記事の目次

    動きの情報量を増やす

    CG でキャラクターアニメーションを作成した際、あまり良くないニュアンスの感想としてよく言われることに、「CGっぽい」というものがあります。筆者も、CG アニメーションを始めた当初はこの CGっぽい動きからなかなか抜け出せずにいました。しかし、その原因が自分の中で判明したことで、「CGっぽくない」「生き生きとした」動きに少しだけ近づけられるようになってきました。その、CGっぽさの最大の原因とは「動きの情報量の少なさ」です。

    例えば、キャラクターが左から右に振り向くという、とてもシンプルな動きがあったとします。首だけが左・右を向いている2つのポーズだけを作った状態で再生してみると、いかにも「CGっぽい」動きになっているはずです。その理由は、振り向きという動きひとつとっても、実際には人体の様々な箇所が同時多発的に動いており、それが考慮されていないことにあります。胸や腹のひねり、頭や肩の回転、上下動や重心の移動、振り向く前の予備動作や振り向いた後の余韻など、振り向きというシンプルな動きを考えてみても、実際にはこれだけの要素の動きが含まれているのです。

    この動きの要素を「波長」として捉え、その波長を複雑に重ね合わせ、また重ねた状態でポーズを作ることで「CGっぽい」動きをなくすことができるというのが今回のテーマです。この技術は、12 の基本原則におけるオーバーラッピングの拡張版と言えるでしょう。

    TEXT_森江康太(トランジスタ・スタジオ/ディレクター)
    書籍「アニメーションスタイル+」著者。MV『Express』等の作品で監督としても活動している。
    トランジスタ・スタジオ公式サイト
    0130.web(個人サイト)
    @kohta0130(Twitter)

    続きは、月刊誌で!

    CGWORLD 193 号に関する詳細は下記リンクへ
    CGWORLD 2014 年9月号 vol.193