『シン・ゴジラ』『君の名は。』の記録的なヒットをはじめ、日本でのデジタル・コンテンツ制作現場全体が盛り上がったように感じる2016年。一方で小規模スタジオからもユニークな作品が次々に登場した。そうした中、2015年からはじまった「CGWORLD大賞」がリニューアルされ、「CGWORLD AWARDS」へと名を改めた。CGWORLD編集長の沼倉有人にノミネート作品を中心に、2016年をふり返ってもらった。なお、昨年のふりかえり企画はインタビュー形式であったが、今年は対談のかたちでお届けしたい。
※本記事は、2016年12月13日(火)に実施した対談を下に作成しています。

INTERVIEW_小野憲史/Kenji Ono
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota



<1>『シン・ゴジラ』、『君の名は。』の大ヒットから改めて学んだこと

小野憲史(以下、小野):今年の日本映画界は、『シン・ゴジラ』と『君の名は。』のヒットで塗りつぶされた感がありました。CGWORLDでも217号218号にて、両作を特集しましたね。

CGWORLD・沼倉有人(以下、沼倉):おかげさまで、タイムリーな企画になりました。実のところ、われわれとしてはタナボタ的な面もあるのですが(笑)。この2号は、群を抜いた実売を記録しまして、バックナンバーも品切れ状態です(※1)。特撮ファンやアニメファンなど、ふだん本誌を購入されない読者層にまで広がったという印象です。

※1:Kindleなど電子版であれば、どちらの号も購入可能。

小野:購買者の属性はとれていないんですよね。

沼倉:そこが紙媒体の限界ですね。ただ、『シン・ゴジラ』については東宝がプロモーションの一環として、戦略的に白組のCGメイキング映像を公開されたこともあって、そのVFX自体も話題をあつめました。本誌の特集もそんな風に、一般の方々が広く日本のCG・VFXについて関心を抱くきっかけになったとしたら嬉しいですね。

『シン・ゴジラ』白組によるCGメイキング映像

小野:それこそ1980年代に雑誌で『スター・ウォーズ』などのメイキングが記事公開されたように......。

沼倉:記事に触発されて当時の若手がハリウッドを目指されたように、CGやVFXをやりたいという人が本誌の特集を通して、ひとりでも増えてくれたらといつも願っています。

  • 日本から世界に向けて、デジタル・コンテンツ表現の戦い方がみえてきた? 〜CGWORLD的、2016年のふりかえり〜
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小野:たしかに。

沼倉:『君の名は。』特集号も同じで、CGWROLDはデジタル技法の解説が主軸のため、背景美術や撮影といった、キャラクター自体の描き方にはふれない内容だったにもかかわらず、発売月の期間中に当社の在庫が切れてしまいました。新海 誠さんの映像表現は非常に繊細であることで知られていますが、本作でも黒板に文字を書く際に飛び散るチョークの粉をAfter EffectsプラグインのParticularを使って表現するといった、手描きだけではまかなえない細やかなデジタル処理が施されています。作画主体のアニメ作品でも様々なデジタル技法が利用されていることを、一般の方々にも知ってもらえたのではいかと思います。

小野:それが、"コンテンツのもつ力"ということですね。

沼倉:まさに。これまで本誌はともすれば、デジタルアーティスト向けということもあり、「興味をもってもらえる人にさえ届いていればOK」という傾向に陥りがちでした。メイン読者層がCG制作者であること自体は今後も変わりないのですが、この2号から独自視点を保ちつつ、話題作のCG・VFXをきちんと取り上げることの重要性について教えられました。

小野:そのためにはCG・VFXを使ったヒット作がコンスタントに出てくる必要がありますね。

沼倉:そうですね。また、アニメ業界が顕著ですが、作画アニメーターの高齢化が進む一方で、VODなども相まって年間の制作本数は今なお増加傾向にあるはず。そのため、いよいよ現場がまわらなくなってきました。現場でCGをはじめ、デジタル技法の導入が進んでいるのは、そうした背景が大きいと思います。まだまだ一朝一夕に変わるものでもありませんが、こうしたデジタルベースのワークフローへの移行はさらに進んでいくはずです。

