Nukeの基本操作3:エフェクトを適用する
次に、エフェクトの適用について見てみよう。例えばマスクとぼかしを併用するために、トラックマットでマスクを掛けている状態で、ブラーを適用すると、ボケがマスクの形状でパキっと出てしまう<A>。
<A> AEの場合、トラックマットは一番最後に適用されるので、ブラー・エフェクトのかかった画に対してトラックマットによる、マスク処理が行われる。
これを避けるには、いったんマスクを掛けてプリコンポーズさせ、1枚の「画」として確定させた上で、ブラーを適用することになる<B>。このプリコンポーズという処理が、「Nuke的なコンポジット思考」だと言える。つまり、ひとつひとつのノード・オペレータがプリコンみたいなものと考えれば、Nukeをぐっと身近なものに思えるようになるはずだ。
整理すると、ノードベースでは「順序」が非常に分かりやすく、それゆえタテに深いワンカットを作り込むコンポジットワークに適している。したがい、分業を行うにも最適のコンポジットソフトと言えるだろう。
<B> いったんプリコンポーズを行うと、その時点でマスク処理が行われた画に対してブラーが施されるので、イメージ通りの画になる(エッヂが不自然にならない)。
<C> Nukeでは、ノード・オペレータごとにプリコンポーズされて画として、その都度確定していると捉えるとNukeの設計思想が分かりやすい。レイヤーベースでは、プリコンポーズすると内部の処理が把握しづらいが、Nukeでは一目瞭然だ。
さて、今回はノードベースとレイヤーベースにおける合成作業に対する考え方やアプローチの違いについて解説したが、いかがだっただろうか?
筆者の個人ブログ「TIRAOKAN.」では、実践的な解説を目指す本連載の補足を兼ねて、Nukeの基本的な操作法について綴っているので併せて確認してもらえると幸いだ。次回も引き続きAEとの違いに重点を置きながら、Nukeの具体的な操作方法について解説していく予定である。
TEXT_テラオカマサヒロ(Galaxy of Terror)
株式会社ギャラクシーオブテラーにてヴィジュアル・エフェクツ・ディレクターとして活躍中。
実写合成からフルCGまで、幅広いVFX制作に携わっている。
tiraoka.blogspot.com