お役立ちGizumoの紹介 Part.1
ここからは、筆者が愛用しているGizmoを紹介してこう。皆さんのVFX制作の一助になれば幸いだ。
1.fractalBlur
richardfrazer.com/tools-tutorials/fractal-blur-for-nuke/
前回Gizmo(Groupノード)の作成で説明したのは、実はこのfractalBlurの原型になる部分だ。説明が重複してしまうが、レイヤー合成のA,Bレイヤーの乗り換えや、Gradeノード等による色調整の影響範囲等を、ロトのフェザーやぼかしたアルファチャンネル等のある程度の幅を持つ白黒グラデーションマスクを利用することで、スムースな乗り換え、影響範囲を得るというのは、よく用いられるテクニックだが、この場合でもその乗り換え感が顕著に出てしまうことも多々ある。それを誤摩化すために、この白黒グラデーションに斑(ムラ)を加えるとことで、それを極力気づきにくするというようなテクニックを使ったりするが、そうした処理を容易に行えるようにツール化したものがこのfractalBlurである。
例えば、上図の背景プレート(上段)に対して、煙素材(下段)を合成するとしよう
rotoノード等で適当なマスクを作って合成する場合、当然マスクをぼかさないとエッヂがくっきりと表れてしまう
フェザーを用いてマスクにグラデーションを与えた場合も、よく見ると、やはり直線的な乗り換えを感じてしまう
そんな時にそのrotoノードを、ここで紹介したfractalBlurのAlphaにパイプすると、マスクのエッジにフラクタルブラーを加えることができる
fractalBlurを用いて合成すれば、直線的な乗り換え感を解消することが可能だ
2.iBlur
www.nukepedia.com/gizmos/filter/iblur
Blurノードでぼかし度合い(size値)をマスクの白黒度合いで調整したい際に時折遭遇するのが、Blurノードのマスクに直接白黒のグラデーションマスクをプラグしても、そのぼかしのsize値のままで単純にオーバーラップ(ディゾルブ)されてしまうということだ。そうしたときは、このiBlurが非常に有効である。
余談だが、かつてあったShakeというコンポジットソフトウェアにはiBlurとiDefocusなるノードがあり、このiBlurで同じようなことができる。ちなみに、Zblur/Zdefocusを用いれば似たような表現は可能であるが、作業速度や手軽さの面において、iBlurの方が秀でていると言えるだろう。
標準のBlurノードでぼかしたい場所をグラデーションのあるマスクで指定すると、そのマスクの白から黒にグラデーションしているグレートーンの領域においては単純にそのBlurノードの効果が適用された画像とされていない画像がオーバーラップで乗り換わっただけのような効果になってしまう。このiBlurを用いれば、iBlurノードのぼかしのsize値をグラデーションに応じて変化することが可能となり、ただのオーバーラップではなく、グラデーションに応じてボケ幅の変化を得ることができる
3.expoGlow
http://www.nukepedia.com/gizmos/filter/expoglow
説得力があって画的にも綺麗なグロー表現を行うには、「光の強度は距離の逆二乗で減衰する」という法則に基づき光を表現するのが効果的である。ComperK氏のブログ「コンポジター地獄行き!」等で、詳しく解説されているが、それを手軽に行えるのがこの、「expoGlow」だ。NUKEも標準でGlowノードは準備されてはいるが、どうしてもグローの強度が「平坦」にがかりがち。だが、このexpoGlowだと光の強いところから、周辺部の光が減衰して弱まっているところまでを表現するのに適している。
Moon's photo by Gregory H. Revera
画像のように、NUKEの標準のGlowノードをそのまま加えただけだとベタっと平坦な光になりがちであるが、expoGlowは強い光から減衰して弱まる光までを表現でうまくできている。gizmoはこのように、何か「うまくやる」テクニックを最初から梱包しているようなものである
expoGlowのプロパティ。光に色味等を追加したりもできる。