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<2>「CGWORLD AWARDS」から見た、2016年

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<2>「CGWORLD AWARDS」から見た、2016年

小野:去年はリアルタイムCGが注目を集めました。

沼倉:第2回「CGWORLD AWARDS」(以下、AWARDS)のノミネート作品を見てもらえればわかりますが、今年はそうしたわかりやすいトレンドはみられませんでした。リアルタイムCGに関しては、去年に導入や研究が急増し、今年はその実用化が進んだと言えるかもしれませんね。

小野:たしかに、AWARDSのノミネート作品をみると、業界動向がわかりやすいですね。今年で2回目になりますが、簡単に説明してもらえますか?

沼倉:はい。日本の3DCGを中心とした、デジタル・コンテンツ制作現場の活性化を目的とした表彰イベントになります。第1回目は「CGWORLD大賞」という名称で実施したのですが、今年から新たに作品賞と技能賞を設けたことに伴い、名前を改めました。



小野:ノミネートを見ると、いずれも「CGWORLD」誌面に掲載されていますね。

沼倉:そのとおりです。この企画は、創刊200号を達成した節目の年に日本のデジタル・コンテンツ制作現場を盛り上げるためにやってみようと昨年、見切り発車ではじめたわけですが(苦笑)、今後も継続していくためにもノミネートの基準的なものを設けました。AWARDSは、編集部の独自視点で顕彰するものです。そのため、ノミネート作品も過去1年間に本誌もしくはCGWORLD.jpにて取り上げた作品や取材先に限定することにした次第です。

小野:なるほど、それはわかりやすいですね。その中でも大賞にはデジタル・フロンティア、マーザ・アニメーションプラネット、そして新海 誠さん、榊原幹典さんがノミネートされました。スタジオと個人としてのクリエイターが2組ずつという構成です。

沼倉:デジタル・フロンティアの場合は、4月23日(土)から公開された『アイアムアヒーロー』をかわきりにCG・VFX制作をリードした大作映画が3本立て続けに公開され、まさにビッグイヤーになりました。マーザ・アニメーションプラネットは、昨年Unreal Engine 4ベースで制作した『HAPPY FOREST』に続いて、今年はUnityベースで『THE GIFT』を制作と、2年続けてリアルタイムCGを用いた意欲作を発表しました。ただ、いずれも一朝一夕でつくられたわけではなくて、複数年にわたる活動が結実してこその成果でしょう。大賞は特定の作品やプロジェクトではなく、組織(法人や団体)、個人といった作り手を対象とした人物賞になるのですが、個人としてノミネートさせていただいた残り2組についても同様ですね。

小野:どういうことですか?

沼倉:新海 誠さんが最初に注目あつめたのは、短編『ほしのこえ』(2002)をPowerMac G4上で各種DCCツールを扱い、個人で制作されたことでした。もう10年以上前のことです。先ほどもお話したように、一貫してデジタル技法を巧みに用いることで新海ワールドを追求され続けています。榊原幹典さんも、映画『ファイナルファンタジー(FINAL FANTASY:The Spirits Within)』(2001)の共同監督を務めた後、それから現在まで北米を拠点に活動され続けています。『君の名は。』の大ヒットに隠れてしまいましたけれど、今夏に公開された『ルドルフとイッパイアッテナ』でも榊原さんは共同監督を務めているのですが、日本のフルCG映画としては『STAND BY ME ドラえもん』(2014)以来の興収10億円を突破しました。

