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    動きの差で変わる印象

    今回取り上げる「動きの差分」は、基本原則における「予備動作」の拡張版とも言える技術です。CG アニメーターが動きを作る場合、まずはポーズを作成し、そのポーズのタイミングをずらしていくことでひとつの動きが出来上がります。これらが積み重なって最終的に映像となり、「動き=画の連続=アニメーション」という考え方に発展していきます。これはすなわち、アニメーションを構成している要素は「画(ポーズ)」と「時間」というたった2つしか存在しないということを意味しています。

    「画(ポーズ)」を縦軸と考え、「時間」を横軸として考えた場合、この縦軸と横軸は非常に密接な関係にあることがわかってきます。例えば、「5」という数値のポーズがあり、前のフレームには「3」という数値のポーズがあるとします。3から5へとポーズは変化するので、変化量は「2」です。しかし、前のフレームのポーズが「1」の場合は変化量は「4」となり、先ほどの倍変化します。このように前にあるポーズとの変化量の差によって、同じポーズであるはずの「5」というポーズの見え方・印象が変わってくるのです。変化量が倍になるということは、時間は半分になっていることを意味します。これは横軸が縦軸に影響を及ぼしていると言い換えることができ、これが「動きの差分」と呼ばれるものです。少し難しい話に聞こえますが、内容はとてもシンプルなものですので具体的にみていきましょう。

    TEXT_森江康太(トランジスタ・スタジオ/ディレクター)
    書籍「アニメーションスタイル+」著者。MV『Express』等の作品で監督としても活動している。
    トランジスタ・スタジオ公式サイト
    0130.web(個人サイト)
    @kohta0130(Twitter)

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    CGWORLD 2014 年6月号 vol.190