることはできないが、しっかりとした3軸ジンバルが搭載されており、「X-Star」は「PHANTOM 3 Standard」と同等かそれ以上、「X-Star Premium」は「PHANTOM 3 Professional」同等の性能が期待できる。

AUTEL製品は、何と言っても価格が安いのが魅力だと感じるのだが、その価格をすでにそれぞれ100USドル値下げしたという。わずか1ヶ月ほどでこれら3機種の価格は、499USドル、699USドル、899USドルに改定されていた。このあたりの思い切った価格訴求ができるのは、やはり相応の販売数が見込まれ、製造コストが安い中国製品といったところか。

「CP+ 2016」のときにも見かけたスタッフに聞いてみると、まだ日本でのビジネスパートナーは見つかっていないとのことだった。今回は、ブースの規模、出展内容の充実、日本語の話せるスタッフのアテンドと、日本進出の本気度をうかがわせる展示であったため、いい商談ができたのではないだろうか。

  • ▲AUTELブースの模様。AUTEL公式サイト:http://www.autelrobotics.com/

  • ▲クアッドコプター最上位機種の「X-Star Premium」はDJIの「PHANTOM 3 Professional」より安い

AUTELと同様、大きなブースを構え、比較的大型の高級機を中心に展示を行っていたのは、Yuneecだ。

同社イチオシの機体は、「Tornado H920」で、ジンバルに「GB603」というタイプを選択すると、パナソニックのマイクロフォーサーズ規格ミラーレス一眼「Lumix GH4」が搭載できる。ズームが必要なら、「Lumix GH4」同等のカメラユニット一体型のジンバル「CGO4」を導入すれば、3倍までの光学ズームをドローン側からコントロールすることもできる。

Yuneecの日本代理店SDCの販売価格は、ジンバル「GB603」のタイプで453,600円と、買う側にとって非常にコストパフォーマンスの良い設定がなされている。ただし、SDCによると、「Tornado H920」は映像のダウンリンクに5.8GHz帯のWi-Fiを使用しており、現時点の日本の法令では、屋外で無免許では利用できないので注意が必要とのことだった。

5.8GHz帯の屋外利用には、アマチュア無線技士資格の取得、無線局開設の申請、いわゆる「技適マーク」付きの機材の使用と、いくつかのハードルがあるため、SDCの言うとおりドローンの運用には、細心の注意が必要だ。これは、Yuneecのドローン「Tornado H920」に限ったことではなく、アメリカでは5.8GHz帯の屋外利用について規制がないことから、海外製のドローンで5.8GHz帯を使用しているものは少なくない。また、2.4GHzであっても電波強度が問題となることもあり、日本の法令上は、外国人の携帯電話のローミング利用といった一部の例外を除いて「技適マーク」のない機器を使用すること自体認められていないのが現状だ。

総務省は、今夏にも2.4GHz帯と5.7GHz帯をドローン運用に割り当てる規制緩和を予定しているが、規制緩和後も産業用ドローンの運用には無線局免許が必要で、メーカーの「技適マーク」取得も必要なことには変わりない。事故が起こってから知らなかったでは済まされない。知らぬ間に法令違反を起こさないために、くれぐれも注意したい。

もう少し、お手頃な機種として、Yuneecは「Typhoon Q500 4K」もアピールしていた。4K30fpsのUHDや1080p/120fpsのハイスピードスローモーション撮影など、後述するDJIの新機種「PHANTOM 4」搭載のカメラと同等の性能を有していると思われ、ドローンから取り外したカメラを搭載できるハンディタイプのスタビライザーを同梱するのがユニークだ。こちらの日本販売価格は159,840円と、「PHANTOM 4」と十分に競合できる。ただし、本機も「Tornado H920」同様、5.8GHz帯のWi-Fiを使用しているため、運用には注意が必要だ。

▲Yuneecブースの模様。Yuneec公式サイト:http://www.yuneec.com/

  • ▲Yuneecの高級機「Tornado H920」。DJIの「Inspire 1 PRO/RAW」と競合するモデルといえるだろう

  • ▲「Typhoon Q500 4K」は、同じくDJIの新機種「PHANTOM 4」と競合するモデル

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ドローン業界の雄DJIと韓国製の競技用ドローンも出展
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<3>ドローン業界の雄DJIと韓国製の競技用ドローンも出展

前述の2社に対して、2月の「CP+ 2016」と比較して、おとなしめのブースを構えていたのが、業界最大手のDJIだ。

ブースには、「CP+ 2016」時点では発売されていなかった、同社の最新機種「PHANTOM 4」も展示されていた。同機は、映像の送信可能距離が「PHANTOM 3」の2kmから3.5kmへと伸びている。また、バッテリー容量も約20%増の5350mAhに強化されており、その結果フライト時間は5分伸びて28分となった。最大飛行速度も毎秒16mから20mにスペックアップしている。カメラユニットの性能は「PHANTOM 3 Professional」とほぼ同等で、改良のポイントは「映像の歪みを36%、色収差を56%まで減少させた」というレンズと、画角47度のフルHD1080P動画を120fpsのハイスピード撮影可能という機能のみにとどまる。もっとも、空撮にとって重要な機体の安定性は、新しいビジョンポジショニングシステムの搭載で、水平方向のホバリング制度が±0.3mと劇的に改善している。普及価格帯の製品として、いよいよ成熟してきたといえるだろう。