映画『ルドルフとイッパイアッテナ』予告2

小野:なるほど。そうした長年にわたる取り組みが一定の成果に達したのが今年、ということでのノミネートというわけですね。

沼倉:少し話題をかえますが、ハリウッド映画が世界を席巻する中で、個々人としては日本のデジタルアーティストたちは海外にひけをとらない、むしろゼネラリストなだけ優れている面の方が多いかもしれないと言われてきました。そうした有能なアーティストたちが協業することで確かな成果を挙げたのが『シン・ゴジラ』だったと思います。同作のCG・VFXワークをリードしたのは白組 三軒茶屋スタジオですが、プリプロではBIGFOOT代表の熊本周平さんがコンセプトアニメーターとして、エフェクト制作では、欧米の著名スタジオでキャリアをかさねてきた米岡 馨さんが起ち上げたStealthWorksが参加しています。予算や規模については大きな乖離がありますが、日本でも「こうすれば(遜色なく)つくることができる」的な、光明が見出せた気がする年になりました。

小野:そのためにはプロデューサーやプロダクション経営者の意識改革も重要ですね。個々のクリエイターとスタジオワークの双方が成熟してきて、成功事例が出てきているはずなので。

沼倉:その通りだと思います。少し前までは、3DCGは何かと手間がかかるし、割高だからと、導入を忌諱する動きもありましたが、映画にかぎらず様々なコンテンツ制作現場が従来型のものづくりの限界に直面しているように感じます。

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<3>日本でもCGを武器に世界で戦えるようになってきた?

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<3>日本でもCGを武器に世界で戦えるようになってきた?

小野:予算規模は小さくても、やり方次第でヒットがねらえるようになってきた。その背景には、3DCG技術のコモディティ化もあるのでしょうか?

沼倉:すそ野が広がっているのは確かだと思います。IBL(イメージベースト・ライティング)を用いた実写とCGの合成はその好例ではないでしょうか。手法自体は何年も前から存在しますが、こと日本の制作現場においては、最近は少人数のスタジオでも大手に見劣りしない映像がつくれるようになってきました。例えば、実写VFX部門にノミネートされた『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』は、レスパスビジョンがCG・VFXワークからポストプロダクションまでワンストップで手がけられる体制を構築することで少数精鋭で良質なVFXを実現されたと思います。こうした背景は、CGプロダクションのみならず実写撮影スタッフなど、CG制作者とやりとりを行うパートナーやクライアントとの間でも良質なVFXを実現する上では相応の手間暇やワークフローが求められることに理解が得られてきたこともあるはずです。

『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』本予告

小野:聞いていると、ゲーム業界でいえば1990年代後半の、初代PlayStationの頃に似ていますね。当時は3DCG技術が安価に使えるようになり、少人数でも尖ったゲームがつくれるようになりました。そこから『パラッパラッパー』『クーロンズ・ゲート -九龍風水傳-』といった、作家性の強いタイトルがどんどん登場してきた。それを可能にしたのがソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンターテインメント)のCD-ROMを中核とした新しいビジネスモデルです。

沼倉:なるほど。

小野:先ほど「クリエイターとスタジオワークの融合で新しい作品が登場してきた」という話がありましたが、別の言い方をすれば「技術革新とビジネスモデルの融合によって、新しい市場が生まれてきた」と言えるのかもしれません。

沼倉:今年8月に公開された『ルドルフとイッパイアッテナ』が興行収入12億円以上を達成したのは(※1)、まさにそういった文脈で語れるかもしれませんね。ことファミリーやキッズ向けの作品では、リアル系(セル調以外)のCGアニメーションもヒットにつなげられるようになってきたという意味で。

※1:Box Office Mojoの公表データによると、公開4週目で興収1,200万米ドル(約12億円)を突破している。

小野:近年ではハリウッドなど海外で活躍してきた方が日本に戻ってきて、海外流の効率の良いスタジオワークについて、普及啓蒙が進められる状況も見られるようになってきたようですね。

沼倉:そうですね。結婚されて、お子さんが生まれるなど、家庭の事情もあっての帰国というのが従来は多かったと思うのですが、独身や若手の方でも日本に戻ってくる、あるいは海外を拠点にしながら日本の案件も手がけるといったケースも増えているんですよ。

小野:それは興味深いですね。どういった背景があるんでしょうか?

