>   >  IDOLiSH7『Mr.AFFECTiON』MVの舞台裏:第7回(最終回):7人の新たな道程を彩る音楽に込めた想い
第7回(最終回):7人の新たな道程を彩る音楽に込めた想い

第7回(最終回):7人の新たな道程を彩る音楽に込めた想い

IDOLiSH7の楽曲は複雑さよりもストレートさを重視

続いて、作曲を担当したkz氏に視点を変えて見ていく。ポップスからダンスミュージックまで幅広いジャンルの音楽を手がけており、IDOLiSH7に対してもデビュー当初から楽曲を提供し続けてきた。IDOLiSH7の道程をともに歩み、成長を見届けてきた同氏は、今作にどのような想いで向き合ったのか。

Q:kzさんのご経歴をお教えください。

2007年からインターネットを拠点に音楽活動を始め、そのまま現在に至ります。アニメ、ゲーム、ダンスミュージックなどで主に活動してます。

Q:ご自身の代表的な作品をいくつかお教えください。

『Tell Your World』/livetune feat.初音ミク
『Irony』/ClariS
『SEVENTH HAVEN』/セブンスシスターズ
『MONSTER GENERATiON』/IDOLiSH7

アイドリッシュセブン『MONSTER GENERATiON』MV FULL


《作曲の仕事について》

Q:作曲をされる際の、完成までの流れをお教えください。詞が先にできていることが多いですか?曲を先に制作されることが多いですか?

100%曲先です。自分で作詞するときもそうですが、『アイドリッシュセブン』のように作詞家さんとお仕事をするときも基本的にはメロディを作ってからお渡しして作詞していただいています。

Q:1曲の作曲にはどのくらい時間がかかりますか?

そのときのバイブスにもよりますが短いときで1日、長いと1週間くらいかかったりしますね......。『アイドリッシュセブン』は結構慎重に考えることが多かったりするので時間をかけて作ることが多いです。

Q:作曲をされる際、心がけていること、必ずするようにしていることはありますか?

何かしらのコンテンツに対して曲を作ることが多いので、そのコンテンツが好きな人がどれだけその曲の感情になれるか、を軸に制作するように心がけてます。曲を聞いてそのバックボーンを想起できるようなものになっていれば幸いだなぁと。

Q:作曲をされる際に、資料としてどういうものを活用されますか?

作曲のみの場合はそこまで資料を読み込むということに重点は置いていないです。そこの部分は作詞家の方にお任せするところが大きくて、曲の方はもっと大枠の、作品の方向性を定めるものに留めることが多いですね。作詞・作曲の場合はめちゃくちゃ読み込んで感情になってから作ることがほとんどです。


Q:作曲の作業をされる中で、良く使用される機材やアイテムがあればお教えください。

メインスピーカーのBAREFOOT SOUND MicroMain27ですかね。それほど機材を多く使う人間ではないので、良いスピーカーがひとつあることが一番大事だなと思ってます。

Q:制作中に作詞担当の方とやりとりをされることはありますか?

完全にお任せしているので今まで一度もありません。僕自身も作詞をするので、細かい話をしようと思えばできなくはないですが、そこはその人の領域だと思っているので。

Q:幅広いジャンルの楽曲を手がけていらっしゃいますが、ジャンルごとに作曲の方法や意識することは変わりますか?

基本的には変わらないですね。あるとすれば、そのジャンルに対しての理解を深めることと、そのジャンルそのままのものを作らないようにすることです。なので割とエッセンスだけを拝借したりすることが多いです。


《IDOLiSH7、『Mr.AFFECTiON』の作曲について》

Q:作曲のオファーがあったのは具体的にいつごろでしたか?

めちゃくちゃに昔なので改めてメールを確認したら2018年の5月頃っぽいですね......。

Q:『Mr.AFFECTiON』の作曲にあたっては、どういったオーダーを受けましたか?

今までのIDOLiSH7とは違う、「かっこよさ、クールさ」を軸にしたもの、というお話はいただきました。打ち合わせではシナリオの大枠の部分をお話いただいたのであとはそれを基に、という感じだったと思います。

Q:先ほど曲の完成までの流れについてお聞きしましたが、『Mr.AFFECTiON』の場合はどのような流れで進められましたか?

最初に1コーラスのデモを作らせていただいて、そこから意見をいただいて修正があれば対応、という感じで進めていきました。今までに制作したIDOLiSH7の楽曲ではそこまで大きなリクエストをいただくことはなかったんですが、今回はガラッとイメージを変えた楽曲ということもあって、最初に作ったものから結構作り直しました。ドラスティックな変化を求められる作品の場合は良くあります。どこまで振り切るかのボーダーラインがちがうこともあるので。そこを確認できてからはスムーズだった気がします。

Q:IDOLiSH7の楽曲の作曲の際、特に心がけていること、意識されていることはありますか?

複雑さよりもストレートさですね。それとライブのときにどういう画になるだろう、というところを考えながら作ることが多い気がします。IDOLiSH7の曲は掛け合いやガヤがめちゃくちゃ多いのですが、これもそういうところから来ています。

Q:これまでに作曲をご担当されたIDOLiSH7の楽曲と、今回の『Mr.AFFECTiON』では楽曲のテイストが大きく異なりますが、作曲の工程において異なるところはありましたか?

今までは割とシンプルなシーケンスが多かったんですが、クールさを出すためにComplextro(※)の要素を絡めたりしたので結構細かいトラックが多くなりました。主にベースですね。それと普段ダンスミュージックの要素が強い曲で使う音色をいつもよりも多めに使用しています。

※Complextro(コンプレクストロ):エレクトロ・ハウスから派生した音楽の1ジャンル。入り組んだベースラインやグリッチノイズを特徴とする

Q:7人それぞれのイメージに合わせてメロディを制作されることはありますか?

歌の割り振りは作詞家さんにお任せしているのでこちらからそれを押し出すことはしません。そういったところで自由度を下げてしまうと作品に響くので......。もちろんそういったオーダーをいただいた場合は考えて作ることもあるかと思います。


Q:『Mr.AFFECTiON』の楽曲において、kzさんオススメの箇所をいくつかお教えください。

箇所というかこれは全部なんですが、今までと違う曲調ということもあって、ヴォーカルがどこをとってもめちゃくちゃにかっこよくて最高なのでもうそこを聞いてくださいとしか言いようがないです。

Q:完成したMVをご覧になった感想、印象に残ったカットなどあればお教えください。

あまりにかっこよすぎるしクオリティが超絶だったので終始変な笑いが出っぱなしみたいな感じでしたが、個人的に好きなカットというなら1サビ後半の環さんの蹴りから歌への一連の動きのグルーヴがめちゃくちゃすごくて感動しました。その少し前の陸さんのバックステップもビートへの理解度が完璧で好きです。



全7回にわたってお送りした本企画も今回で終わりを迎える。本MVは時間にしてわずか4分弱の映像ではあるが、そこには無限とも感じられるほどの制作陣の愛が詰め込まれていた。アイドルとは、ファンと、スタッフと、アイドル本人で作る、作品――。この短期連載の最後に、フッとそんな言葉が頭に浮かぶ。表には出ることのない裏方のスタッフたち。しかし、彼らは間違いなくアイドルの一端を担っているのだ。たくさんの愛に支えられ、さらなるステージへと進むIDOLiSH7。これからも目が離せない。



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