現時点の公式ストア価格では、「PHANTOM 3 Professional」が予備バッテリー付きで139,900円に対して「PHANTOM 4」が189,000円と、「PHANTOM 4」のほうが35%ほど高価だ。無視できないスペックアップもあって悩ましいところだが、ドローンでの空撮がどんなものなのかを試す目的なら「PHANTOM 3 Professional」が狙い目だろうか。

広範な利用用途が見えているなら、本格的なプロユースにも使える「Inspire 1 PRO/RAW」以上ということになるだろう。スペック上の機体安定性は、後発の「PHANTOM 4」が勝るものの、「Inspire 1 PRO/RAW」にはマイクロフォーサーズ規格のイメージセンサーを採用するカメラユニットが搭載されている。空撮する映像ソースの画質がいいに越したことはない。飛翔後に機体が変形し、カメラのフレーム内に足が入らないようクリアランスを取るのも大きな特徴だ。ブースにアテンドしていた担当者に話を聞くと、「やはり高品質な映像ソースを得るには、「Inspire 1 PRO/RAW」に分があり、価格に見合った結果が得られる。50万円以上と決して安くはないが、プロなら手の届く範囲の価格ではないか」とのコメントが得られた。

▲DJIブースの模様。DJI公式サイト:http://www.dji.com/jp/

  • ▲DJIの最新機種「PHANTOM 4」はハイアマチュアからプロ用エントリーモデルとして最適

  • ▲「Inspire 1 PRO/RAW」は、機体の工夫、ジンバル、カメラユニットすべてが「PHANTOM」より1グレード上

中国勢とは毛色が異なるレース競技用のドローンを展示していたのは、韓国のDROGENだ。空気抵抗を意識したキャノピーが採用されており、余分なペイロードを必要としないため、機体も700g前後と軽い。展示されていた同社のハイエンド2機種のうち「LOBIT 320R」は130km/h、「LOBIT 300GT」は100〜120km/hのスピードが出るというから、並みの電車や車より速いということになる。こちらは、純粋なホビーやその延長としての競技用ということで、往年のラジコンのイメージに近い。

とはいえ、速さのみを追求した機体なのかといえば両機種ともそうではない。スペック表によると1/3インチ700TVLとあり、機体前面のカメラからD1(720x480)か960H(960x480)程度の解像度で撮影できる。低高度を時速100キロ以上のスピードで飛行するドローンからの撮影素材は、解像度的にやや厳しいものの、視聴したときに得られる感覚的なスピードは相当高速だと思われる。シチュエーションによっては活用可能な撮影素材が得られるのではないだろうか。価格は、韓国の公式ショップで、それぞれ59万9000ウォン(約5万8000円)、49万9000ウォン(約4万9000円)と、大人のホビーとして十分手の届く範囲に収まっている。日本の代理店が決まっているとのことだが、日本での販売価格もそれほど大きく変わらないのではないかと思われる。

▲DROGENブースの模様。DROGEN公式サイト(韓国語のみ):http://www.lobit.co.kr/

  • ▲DROGENの競技用ドローンラインナップ。本稿で紹介したモデル以外にも「LOBIT 100F」や「LOBIT 220」といった廉価モデルも展示

  • ▲「LOBIT 300GT」は100〜120km/hのスピードが出る機体で、競技ドローンによるレースはエキサイティング

冒頭でも触れたように、現在の日本のドローン市場は実業がメインで、一言で「空撮」といっても、その意味するところは目視に代わる建築物の検査や土地の測量、はたまた農薬の散布といったものが想定されている。そのため、今回の「Japan Drone 2016」では、特に日本のメーカーにそういった目的を主眼に置いた製品が多い印象だった。状況把握だけなら、そこそこ及第点レベルの画像、映像が得られれば良く、測量では精度の高い測距に主眼がシフトしてしまう。CG映像制作のニーズを満たすような撮影素材の美しさを追求した製品は、いわゆる日本のものづくりでは、どうしても後手に回ってしまうのだろう。

ドローンを利用するユーザー側の立場からいうと、ドローンの製造開発元が、日本の会社であろうと中国の会社であろうと、目的を達成するために必要十分な能力を備えてさえいれば、あまり関係がない。ただ、日本のドローン企業が、出遅れてしまったがために、政府や地方自治体の補助金が落ちやすかったり、製品価格が高止まりしそうな業種業態のニーズに傾倒し、汎用ドローンのメインストリームたる市場で競争しうる製品を開発して、中国企業とシェア争いをしながら市場を広げようとしないことに対しては違和感を感じる。

もう市場の雌雄は決していて時すでに遅し、というならば、政府や地方自治体が、製品の最終工程を担うメーカーや、農業利用のための購買に補助金を出す必要はないように思える。代わりに部品メーカーに補助金を出し、補助金を受けた日本企業は部品のサプライヤーに徹して、製品としての表の顔は中国企業に任せても良いのではないか。そうすれば、ユーザーは機能的にさほど差異がない国産の高いドローンを買う必要はなくなるし、中国メーカーの製品を買うことで日本の部品メーカーも潤うのだから、産業育成のための税金投入効果も高いのではないだろうか。「Japan Drone 2016」は、そんなことを考えさせられる1日となった。

  • ▲競技用ドローンのスピードレースも開催。実況席にお邪魔してパシャリ

  • ▲展示会場すぐ隣のレース会場に詰めかけた観衆。安全ネットにぶつかり絡まったままのドローンも

TEXT_谷川ハジメ(トリニティゲームスタジオ