沼倉:大きくは2つありそうです。ひとつは、日本でもハイエンドなCG・VFXを求める案件が増えてきていること。少し前であれば、海外の第一線で活躍するアーティストが存分に腕をふるえる案件は非常にかぎられていたように感じます。シーンリニアやプロシージャルなワークフローというものを取材でも耳にする機会が増えました。

小野:もうひとつは、どういったことですか?

沼倉:海外マーケットを前提としたプロジェクトが増えてきたことです。例えば、ポリゴン・ピクチュアズは『プーさんといっしょ』(2007)をかわきりに、北米のTVシリーズをコンスタントに手がけていますが、新たに『Lost in Oz』を制作中です。ルックだけみれば海外の作品と区別がつかないのではないでしょうか。本作はAmazonが出資し、Amazonプライムで全世界配信が予定されている点も特徴です。そのほかにもポリゴンでは、2017年劇場公開予定の『GODZILLA』プロジェクトも進行中です。日本市場だけで閉じこもっていても、先細りになるだけという共通認識も広がっているので、その他のスタジオでも同様の動きが出てくるはず。まだ数としては少ないですが、海外志向のアーティストにとっても国内で活躍できる場が生まれています。

Lost in Oz: Extended Adventure Official Trailer

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<4>2017年にむけて、CGWORLDができること

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<4>2017年にむけて、CGWORLDができること

小野:過去15年間で同じ3DCG技術を用いていても、ゲームと映像コンテンツの勢いが逆転している点が興味深いですね。

沼倉:そこは逆にお聞きしたいところでもあります。3DCG表現の高度化は日本のゲーム開発現場も同様だと思うのですが?

小野:そうですね。ただ、国内のゲーム市場を見るとモバイルゲームが支配的で、コンソールゲームに比べて約2倍の市場規模になっています。一方でモバイルゲームはF2P(基本プレイ無料のアイテム課金方式)が一般的で、売上のためにはミドルレンジのスマートフォンにも対応する必要があります。そのためグラフィック面で尖った表現がしにくいという実情があるはず。「ビジネスモデルがコンテンツ表現に制約をかけている」わけですね。

沼倉:VRについてはどうでしょうか? 2016年は「VR元年」とも言われてましたが......。

小野:VRゲームについては、まさに爆発的な注目を集めましたが、まだまだ普及台数が少ないため、本格的なタイトルが少ないことが課題だと思います。こうした中、2017年1月26日(木)に発売予定の『バイオハザード7 レジデントイービル』が全編VR対応になることで、普及の起爆剤になるのではと期待されています。そう言えば、「東京ゲームショウ 2016」でも注目を集めた『CIRCLE of SAVIORS』がノミネートされているのは興味深いですね。実は本作は韓国最大規模のゲームショウ「G-STAR 2016」にもプレイアブル出展されていたんですよ。最初から海外展開を指向されている点がうかがえます。

《CIRCLE of SAVIORS》 ロケーションテスト 告知動画 (30秒)/ 《CIRCLE of SAVIROS》 30sec PV

沼倉:『CIRCLE of SAVIORS』を開発するPDトウキョウは、いわゆるゲーム開発会社ではなく、OAGや遊技機案件のCG制作に加えWebコンテンツなども手がける総合プロダクションだということにも注目しています。VRコンテンツは実写ベースのものも多く、そうした案件ではIBLを用いたVFXが必要になることから、CGプロダクションの参入も増えると思います。

小野:リアルタイムCGと実写やプリレンダームービーがどんどん融合して、新しい表現が生まれてきていますね。個人的には初代PlayStationでも、デジカメで写真を撮影してPhotoshopで加工し、アドベンチャーゲームの背景に使う手法が流行ったことを思い出しました。あれはまさに、当時のハードスペックやCD-ROMというメディアに適した手法だったんです。VRでも、いろんな業界のクリエイターが集まり、CGプロダクションやデジタルアーティストとのコラボレーションによって、新たな表現が生まれることを期待しています。

沼倉:この記事をご覧の方々も良いプロジェクトがあれば、ぜひ情報をお寄せください(笑)!

