>   >  ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)
ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)

ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)

造形スタジオ「エルドラモデル」
TEXT & 加工_潤
TEXT & 原型製作_増宮宏一

前回にひき続き、フィギュアのデジタル原型で利用頻度の高い「ProJet HD3500」(3D Systems)による出力物の表面処理について解説します。ただし今回はワークフローよりも、これまでに実際に行なってきたアナログ作業による出力パーツの修正内容の紹介に重きをおいて解説していきます。

※本記事は、月刊「CGWORLD + digital video」vol. 201(2015年5月号)からの転載記事になります。

■アナログとデジタルは一長一短であり続ける

アナログ作業だけでフィギュアを造形しているときは、ずっと現物をいじっているだけだと目が補正をかけてしまって左右対称の歪みがわからなくなり、原型完成後に商品の写真を撮ってみたら手元で見ていた印象とちがうといったことがよく起こります。そのため作業の途中途中で写真を撮り、2Dでの見え方を確かめる必要がありました。一方のデジタル原型の場合は、平面のPC画面の中だけでは歪みや立体にしないとわからないことがあるので、簡易的なものでもかまわないので立体出力して確認する必要があることがわかってきました。アナログもデジタルもどちらも似たような問題を抱えているのだなと思う次第です。

ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)

(左)作例『1/8 セーラームーン』(原型師:増宮宏一)/(右)表面処理を施したパーツ

例えば、デジタル原型の分割作業に伴うブーリアン処理は、一番時間をかけたい工程でありながら、3Dモデリングの最終工程とあって、商業フィギュアとガレージキットのどちらでもなかなか余裕をもって作業できることがありません。納期に追われながら作業を急がざるをえないため、削り忘れが生じやすく、自分だけではなかなか気づかないものです。デジタルによる「分割」というブーリアン処理自体は、アナログにおけるそれに比べて格段に効率よく行えることは事実。ですが、デジタル造形の場合は、アナログ作業における「分割」だけでなく、各パーツの厚みや干渉などの確認、修正といった調整作業も同時並行で行うことになるため、最も神経をすり減らす工程でもあります。そうした工程で、パーツを割り忘れた、ダボを削り忘れたといったミスが生じた場合、立体出力後にアナログ作業で直すことになるわけですが、素材の硬さゆえに重労働であり半日単位の作業になってしまいます。だからこそ、出力直前に「自分が実際に磨くつもりになってパーツをひとつひとつチェックできる第三者」を置けるかどうかが、すごく重要です。周りにそうした第三者がいないデジタル原型師の方々は、データを収める前に一拍おいてから冷静な目で全てのパーツを確認することを心がけましょう。

■Topic 01:デジタル出力物に対する表面処理のながれ

3D Systems「ProJet HD3500」で立体出力(3Dプリント)したパーツの表面加工のワークフローは下表の通り。3Dプリンタや材質によって、作業内容や手順が変わってきますが、基本的なながれは共通です。ご覧の通り、磨き、洗浄、サフがけ、パーツ修正といった作業を丁寧にくり返すことで完成させていくわけです。

ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)

■Topic 02:最終的な表面の仕上げ

最終仕上げ(上の表のSTEP 5~8)といっても、アナログ作業なのでそこに用いる道具や手法は前工程(STEP 1~4)におけるそれと、大きなちがいはありません。ただ、より細心の注意をもって丁寧に作業を進めていくだけです。

パーツを乾燥させた後、細かい傷があればプラパテで傷を埋め、表面に断層が残っているようであれば、スポンジヤスリや紙ヤスリの1000番で断層を整えます。下地にある断層が消えない、もしくは埋まらない限り、いくらサフを吹いても断層は浮き上がってきます(右図)。パテで修正する場合も同様で、パテやパーツの境目に吹きかけたサフをいっそう磨くような感じで磨かないと、いつまでも修正の境目は消えません。

  • 続・デジタル出力物の表面処理法
  • ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)

ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(後篇)

<A>最終的な磨き込みの例/<B>筆者愛用の田宮製プラパテ。細かい傷を埋める際に重宝するのだが、逆に大きい傷を埋めるには不適だ/<C>1000番で磨いたときに下地が見えてしまったら、薄くサフで染めて仕上げる

▶次ページ:
Topic 03:アナログ作業によるパーツ修正

特集