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Vol.2:続・AEユーザーのためのNuke的思考

Vol.2:続・AEユーザーのためのNuke的思考

前回はノードベースのコンポジットシステムということを主軸にしてNukeでの考え方を紹介した。とくに、その基本である[Merge]について説明した。[Merge]はAfter Effectsにおける「プリコンポーズ」であり、AEがヨコ(時間軸)に強いとするならば、[Merge]を幾重にも重ねていく、ノードベースというシステムは、タテに強い。つまりは複雑な合成に適しているわけだ。さて、今回は実際よく使用する各ノード・オペレータを中心に、より深くNuke的な思考を解説していこう。

すべてはバックグラウンドに

実際にNukeでコンポジットを行おうとした際、After Effectsのユーザーだとまず始めに「あれ? コンポジション設定はどこ?」と、戸惑うのではないだろうか。と言うのは、AEにおける「コンポジション設定」に該当する項目がNukeには存在しないからだ。

AEのコンポジション設定

AEの「コンポジション設定」ウィンドウ。解像度を決めたり、アスペクト比、フレームレート、コンポジットの尺など基本的な設定をここで行う。コンポジションという概念を持たないNukeでは、同様の設定をどこで行うのだろうか?
 

どうやって、コンポジットした仕上がりのサイズを決めるのか......答えは「バックグラウンド」である。

前回も説明したように、ノードベースのコンポジットシステムには「フォアグラウンド」と「バックグラウンド」という概念があり、ビューワーペーンで表示されるコンポジットの結果は、その「バックグラウンド」のサイズが引き継がれる。そして、「プリコンポーズ≒[Merge]」と捕らえると、当然、[Merge]ごとに「バックグラウンド」は宣言され、その[Merge]ごとに「コンポジション設定」されるわけなので、コンポジットのサイズもその都度更新されているという認識が必要となる。実際には、コロコロとサイズの違うものを「バックグラウンド」に設定していくわけではないので、「その都度更新」というのは大げさな表現ではあるのだが、Nukeの設計思想を理解する上では有効だ。

例えば[Merge]のフォア、バックには何も繋がずに、[Viewer]をコネクトしてみる。すると、ビューワーペーンで今のその見ている画像がどういう解像度かという情報が右下に表示される。

Nukeにおける解像度の設定

[Merge]には何もコネクトされていないが、ビューワーペーンの右下には解像度の情報が表示されている。これは、「Project Settings」の値が反映されているため
 

画像では「2k_Super_35(full-ap)」と出ている。これは、デフォルトのプリセットで存在するフォーマットのひとつだ。フォーマットは「Project Settings」で変更できる。

Nukeの「Project Settings」

「Project Settings」はAEの「コンポジション設定」と似たようなことを設定できるのだが、あくまでも基準を設定するだけ。プリセットで色んなフォーマットが準備されており、また下部にある「new」を選べば、ユーザーが新たに任意のフォーマットを定義づけることができる
 

ここで、「ん?」と違和感を感じたAEユーザーは多いと思う。先ほど「AEにおける『コンポジション設定』はないとテラオカは断言しなかった?」と。確かに、この「Project Settings」は「コンポジション設定」に近しいモノとして捕らえることもできる。じゃあ、ココでこの[Merge]に、例えば640×360ピクセルの画像をコネクトしてみよう<A1>。そうすると、Viewerペーンで、今のこの[Merge]が640×360という解像度になったことが確認できる。もし、「Project Settings」=「コンポジション設定」であれば、こんなふうに解像度がコロコロと変わることはない......。

属性の受け渡し例

640×360の画像を、[Merge]にコネクトすると、640×360というサイズの属性が[Merge]に受け渡される。さらに、先の画像をフォア、AEで言うところの平面である[Constant]をバックにしてコネクトしてみると、バックである[Constant]の属性も受け渡される
 

では、「Project Settings」とは何か? それは、その「NukeScript/.nkファイル(AEにおけるプロジェクトファイル/.aep)」の基準である。例えば、コンポジット作業中に、色ベタ(AEにおける平面)がほしくなったとしよう。Nukeでは[Constant]というノード・オペレータを用いる。この新規で[Constant]を呼び出すと、「Project Settings」の設定が引き継がれる。もちろん呼び出した後に、「Project Settings」と指定されているフォーマットとは違うモノに変更することも可能だ。このように「Project Settings」は基礎なのだ。さらには、全てのバックグラウンドに託されているといっても過言ではない。

Nukeの「Project Settings」その2

「Project Settings」で「HD 1920×1080」を選んでいると、それ以降、新規で作成する[Constant]などのサイズはフルHD(1920×1080)が適用される。もちろん、後から任意のフォーマットに変更することも可能。さらに、途中で「Project Settings」でサイズでフォーマットを変更すると、それ以降、新たに作られるものにはそのフォーマットサイズが適用される

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