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第6回:複雑なアニメーションの簡単なつくり方

第6回:複雑なアニメーションの簡単なつくり方

こんにちは。HERMIT WORKSの柴田章成です。前回までで、Spineのリギングにおける基本から応用までを紹介しました。今回は実際にアニメーションを付けてみます。これまでも走りや簡単な待機のアニメーションのつくり方は解説しましたが、様々な要素を取り入れた複雑な動きは解説していませんでした。ゲームのキャラクターの動きは、歩き、待機、通常攻撃などの単純なものばかりではありません。そこで今回は、必殺技のような複数の要素で構成された動きのつくり方について、メイキング動画も交えながら解説します。

TEXT_柴田章成 / Akinari Shibata(HERMIT WORKS / Twitter:@AkinariShibata
ILLUSTRATION_平野悟史 / Satoshi Hirano(HERMIT WORKS)
EDIT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)

簡単操作で綺麗に羽が開閉する、デーモンのリグ

今回は複雑なアニメーションの一例として、複数の動きで構成されたアニメーションを作成します。今回の作例キャラクター(以降、デーモンと呼びます)が実際にゲームに実装された場合の必殺技に相当する、以下の動画のようなリッチな動きを目指します。

▲「歩き→ジャンプ→打ち下ろし→着地」のながれで、ダイナミックな攻撃をさせてみました


アニメーションを作成する下準備として、まずはデーモンの体と羽のリグを作成します。今回はあまりテクスチャパーツ数を分けない前提で作成するので、体幹、左下肢(左脚)、右肩のパーツを一体化しています。また、上肢(腕)や下肢(脚)の関節も基本的には分割していません。例外として、右手の指の部分のみ、拳を握ったときにパーツが重なる順番を調整する必要があるので分割しています【上図内A】。パーツ分割は、求められる動きを実現できる最低限の数にするよう心がけましょう。 [アニメ化モード]で軽くポーズや動きをつけながら、全身のボーンを設定し、[ウェイト]を付けていきます【上図内B】(リギングの基本的なながれは過去の連載を参照してください)。


上肢のリグを作成する際、体幹の[スケール]の影響を受けないように設定します。上腕、前腕、手のボーンにおける、オプションの [継承]内の[スケール]のチェックボックスの選択を外しておきましょう【上図内A】。【上図】と【下図】では、奥行きを表現するために上腕を縮小しています。前腕の[スケール]のチェックボックスを選択した場合【上図内A】と、選択を外した場合【下図内A】を比較すると、【下図】では前腕が縮小していないことが見てとれます。


体のリグ作成が終わったら、羽のリグも作成します。羽が動くしくみ自体は簡単につくれますが、簡単に動かせるようにするためには、少しコツが必要です。本記事では、リグの作成が容易で、動かすことも容易な、バランスのいい方法を紹介します。


まずは下準備として、羽のテクスチャにメッシュを設定します。ものすごく細かい動きを付けたい場合でもない限り、パーツ分割と同様、メッシュの頂点も最低限の数に絞るよう心がけましょう【上図】。 羽のメッシュを切るときには、1点から複数のラインが広がる扇形を意識すると、綺麗に動くようになります。


メッシュを切り終えたら、今度はボーンを配置しましょう。まずは羽全体の動きを制御するボーンを、羽の付け根にひとつ作成します【上図内A】。次に、羽の上側のふちに沿うように2本のボーン作成した後、[IKコンストレイント]を設定します【上図内B】。先端のボーンのチルドレンとして、広がった羽に沿うように2本のボーンを作成し、上側のボーンの方に[IKコンストレイント]を設定します【上図内C】。以上の設定によって、下肢のリグを作成するときと同じように、2本のIKと1本のIKを組み合わせたリグを組むことができました(下肢のリグについては、本連載の 第2回で解説しています)。


羽のボーン作成が終わったら、羽全体が綺麗に広がるしくみを[トランスフォーム・コンストレイント]を使って作成します。真ん中にある羽のボーン【上図内A】を選択し、上側のボーン【上図内B】を[ターゲット]として、[トランスフォーム・コンストレイント]を設定します。このとき、[ターゲット]にするボーンを間違えないようにしましょう([トランスフォーム・コンストレイント]の詳細は、本連載の 第3回で解説しています)。さらに[ミックス]の[回転]の値を70に設定します【上図内C】。


以上の設定によって、上側のボーンを広げた際には自動で羽全体が綺麗に広がり【上図】、閉じた際には羽全体が綺麗に閉じるようになります【下図】。【上図】では、[IKコンストレイント]を設定した上側のボーンを動かした際に、羽全体が広がっていることが確認できます。一方で【下図】のように、羽を閉じるときもひとつのボーンで制御できます。 これで羽のリグは完成です。反対側の羽にも、同様の設定を施します。


尻尾は、本連載の 第5回で解説したポニーテール用のリグと同様に、[パス・コンストレイント]によって滑らかに動くようにします。【上図】では、尻尾の先端に作成したひとつのボーンだけで、尻尾の揺れを制御できるようにしています。


▲最終的に、この動画のような感じで、全体を動かせるようにしました


以降では、前述のリグを使い、ダイナミックな攻撃アニメーションをつくっていきます。


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