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Vol. 9:secret for Gizmo(その2)

Vol. 9:secret for Gizmo(その2)

お役立ちGizumoの紹介 Part.2

4.vectorExtendEdge

www.nukepedia.com/gizmos/filter/vectorextendedge

グリーン、ブルースクリーン合成時のキーイングした際に、どうしても、エッジの色が戻せない場合、重宝するGizmo。グリーン被りや、背景プレートとのライティングの違いによる明暗さや色差が生じている場合に、このような不都合な部分を削ってしまうことがあるが、ただ削るのだけだと、対象物がやせて(エッヂが浸食されて)しまう。そんなときは本Gizmo用いて、その名の通りエッジ部分を拡張させ、痩せた分をマスクの中にある色情報を呼び込み補填することによって回避できる

NUKEプラクティカル・ガイド vol.9・図13

(CC) Blender Foundation | mango.blender.org
グリーンスクリーン素材の例

NUKEプラクティカル・ガイド vol.9・図13b

[VectorExtendEdge]のプロパティ

  • Nukeプラクティカル・ガイド vol.9・図14

    これらのようにアルファを少し縮めてそこから外に色を「拡張」することで、エッジ部分にあったグリーンスクリーンのトーンを軽減できることができる

  • Nukeプラクティカル・ガイド vol.9・図15

5.PxF

www.pixelfudger.com

pixelfudger.comが提供している、Gizmoツール群。中でもPxFErode,PxFDistort,PxFKillSpillは、筆者がみて来たスタジオでもよく利用されていた。

5−1.PxF_Erode

NUKEに搭載されてる標準のErodeノードは3つあるが、どれも色々とくせがあり、痒いところにあまり手が届かないくて痒いまま ってことが多々ある。「PxF_Erode」はそんな痒いところに手が届くので、なにかと重宝しているる。

NUKEプラクティカル・ガイド vol.9・図16

図は、各Erodeツールでアルファを縮めた例である。標準の「Erode(Blur)」は、アルファの半透明部分がなくなりがちで"硬い"印象があり、大きな数値を使うと形状が著しく変わることがある。また「Erode(Filter)」の場合は、形状が著しく変わることはないが半透明部分にとても弱く、数値として少数値を持つ値での微調整が難しい。対する「PxF Erode」は、その辺りを上手く補っている。半透明部分のディテールも保ちつつ、巧みにアルファを縮小させていることがわかるだろう

5−2.PxF_Distort

標準のdistortionツールである「iDistort」ノードは白黒画像をディスプレイス用のマップにしてそのまま使うと、上下左右に同じ量だけの変形が起こり、常に斜め45度方向の変形で何ともつまらない。一方「PxF_Distort」は、白黒画像を入れてもランダム感があり、おまけに屈折感も出してくれる。すりガラス表現に用いることを想定しているような感じだ。

  • Nukeプラクティカル・ガイド vol.9・図17
  • Nukeプラクティカル・ガイド vol.9・図18

PxF_Distortの適用例とそれに用いたディスプレイス用の画像。単純な白黒画像でも屈折感を表現してくれる

5−3.PxF_KillSpill

強力なディスピルツールである。Hue Correct等でやると消えづらいモノとモノの隙間にあるようなグリーンやブルーのかぶりを結構綺麗にとり除いてくれる。

NUKEプラクティカル・ガイド vol.9・図19

PxF_KillSpill のプロパティ

NUKEプラクティカル・ガイド vol.9・図20

PxF_KillSpillの適用例。このノードを加えただけかなり綺麗にスピル除去ができる。ルミナンスでオリジナルとくらべてもトーンを維持しながらグリーンを綺麗に除去できているのがわかる

NUKEプラクティカル・ガイド vol.9・図21

PxF_KillSpillの中身。ディスピルのテクニックが垣間みることができ、使用しなくとも一度覗いてみると得るものが多々ある

TEXT_テラオカマサヒロ(Galaxy of Terror)
株式会社ギャラクシーオブテラーにて VFX ディレクターとして活躍中。現在は北米に活動拠点を置き、実写合成からフルCGまで幅広いVFX制作に携わっている。
個人サイト「tiraokan.」

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