<4>エフェクト
本作のエフェクトは、手描き素材を使用した2Dエフェクトが主だが、クライマックスの敵UFO墜落シーンの爆炎など、一部はFumeFXを使った3Dエフェクトとなっている。竹山氏オススメのエフェクトの制作過程をいくつか紹介しよう。
●ハンマー突撃シーン
ジャスティスがハンマーを振り回しながら敵の大群に突撃していくシーン。ジャスティスがまとう軌跡のエフェクトが、その速さと重さを表現している。【A】ワイヤーフレーム表示/【B】エフェクトを表示させた状態/【C】エフェクトのノードネットワーク。ノイズテクスチャをマテリアルの透明度にアサインすることで軌跡を表現している。ノイズの幅はランプテクスチャで調整/【D】完成カット
●衛星砲
衛星から打ち出されるレーザー砲のエフェクト。【A】緑色の雷素材。3Dの雷素材を歪ませ、楕円形の光の玉をパーティクルで追加している/【B】【A】のベースとなった3Dの雷素材/【C】赤いレーザー素材。中心部はマスクアニメーション、外縁部にはフラクタルノイズを使用。周囲の赤い雷はAEで作成している/【D】集中線。レーザー部分は赤色に、その他の部分は白色のラインが描画されるにように作成している/【E】撮影効果。全体の色味の調節に使用/【F】背景/【G】完成カット
●UFO墜落シーン
クライマックスのUFO墜落シーンの爆炎エフェクトの制作工程。【A】煙のオブジェクト/【B】PartilceFlowのSpeed By Iconを使用して、煙オブジェクトがPathに沿って上っていくような画づくりを可能にしている/【C】炎部分用のマテリアルをアサインしてレンダリングした画像/【D】煙用のマテリアルをアサインしてレンダリングした画像/【E】3ds Maxのカメラビューからの画像/【F】爆炎エフェクトの完成
爆炎エフェクトが完成した後のコンポジット工程。【G】背景/【H】スパークエフェクト。AEのプラグインParticularで空から落ちて来る破片を作成。UFOの墜落後、破片が降ってくるのはコンポジッターのアイデア。光のシャワーで大団円の祝福感を表現した/【I】爆炎エフェクト。UFOから立ち上る爆炎の柱は先述のとおり、3ds Maxで制作した3D素材。地面で燃える残骸の炎は実写素材を加工して作成/【J】ライト/【K】撮影効果/【L】ジャスティス/【M】完成
<5>シーンメイキング
竹山氏が特に大変だったシーンとして挙げたのは、乱闘シーンで多脚ロボットを薙ぎ払う3回のスローモーションカット。時間をかけて見せるカットであるため、動きに粗があってはならず、さらにアップになるためディテールをじっくり見せる必要があるという労力のかかるカットだったという。スローモーションでのスピード感はフラPAN素材(スピード感を表現するための上下のブラー帯部分。「フラPAN」はカメラを素早くPANさせるアニメーション用語「フラッシュPAN」の略)によって構築している。
●ジャスティスの変身シーン
公開当時大きな話題となった、まるで魔法少女のような変身バンク。【A】ラフ。Vコンテに背景イメージを合わせ、シーン全体の雰囲気をここで策定/【B】仮エフェクト。【A】のラフに仮エフェクトを置き、それをアタリとして作画班に戻す/【C】コンテアタリ。この上に【D】〜【F】の素材を重ねて実体のアーマーへの切り替えを表現/【D】アーマー/【E】ワイヤフレーム/【F】スパークエフェクト
●多脚ロボットの行進
大群で迫ってくる多脚ロボは、After EffectsのParticularを使って増殖させている。【A】ロボの頭部ダミー。頭部だけを切り取り、上下の動きをくり返すアニメーションを付けている/【B】最後列の配置/【C】中列の配置。【A】をテクスチャとしてParticularでグリッド状に配置。その際、奥に向かうほど高くなるようにしている/【D】最前列
コンポジット素材。【E】背景/【F】煙エフェクト(奥)/【G】多脚ロボ素材/【H】煙エフェクト(手前)/【I】撮影効果/【J】完成
●乱闘シーン
竹山氏渾身の乱闘シーン。【A】背景/【B】多脚ロボ素材/【C】砂煙/【D】ジャスティス/【E】フラPAN 効果素材。スピード感を表現するための上下のブラー帯/【F】フラPAN効果適用後。【E】を歪みのマップレイヤーとして適用/【G】ハンマーの砂煙/【H】ハンマーの軌跡/【I】撮影効果/【J】スパークエフェクト。光った墨のようなヒットエフェクトは加算合成処理している/【K】完成
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