日本やアジアならではのCGを紹介したい
C:Production Sessions(別名、Panels & Talks)の方は、どのような構想をおもちですか?
塩田:Production Sessionsは例年通り商業作品のメイキングが中心になると思います。Pixar Animation Studiosは毎年何らかのセッションを応募してくださるので今年も期待しています。SIGGRAPH Asia 2015では日本ならではのCGやプロダクションにスポットを当てたかったので、CG In Animeというセッションを企画し、アニメCGの仕事を紹介しました。SIGGRAPH Asia 2018でも、日本ならではのセッションを企画したいと思っています。加えてもう少し視野を広げ、アジアならではのCGやプロダクションも紹介したいですね。
谷:Production Sessionsは公募とキュレーションとで構成されるので、日本のCGプロダクションからの応募もお待ちしています。英語に苦手意識をおもちの方には敷居が高いかもしれませんが、ご不明の点があればお気軽にお問い合わせください。日本語でサポートさせていただきます。
塩田:世界に向けて発信する絶好のチャンスだと思うので、ぜひ積極的にご活用ください。
▲SIGGRAPH Asia 2017のPanel & Production Talksでは、8つのセッションが開催された。Pixar Animation Studiosによる「The Making Of Pixar's "Coco"」と題したセッションでは、7人のスピーカーが2時間以上をかけて『Coco』(邦題『リメンバーミー』)の制作過程を解説した
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▲同じくPanel & Production Talksの様子。【左】Cyndi Ochs氏(Marvel Studios)、Alexis Wajsbrot氏(Framestore)、Chad Wiebe氏(Industrial Light & Magic)、Andrew Hellen氏(Method Studios)による「The Making Of "Thor: Ragnarok"」と題したセッションでは、『Thor: Ragnarok』(邦題『マイティ・ソー バトルロイヤル』)の制作の舞台裏が語られた/【右】受講者席の様子
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▲SIGGRAPH Asia 2015のPanel & Talksでは、7つのセッションが開催された。【左】は「Abstract Thought From Pixar's Inside Out」、【右】は「The Technology Behind 'Big Hero 6'」の様子
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今年はVR TheaterとProduction Galleryを新設
C:今年の新たな試みとして、VR TheaterとProduction Galleryを新設するそうですね。
塩田:どちらもSIGGRAPH 2017のCAFで新設されたプログラムで、すごく感銘を受けたのでSIGGRAPH Asia 2018でも何らかの形で実現したいと思っています。SIGGRAPH 2017のVR Theaterは1回の上映時間が約1時間で、20の視聴席が用意されていました。観客はHMDを装着し、リニアなストーリーテリングのあるVR映像を視聴します。観客を総入れ替えして1日数回の上映を行いましたが、視聴人数は限られるためSIGGRAPH 2017では一番のホットチケットになりました。
C:VR/AR(※5)の展示作品との大きなちがいはインタラクティブ性の有無でしょうか?
※5 VR/ARについては連載 第2回で詳しく解説している。
塩田:そうです。VR Theaterにはインタラクティブ性がなく、観客は椅子に座って5∼10作品、総尺40∼50分のパッケージを視聴します。ですから従来の映像作品に加え、今年のCAFではVR作品も募集しています。VR Theaterの企画や審査は石丸健二さん(講談社VRラボ 取締役/プロデューサー)に依頼しています。
谷:もうひとつの新設プログラムであるProduction Galleryでは、映画、ゲーム、アニメなどのアートやプロップの展示を予定しています。SIGGRAPH 2017の場合は北米の商業作品が中心でしたが、SIGGRAPH Asia 2018では日本の作品を中心に展示します。こちらの企画や実施は「映像制作の仕事展」を主催してきたボーンデジタルに依頼しました。
塩田:Production SessionsとProduction Galleryは、最もインダストリーよりのプログラムと言えます。どちらもプロダクションの舞台裏を見られる内容にしていくつもりです。
▲【左】SIGGRAPH 2017におけるVR Theaterの様子。赤いビロードのカーテンで仕切られた空間に20の視聴席がサークル状に配置されており、その印象的な空間デザインも話題となった/【右】同じくSIGGRAPH 2017のProduction Galleryにおける、Sony Pictures Imageworksの展示の様子。日本からはスクウェア・エニックスが参加し、『FINAL FANTASY XV』のアートやマケットが展示された image courtesy of ACM SIGGRAPH
▲「映像制作の仕事展」の様子。本展示会は2016年10月に第1回、2017年10月に第2回が開催され、コンセプトアート、マットペイント、3DCG、立体造形、特殊メイク、ミニチュアなど、映像制作にまつわる多彩な作品が展示された。第1回のレポートはこちら、第2回のレポートはこちらで公開している
C:従来のプログラムにVR TheaterとProduction Galleryまで加わり、SIGGRAPH Asia 2018のCAFは非常に見応えのあるものになりそうですね。
谷:そうなるように、日本のCGプロダクション、個人作家、学生の皆様などからの積極的な応募を期待しています。
C:様々なバックグラウンドをもつ方々の作品が一堂に会する点が、CAFの醍醐味であり、面白さでもありますね。
塩田:その中からどれがBest in Showに選ばれるのか、ぜひ見届けてほしいと思います。そしてSIGGRAPH Asia 2018は世界に向けて東京のCGコミュニティのプレゼンスを発揮する絶好の機会です。積極的なご参加をよろしくお願いします。最後に、CAFの応募締切は7月15日(日)23:59です!!
info.
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SIGGRAPH ASIA 2018
会期:2018年12月4日(火)∼12月7日(金)
会場:東京国際フォーラム
主催:ACM SIGGRAPH
SIGGRAPH ASIA 2018 公式サイト
Computer Animation Festival(CAF)の詳細