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ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(前篇)

ワンフェス2016[冬]開催直前! デジタル原型師向け、デジタル出力物の表面処理法(前篇)

造形スタジオ「エルドラモデル」
TEXT & 加工_潤
TEXT & 原型製作_増宮宏一

これまで本誌の「デジタル造形」関連の記事では、立体出力向けの3DCGモデリングを中心に、バーツ分割についての事例やTIPSに重点を置いてきた。しかし、最終的なフィギュアのクオリティを決めるのは、出力後の磨きやディテール調整であることは言うまでもない。今回は、豊富なアナログ造型(手原型)の経験を下に、デジタル原型師たちへのサポート業務も精力的に手がけるエルドラモデルに出力物の加工テクニックを解説してもらおう。

※本記事は、月刊「CGWORLD + digital video」vol. 200(2015年4月号)からの転載記事になります。

<はじめに>手作業なくして原型は完成しえない

ここ数年の出力機の進歩により、デジタルで原型が造れてしまうということを知るにいたり、われわれのような手作業系の原型師はCADや3DCGソフトによるデジタル造形に目を向けはじめました。一方、もともとCGをやってこられた方は、映像だけではなく現物としての立体も造れるということに新たな可能性を見出すことができたのではないでしょうか。

そうした中、デジタル原型に取り組んでいる人たちが直面するのが、立体出力されてきたままの状態(クオリティ)で飾ったり、商品の原型とするのは、まだ厳しいという現実です。出力費を抑えるほどに粗くなる表面や、画面上でどんなに気をつけて分割しても、組み上げるには何かしらの手加工が必要になってしまうこと、出力されてきた立体物を見たときに露見する、画面上では気づかなかった面の歪みなど......最終目標を現物の立体として100%満足できる形で成立させるためには、3Dプリンタなどの出力機から出してそのままゴール、というわけではなく想像以上にアナログ作業の手間が必要なのだということを思い知った経験者も多いのではないかと思います。

そこで今回は、自分たちがこれまで携わってきたデジタル原型の仕事(データ制作や磨き修正作業)の経験から学んできた、3Dプリンタ(主にはProJet HD3500)からの出力品の表面加工におけるエルドラモデル流TIPSを紹介したいと思います。みなさんの原型制作にとって、何かの参考になれば嬉しいです。

■今回の作例『1/8 セーラームーン』ガレージキット

今回は、エルドラモデルでも利用機会の多い、値段と表面クオリティのバランスが良い3DSystems「ProJet HD3500」による出力物の表面処理について解説していきます。
※一部の解説写真では、別のフィギュアのパーツを用例にしています。

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『1/8 セーラームーン』ガレージキット(原型師:増宮宏一

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表面処理を施したパーツ

・主な3Dプリンタと出力物の特性

フィギュア原型師が触れる機会の多い代表的な3Dプリンタ方式と、その出力物の特性を右表にまとめてみました。自分の感覚値としてHD3500の出力コストは、1/8スケールの美少女フィギュア向けのパーツで8〜10万円くらい。メカにも使えますが、それなりに磨きのテクニックが求められます。

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ProJet HD3500で出力したまま(未処理)の状態

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STEP 01:脱脂作業

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