>   >  『#コンパス』短篇アニメ制作部:初めて描かれる「ゲームシステム内部」を舞台に展開するアクションムービー/#02『Voidoll irregular』by トムス・ジーニーズ
初めて描かれる「ゲームシステム内部」を舞台に展開するアクションムービー/#02『Voidoll irregular』by トムス・ジーニーズ

初めて描かれる「ゲームシステム内部」を舞台に展開するアクションムービー/#02『Voidoll irregular』by トムス・ジーニーズ

<3>リグとアニメーション

トムス・ジーニーズは社内に小規模なモーションキャプチャの施設をもつこともあり、モーキャプにも手付けにも対応できる内製のリグシステムを構築し、活用している。本作のアニメーションはVコンテをベースとして全て手付けで制作されており、メインツールはMayaだが、ヒーロースキルを使用するシーンのアニメーションのみ3ds Maxが使われている。「自社のリグシステムのおかげで、3ds MaxのアニメーションキーをMayaに読み込む作業がスムーズにできました」とリギングを担当した岩井文吾氏は語る。


  • 岩井文吾/Bungo Iwai
    トムス・ジーニーズ

「Voidollは設定上ロボットではありますが、固いだけではなく柔らかさも共存しており、それが表現できるリギングにしてもらいました。例えば手足や髪にしなる感じを入れたり、ひねったり歪ませたりできるようにとお願いしました」(渡辺監督)。

『#コンパス』は、スマートフォンの画面で見てもキャラクターがすぐに判別できるよう、それぞれのキャラクターのシルエットに特徴をもたせている。なかでもVoidollは手首足首がなく浮遊しているためポーズがつけやすく、アニメーターにとっても動かしやすいキャラクターだったという。アニメーションは24fpsで付けている。

アニメーションは小笠原俊介氏を中心に4名で担当。「ゲームのユーザーの方から見たときにイメージが壊れないよう、ゲーム内で取っているポーズをアニメーションに採り入れ、ファンの方が受け入れやすいようなアニメーションにしました。最後の戦闘シーンでのキメの部分はタイミングを詰めて格好良く演出しつつも、そこにいかにVoidollの可愛らしさを盛り込むかがポイントでした」(小笠原氏)。


  • 小笠原俊介/Shunsuke Ogasawara
    トムス・ジーニーズ

●Voidollのリグ


左から、リグシステムのベースリグ、Voidollの体型に合わせて調整したリグ、リグを適用して各補助リグを追加した状態。手足の部分は関節以上に湾曲させたり補助ガイドを付けたりしているのが特徴。フェイシャルはブレンドシェイプを使用


カットによって肩の関節の位置をずらしたり、手足の関節部分を繋げたりと、見え方に応じて構成をチューニングしている。中央が調整前、右が調整後

●アニメーションのながれ①キーポーズ

アニメーションキーポーズの例。Voidollのアニメーションにおいてはキーポーズが重要な役割を果たした。まずはセリフに合わせてキーポーズを作り、ゲーム内の可愛いポーズを再現し合間に盛り込むことでVoidollらしさを印象づけていった。「ポージングにおいては、人間のファッションモデルのポーズを参考にしました。Voidollはけっこう可愛らしいポーズを取るんですよ」(小笠原氏)

●アニメーションのながれ②髪の揺れ


Voidollはロボットでありながら柔らかさを感じられる動きが目指されたが、髪についてはシミュレーションでは柔らかくなりすぎたため、全て手付けで作成された。ゲームでのポーズを印象づける際、ゲームでは真っ直ぐなポーズが短篇では曲がっていたりするとイメージが乖離するため、入念に再現したという

揺れなし

揺れあり

●アニメーションのながれ③カメラワーク


冒頭の登場シーンのアニメーション。カメラワークもアニメーション担当が付けている。ここで動き方の模索をしてテストをくり返し、イメージを固めていった。当初はふんわりとした動きだったが、渡辺監督からの「浮遊感の中にもキビキビとした動きを入れていきたい」という意見を採り入れ、現在の動きに固まった。「システム内部はこれまで描かれたことがなかったので、最初のカットでのVoidollのフワッとした動きでユーザーにイメージを伝えることができたと思います」(藤田氏)

●リグによる手先のしなり表現

手先をしならせるリグ


  • しなりなし

  • しなりあり

Voidollは手首、足首がない構造のため、手先をしならせることで動きに柔らかさを出している。「Voidollが両手を合わせるところは、モデルの形状そのままでは合わせることができないのですが、しならせるリグを使って合わせられるようにしました。手がない分表現が難しい要素をしならせることでカバーしています」(小笠原氏)

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<4>エフェクト

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