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Vol.4:実写合成ツールとしてのNuke活用法

Vol.4:実写合成ツールとしてのNuke活用法

トラッキングやマスク作成、カラーマッチングに対して、様々なアプローチ方法があり、柔軟な思考で実写合成に望むことができる Nuke。前回までは概念的なことを説明してきたが、今回からはいよいよ実写合成を例に取り上げ、実践的な使用方法を説明していこう。

ベジェマスクとトラッキングを使いこなせ!

実写の撮影プレートを元に合成作業を行う時、マスクを作成しなければならないケースに度々遭遇する。マスクを切る方法は色々とあるが、キーイングと呼ばれる色情報を元にマスクを作成する場合は、撮影素材の状態に依存しやすい。なので、「マスクを描く」という作業が必要になってくる。
しかし、動いているものを1フレーム毎に Photoshop のブラシツールなどで塗っていくのは、かなりの手間になる。そこで、このような場合には、通常合成ツールにあるベジェマスクという便利なツールを使うと良い。このベジェマスクは曲線をコントロールしやすく、キーフレームを利用すればフレーム間を補間でき、マスクの形状を変形させることが容易なのだ。
さらに、現時点の最新バージョン Nuke 6.1 のベジェマスクは、RotoPaint もしくは Roto と呼ばれるノードで提供され、1つの閉じられたマスクごとに、[translate]、[rotate]、[scale]、[skew]、[center] というアトリビュートが付いている。これらに、例えばトラッキングの情報などを Expression を用いることで容易にリンクすることができるので、アイデアに直結させて、フレキシブルにマスクを追従できるのだ。

では今回は撮影素材を使い、その中の一部をリプレイスする作業を通して、具体的な手法を説明していこう。
撮影素材

今回はこの撮影素材を使って Nuke の非常に強力な使用方法の一部である、マスクの作成と、トラッキングについて解説する。手持ちカメラで撮影されたこの素材から、非常に小さな面積ではあるが、人物の消し込みを行う

STEP 1:Project Settings を設定

まずは下準備として、Project Settings の各種設定を行う。設定する項目は [frame range]、[fps]、[full size format]。この時、Viewer の下部にある、fps も同じく変更しておこう。
ちなみに、プロキシに関する設定もここで行うことができる。今回は説明を割愛するが、素材が「重い」ときは、このプロキシの設定が非常に有効だ。


NodeGraph 上で [s] キーを押すと、Properties に [Project Settings] のプロパティが表示されるので、色々と調整しよう


Viewer の下部に Viewer 上での fps を設定する箇所があるので、こちらも忘れずに変更しておこう

STEP 2:ベジェマスクを作成

では早速、簡単なベジェマスクの使い方から説明しよう。
先ほども述べたように、ベジェマスクは RotoPaint ノードもしくは Roto ノードから作成できるが、今回は、分かりやすく解説するため、より単純な Roto ノードを使用することにする。
まずは Roto ノードを NodeGraph に作成し、背景プレートに、その Roto ノードをコネクト。実際にベジェを描く際は、viewer の左にある toolbox の、[Bezier]、[B-spline]、[Ellipse]、[Rectangle] から、目的に適したものを使用する。

毎回説明しているが、NodeGraph 上で tab キーを押して、ノード名を直接入力すると、素早く使用したいノードを呼び出すことができる


Roto ノードや RotoPaintノードを作成し、Properties で表示しておくと、Viewer の左側にそれ専用のツールバーを確認できる。ここから、上から3つ目のツールでベジェマスクを作成することができる

撮影素材から人物を消したいので、適当なフレームで、ひとまず B-spline を選択し、Viewer 上でクリックしてベジェシェイプを作成する。最後に始点をもう一度クリックすると閉じたマスクが完成。すると、Roto ノードのプロパティ内[curves]と呼ばれる領域に[BSpline1]という新しいベジェマスクが作成されたのを確認できる


ベジェマスクを作成すると、[curves]領域内に[BSpline1]など、閉じたスプラインごとに、都度、命名された名前が出現する。後ほど説明するが、この閉じたスプラインは、それぞれに[Transform]情報を持っている他、色、アルファなど、諸々の情報を持つことができる


マスクには 「フェザー」 と呼ばれるボケ足を設定することができ、馴染み度合いなどを調整可能だ

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