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Vol.1:慌てて登場

Vol.1:慌てて登場

なお、原画も動画も全身のジョイント、もしくはコントローラー、今回のFBIKならEffectorと、キャラクターの全身にキーフレームを打つことで、「そのフレームでは必ずこのポーズ」と、アニメーターが意図したポーズを作成することができます。これはポージングを意識するという上でとても重要です。また、このやり方は後にタイミングを調整する際にとても効果的なのです。CGであれば必ずといっていいほどリテイク作業が発生しますが、タイミングの調整の利便性にも優れています。アニメーション作業を行う際に重要なのは、どんなポーズでまたそれをどんなタイミングで動かせばそういった演技に見えるのか、というのを自分のなかで構築すること。こうしたことを頭で考える時間が最も長くなりますが、この動画作成時間は1時間程度でした。また、ここまでグラフエディタはほとんど使っていません。接地などの調整ぐらいで、使う必要はなしです。とにかくポーズとタイミングだけを考えることが重要です。
 

タイミングの調整を行なった動き
 

最終的な調整を加えた動き

この連載を始めるにあたって

今回、月刊CGWORLDで連載をするにあたりどういった内容が読む人たちにとって望ましいものかという部分を改めて考えました。アニメーションは基本的に表現ですので、答えというものがありません。ここで説明していることも筆者の好みであって、この動きが正解というわけではありません。しかし、逆に言えば何でも好きにやっていいという、とても自由度の高いフィールドです。今回はたまたま、MayaのFBIKを用いてますが、ソフトウェアの機能を如何に知っているかというのが、出来上がる絵に直結しないというのがCGアニメーションの面白いところでもあります。要するに、知識はなくとも表現力があれば勝てる世界であるということです。

CGは、知識が先行してしまいソフトウェアに使われてしまうことが多々ありますが、アニメーションに関してはそれはあり得ません。むしろ、如何に普段からいろんなモノやヒトを観察しているか、コミュニケーションを取っているか、表現したいものが自分の中にあるのかといった、その人の人間性が大きく影響してくる分野だと思います。実際、私の周りでアニメーションの上手な人たちは、よく飲んでよくしゃべって、話の面白い人が多いです。もちろん、感受性だけではCGアニメーションは作れないので、この連載で少しでもCGアニメーションの取っ掛かりを作ることができ、これからCGアニメーターになりたいと思っている方に何か伝えられば嬉しいですね。
キャラクターを思い通りに動かせたときは、何ものにも変えがたい達成感があります。是非CGアニメーションを好きになってください。最後におまけムービーも掲載しますので、こちらも観て楽しんでいただければと思います。
 

TEXT_森江康太(トランジスタ・スタジオ)
『FREEDOM-PROJECT.JP』やNHKスペシャル『恐竜絶滅 ほ乳類の戦い』などでアニメーションを担当。
トランジスタ・スタジオ公式サイト

続きは、月刊誌で!

CGWORLD 146号に関する詳細は下記リンクへ
CGWORLD 2010年10月号 vol.146



INFORMATION

デジハリ×CGWORLDコラボーレーション
「アニメーションスタイル」

これまで誌上連載をしてきた「アニメーションスタイル」を、「CGWORLD Academy」と題して、デジタルハリウッドとのコラボレーションで開催! ハンズオンでの習得をリアルセミナーならではの臨場感とスケール感で各回を解説します!

第1回は、「走ってきて止まる」というモーション制作をハンズオンで講義。原画、動画、仕上げの工程にわけ、キーフレームの打つタイミング、アニメーションをよりよくみせるためのプロの技、 キャラクターアニメーションでの演出のポイントを解説。

日時:2011年2月19日(土)14:00~18:00
会場:デジタルハリウッド東京本校
交通:御茶ノ水駅から徒歩2分
(JR線 改札:お茶の水橋口/丸の内線/千代田線)
受講料:5,000円

詳細・申込はこちら
http://blog.dhw.co.jp/tokyo/2011/02/cgworldcgworld-.html

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