キャラクターの体の向きの制御方法
頭の向きを制御するしくみは完成したので、続いて、体の向きを制御するしくみをつくっていきます。体の場合は、上肢や下肢をトランスレートで移動させた際に、肩や腰も自然と追従してくれると理想的です。しかし上肢や下肢のボーンをそのまま体のメッシュにウェイト付けすると、ローテーションの値まで受け取り、テクスチャが歪んで使い物になりません。この問題は、[トランスフォーム・コンストレイント]で、トランスレートの値だけを受け取るボーンをつくり、体のメッシュにウェイト付けすることで解決します。
まずは体のメッシュを割ります【上図】。
続いて、上腕と大腿のボーンの直下に、左右1対ずつのボーンをつくります【上図内ABCD】。
先の位置でもあまり問題はないですが、データをわかりやすく整理するため、上腕と大腿の付け根の位置に移動させます【上図内ABCD】。ボーンを選択した状態で[ctrl]キー+[c]キーを押すと、トランスフォームの値をコピーできます。また、ほかのボーンを選択した状態で[ctrl]キー+[v]キーを押すと同じ位置まで移動します。今回のような場合に使うと便利です。
ボーンの移動が完了したら、[トランスフォーム・コンストレイント]を設定していきます。左上腕の付け根に位置するボーンは、左上腕のボーンをターゲットに、左大腿の付け根に位置するボーンは、左大腿のボーンをターゲットに、といった形で各々を関連づけます。4つのボーンそれぞれにコンストレイントを設定し【上図内A】、トランスレートの値だけを150にしておきます【上図内B】。
次に、体のテクスチャのメッシュに、首、左右の上腕、左右の大腿のボーンと、先程作成した4つのボーンをバインドします。その後、頭のメッシュの[ウェイト]を調整したときと同様の工程を繰り返します。[アニメ化モード]に切り替え、体が回転するように上腕と大腿のボーンを動かしてから、体のメッシュの[ウェイト]を調整します。これで、上肢や下肢をトランスレートで移動させた際に、肩や腰の向きも自然と追従するようになります。なお、[ウェイト]を調整する際は、【上図】のように10フレーム目あたりにアニメーションを付け、0フレーム目と20フレーム目あたりにデフォルトのポーズでキーを打ち、動きを見ながら調整すると便利です。
今回は[トランスフォーム・コンストレイント]を利用した、キャラクターの頭や体の向きの制御方法を解説しました。このリグは私のお気に入りで、人型はもちろん、犬型や猫型など、四肢をもつキャラクターの場合はたいてい使っています。読者の皆様もぜひご活用ください。第5回は今回の続編として、同じSDキャラクターの揺れ物のリグと、弓のリグの作成方法を解説します。
第5回の公開は、2019年12月を予定しております。
プロフィール
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柴田章成
HERMIT WORKS所属のデザイナー・アニメーター・テクニカルディレクター。3度の飯よりリグが好き。
Twitter:@AkinariShibata
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HERMIT WORKS
主にアートディレクターで構成されたデザイナー集団。ハイクオリティなデータ制作でゲーム開発をサポートしています。本記事やSpine、そのほかのツールに関するお問い合わせは、下記メールアドレスまでお送りください。
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