小野:そろそろ、まとめにはいりましょう。ゲームの場合、モバイルは国内市場に閉じていて、コンソールは世界市場というのが全体的な傾向ですが、ニッチ市場に特化していて、いずれにしても成熟しきっています。そのためCG・映像業界に比べてゲーム業界は勢いが不足しているように感じられるのかもしれません。こうした中、この両者をつなぐVRから、何か新しい可能性が生まれてくると良いですね。そのためにはクリエイター同士の交流や知見の共有などが求められます。ボーンデジタルでも「CGWORLD クリエイティブカンファレンス」を継続して開催していますし、「CEDEC AWARDS 2016」では、CGWORLD編集部が著述賞を獲りました。

沼倉:かなり無理矢理感のある展開ですが、話をふっていただきありがとうございます(笑)。よく「CG業界」といわれますが、映像業界、ゲーム業界、建築業界などはあっても、CG"業界"って、存在しないんですよ。そうした中、様々な業界を「CG」で横串を通す役割をになえているのであれば本望です。正直、なんでこのタイミングで賞をいただけたのか不思議だったりするのですが......。

  • 日本から世界に向けて、デジタル・コンテンツ表現の戦い方がみえてきた? 〜CGWORLD的、2016年のふりかえり〜
  • 「CEDEC AWARDS 2016」著述賞トロフィー。「本当にありがとうございました。編集部一同、ひき続き精進していきます!」(沼倉)


小野:もともとCEDECは「コンピューター エンターテイメント デベロッパーズ カンファレンス」という正式名称からわかるように、ゲームだけを対象としているわけではなく、CG・映像関連の技術講演も行われています。また、CGWORLDには毎号、ゲームCGの制作事例が多数掲載されていたり、ゲームクリエイターが登場するため、CEDECの掲げる「知見の共有」にも合致しています。こうした点が組み合わさって、著述賞の顕彰につながったのではないでしょうか。

沼倉:そう言っていただけると嬉しいですね。ほかにもCGWORLD.jpでは11月下旬にオンラインショップ「CGWORLD SHOP」を開設しました。現在は、当社の刊行物の販売が中心ですが、デジタルアーティストさんたちとのつながりを活かした、CG制作技術の有料セミナー「CGWORLD + ONE Knowledge」もこちらであつかっています。将来的には動画配信も見こしています。CGWORLDならではの、よそでは得られない、一歩進んだテクニックを紹介できるように心がけています。って、宣伝気味でスミマセン(汗)。

小野:近年では予備校のカリスマ講師の授業ムービーが、月額見放題で視聴できるサービスなどもあり、急成長しています。CG・映像分野でも同じようなサービスができれば、地方のクリエイター育成・発掘にも大きな貢献ができそうですね。今後の展開を期待しています。

沼倉:もちろん、これら全ての展開は、元となる雑誌があってのことです。おかげさまで1998年に創刊後、デジタルアーティストをはじめ多くのクリエイターの方々に愛読いただき、業界内で一定の地位を占めてきました。こうしたブランドに支えられている点が大きいと思っています。

小野:それでは、2017年のデジタル・コンテンツ産業の展望と抱負についてお願いします。

沼倉:冒頭にもありましたが、今年は『シン・ゴジラ』『君の名は。』と大ヒット作が誕生し、CG・VFXの制作現場としてもひき上げられました。2015年よりも確実に発展したと思いますし、2017年もこのトレンドが続くことを期待しています。

小野:0を1にするフェーズが終わって、これからは1を100にするフェーズに切り替わるということですね。成功体験が一度生まれると、業界全体がガッと動くのが日本社会の特徴でもあります。2017年は期待できそうですね。

沼倉:本当にそうなると良いですね。編集部としても、業界の一助になれるように、ひき続きがんばります。今年もふりかえりにお付き合いいただきありがとうございました!

  • 日本から世界に向けて、デジタル・コンテンツ表現の戦い方がみえてきた? 〜CGWORLD的、2016年のふりかえり〜
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