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第 7 回:これぞ、サンジゲン流!

第 7 回:これぞ、サンジゲン流!

こんにちは、サンジゲン のまみやです。ノイタミナ 『ブラック★ロックシューター』(以下『B★RS』) における、リミテッド CG アニメーションの制作技法を紹介してきた本連載。ついに今回が最終回です!
このコーナーでは、裏パート(虚の世界)のカットばかりをお伝えしてきましたが、表パート(現実世界)の活き活きとしたキャラクターたちのドラマがあってこその裏パートなのだと、最終話を観て改めて思いました。さて、そんな 第 8 話「世界を超えて」 のカットを紹介するのは、本作でリードアニメーターを務めた名倉(晋作氏)と石川(真平氏)です。クオリティの高い渾身のカットを生み出す2人の優れたセンスと技量を少しでもお伝えできれば! と思います。

『ブラック★ロックシューター』第 8 話・場面写真1 『ブラック★ロックシューター』第 8 話・場面写真2

© BRS on TV

TV アニメ『ブラック★ロックシューター』メイキング開催!(Too)
日時:2012年4月24日(火)15:30〜18:30(15:00受付開始)/場所:ベルサール神田 ホールA東京都千代田区神田美土代町7 住友不動産神田ビル 2F)/定員:200名/参加費:無料
詳しくは こちら

第 8 話「世界を超えて」(その1)

【CUT 208】〜最終的なビジュアルを明確にイメージする〜
(リードアニメーター/名倉晋作)

今回は最終話、インセインブラックロックシューター(IBRS) の裏世界を、主人公マト 扮する ブラックロックシューター(以下BRS)が巨大な「★Rock Cannon」(ブラックロックキャノン)で破壊した後、それに呼応するように他のキャラの世界が次々と崩壊して、ひとつの真っ白な世界になっていくという、最終話の中でも特に重要なカットを紹介します。

絵コンテでは、ブラックゴールドソー(以下BGS) の世界を象徴するキューブのパズルが組み上がり、間髪入れずにヒビが入って、7 色の光を出してバラバラに消し飛ぶ、約10秒間の内容となっていました。
キューブは元々組み上がった状態から回転するアニメーションを付けたものを逆再生して、その逆再生に合わせてカメラワークも引きの状態から寄っていくものを作り、同じく逆再生をかけています。そこから破片になる部分は、カメラ位置だけ合わせた後で破砕シミュレーションを使ってキューブをバラバラにし、レンダリングした画像にフリッカー処理(ランダムにタイムシートの番号を打つセルアニメ独特の表現)をかけて爆発前のブレを表現しました。

これは撮影処理になりますが、爆発する寸前の数コマ(7秒23K~8秒4K)にかけて「白」「黒」「光のフレア 3 コマ」「白」と、3DCG とは関係のない、撮影処理による「間」を挟むことで巨大なものが一気に爆発した感じを表現しました。カット尻にカメラ前に飛んでくる小さな破片も小技として足すことで、爆発の余韻と距離感も表現しています。これはアニメで爆発エフェクトを描かれるアニメーターさんの方法を見よう見まねで取り入れてみたものです。
"3D で破壊"というと、全てを真面目に壊すことができますが、それをせずともカメラを通して見せる画を意図的に調整することで実際の破壊を作ることとほぼ同等の印象を観ている側に与えることができます。今さらですが、アニメの「白コマ/黒コマ/フレア/画面ブレetc......」は本当にすごい発明だと思います。

『B★RS』制作全体を通して感じたのは、3DCG とセルアニメの手法のいいとこ取りを今まで以上に追求した結果、アニメを週間ペースで作っていく上で効率の良い方法を編み出すことが出来たのが大きな収穫でした。自分のアニメ好きが最も活きたのは、この『B★RS』だと思っています。最終話までご視聴いただき、ありがとうございました。


第 8 話【CUT 208】ショットブレイク。(左上)絵コンテ、(右上)アニマティクス、(左下)3DCG完成、(右下)撮影処理を施した完成形

「すごい......!」という驚嘆の言葉しか出てきません。キューブがどういう動きをしているのか、コマ送りにしても判りませんでした(笑)。キューブの構造などを考えてしまうと、理屈っぽくなってしまいますが、視覚的にイメージを直結させることがアニメの本質であると納得させてくれるカットだと思います。
また、爆発の表現の説明も大変興味深いものでした。素人目にかろうじて、"光のフレア"は判りましたが、それすらも無意識のまま観ているのでしょう。破壊全ての行程を見せなくても、キューブが"爆発して壊れた"と認識させているのは、本当に凄い技だと改めて感じました(まみや)

第 8 話「世界を超えて」(その2)

【CUT 195】〜試行錯誤の果てにある 2D と 3D のベストバランス〜
(リードアニメーター/石川真平)

このカットは前カットの続きで、さらに寄りの芝居から始まります。途中カメラの回り込みがあり、BRS の背後にそれぞれの世界の光が集結しているというワークです。前カットの BG は 2D上(After Effects)でスライド(SL)させ移動感を出していますが、この【CUT 195】は途中にカメラの回り込みがあるので、カット頭の BG の移動、回り込みも 3D で付けました。回り込みは、2D の SL の仕方でも可能ですが、このカットは、BG、降ってきている破片、キャラ、エフェクト等、要素が多いため、全ての距離間を考慮して SL させるよりも 3D 空間上で実際にカメラワークを付けた方が分かり易く早いのでそうしました。

作り方にもよりますが、サンジゲンでは割と 2D と 3D のハイブリッドです。このカットも血飛沫自体は 3D で、2D 上で細かい血のタタキを足したり、カメラワークは 3D ですが入ってくるレンズフレアと謎衝撃波は AE で加工したものをレイヤーで乗せていたり、途中ひるがえるコートの端は作画しました。自分はどちらが早く効果的に見えるかで決めています。
このカットで一番苦労した点は BRS(マト)の気持ちをのせた表情、動きをつくることです。ほぼ無表情、無感情だった BRS はここでは他人と繋がる決意をし、自分も他人を傷つけることを選んだマトになっています(あと、足はかなり痛々しい印象に仕上げました)。歯を食いしばり、目を見開いて、目線は常に前から外さないように気をつけました。少し判りづらいですが、アニマティクスと完成形を比べてみると完成形の方が目線をより前に向けているように修正をしたのが判るかと思います(※下のメイキング動画を参照)。

今回、『B★RS』の制作で裏世界のキャラはほぼ無表情で戦闘がメインということが、ある意味で 3DCG 的には助かった部分だと思います(もちろん、それはそれで大変だったわけですが(汗)......)。感情のこもった表情や動きの作りやすい仕組みと、3DCG をアニメの画として落とし込む思考の共有が今後も課題であると、改めて思います。


第 8 話【CUT 195】ショットブレイク。(左上)絵コンテ、(右上)アニマティクス、(左下)3DCG完成、(右下)撮影処理を施した完成形

石川さんも、これから作るカットの完成画がイメージできている方なので、3D と作画の技法、それぞれを効果的に使い分けていらっしゃいます。これができるのは、3D と 2D を総合的に理解されているからだと思います。そして、石川さんもまた、キャラクターの表情を付けるのに苦労をされたお一人のようです。3DCG で表情の芝居を付けるのは本当に難しいのですね。
この短期連載の中で、表情をテーマにされたかたのほぼ全員が、表情に苦労したと言われてました。ですが、その苦労が伝わらないほど、いずれのカットにもキャラクターにきちんと表情がのっていると、制作側の自分としても断言できます。このカットにも、マトの決意がよく表れています。3DCG 上での表情芝居はまだまだ今後の課題だと思いますが、今回の『B★RS』では、3DCG の持つアビリティに、またひとつ、新たな可能性を見出せたのではないでしょうか!(まみや)

連載当初は、私なんかが素人目線でコメントを書いていいものか......と多くの不安がありましたが、周りの方々に助けられて、無事最終回を迎えることができました。本当にありがとうございます。
アニメ制作の現場とは違った楽しさを感じました。本編は最終回を迎えてしまいましたが、『ブラック★ロックシューター』はこれからも多くの方々に愛される作品であってほしいと願っております。そして、この連載が少しでも皆様の興味を惹いていれば本望です。お読みくださった全ての皆様に深くお礼申し上げます。ありがとうございました!

TEXT_間宮 舞(サンジゲン

CGWORLD vol.165表紙

特集『ブラック★ロックシューター』

2012年 4 月10日(火)発売の「CGWORLD + digital video」2012年 5 月号(165号)では、『ブラック★ロックシューター』特集記事を掲載しています。この短期連載とは、また別の視点から『B★RS』の裏パートの3DCG制作やワークフローについて深く深く掘り下げて解説しているので、ぜひご覧ください!

CGWORLD 2012年5月号(vol.165)情報ページ

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