<2>今月の便利アドオン
このアドオンを使用することで、オブジェクトの様々な属性のコピーが可能となります。 Blenderに標準で搭載されているアドオンですが、デフォルトではOFFになっているため、まずはこのアドオンを有効設定にしておきましょう【2-A】。
▲【2-A】Copy Selected Modifiers①
[Editメニュー→Preferences...→Add-ons]で[Copy Attributes Menu]で検索してチェックを入れ、アクティブにしてください
本文で解説したDuplicate Linkedはオブジェクトの"Data"のみを共有するため、複製後にモディファイアーを追加した場合、もう一方のオブジェクトにはモディファイアーは当然追加されません。標準機能のMake Links 3D Viewportエディタの[Objectメニュー→Make Links]を使用してモディファイアーのコピーも可能ですが、もともとオブジェクトに割り当てられていたモディファイアーを削除してコピーしてしまうため、使い勝手が悪く用途が限られてしまいます。
Copy Attributes MenuのCopy Selected Modifiersの機能を使用すると、複数モディファイアーが適用されている場合でも選択したモディファイアーのみをコピーすることが可能で、さらにオブジェクトにもともと割り当てられていたモディファイアーを削除せずに適用されます。使用方法は、まずコピー先のオブジェクトを選択し(複数も可)、最後にコピー元のオブジェクト(コピーしたいモディファイアーが適用されているオブジェクト)を選択します。その状態で[Ctrl+C]キーを押すとメニューが表示されるので、Copy Selected Modifiersを選択実行し、さらにポップアップされたメニューからコピーするモディファイアーを選択し実行します【2-B】。
▲【2-B】Copy Selected Modifiers②
[Ctrl +C]キーでコピーすることができる項目がメニューで表示されます。割り当てられているモディファイアーによって表示される内容は異なりますが、このメニューからコピーしたい項目を選択し(複数可)実行します
モディファイアーのコピー以外にも、同様の手順で位置、回転、スケール、Vertex Weights、Constraintsなど様々な属性をコピーすることが可能です。MaterialやUVなどのコピーはMake Linksを使用する以外に方法はないため、この辺りは重複する設定もありますし標準で搭載されているアドオンでもあるのでまとめてほしいところですね。
<3>今月のミニTips
●ポリゴンに対するマテリアルの割り当て
今回は、Tipsというより本文の補足説明的な内容となります。マテリアルは通常の方法だと1つのオブジェクトに対して1つしか割り当てることができませんが、Editモードを使用することで選択したポリゴンに対して異なるマテリアルを割り当てることができるようになります。
それではまず、[Shift+A→Mesh→Monkey]でSuzanneオブジェクトを作成し、PropertiesのMaterialプロパティでマテリアルリストの右側の[+]を押して空のマテリアルを追加しましょう。
次に[+ New]で新規マテリアルを作成し、マテリアル名を「Monkey_base」に変更し、Base Colorを茶色に設定します。同様の手順でBase Colorが白色の「Monkey_eye_white」を追加して作成しておきます。Suzanneを選択した状態のまま3D ViewportをEditモードに切り替えると、Materialプロパティのマテリアルリストの下に、[Assign]、[Select]、[Deselect]の設定項目が新たに表示されます【3-A】。
▲【3-A】Materialプロパティ①
[Select]は、選択されたマテリアルが割り当てられているポリゴンを選択し、[Deselect]は非選択にします。[Select]は、実行時に選択されていた他のポリゴンに追加してポリゴンを選択することに注意してください。割り当てられているポリゴンのみを選択したいときは、いったん選択を全て解除してから実行してください
ここでSuzanneの両目のポリゴンを選択し、マテリアルリストで「Monkey_eye_white」を選択した状態で[Assign]を実行することで、選択されたポリゴン部分にそのマテリアルが割り当てられます。同様の操作で、黒目、鼻、口内にそれぞれ異なるマテリアルを割り当てていきましょう。大体図のような結果になったと思います【3-B】。
▲【3-B】Materialプロパティ②
1つのオブジェクトに対して、複数のマテリアルが割り当てられていることが確認できます
●Material Index
先ほどのSuzanneのマテリアルリストには、使用している5つのマテリアルが表示されています。一見このリストの並び順には何の定義もなされていないように見えますが、内部的にはこの並びに対してMaterial Indexという数値が割りふられています(似た設定でマテリアルのPass Indexという項目がありますが、そちらはレンダリングの要素出しのときなどに使用する別の設定項目です。次回以降のレンダリング設定のときに解説します)。
上から順に0、1、2、3、4という順で割り当てられており、マテリアルを追加するとMaterial Indexの数値もそれに従って増えていきます。このSuzanneの場合は、"Monkey_base"=0、"Monkey_eye_white"=1、"Monkey_eye_black"=2......といった順です(0から始まっているため、マテリアルの数とずれてしまい少々わかりづらいです)【3-C】。
BevelモディファイアーやSolidifyモディファイアーなどで生成されるポリゴンに対してMaterial Indexを設定することで、任意のマテリアルを適用させることができます【3-D】[3-E】。
▲【3-D】Materialプロパティ②
Bevelモディファイアでは、赤で囲った設定項目に適用したいMaterial Indexの数値を入力すると、ベベルが適用されたポリゴンに指定したマテリアルを適用することができます
▲【3-E】Material Index③
Solidifyモディファイアーでは、オフセットされるポリゴンと厚み(Rim)の部分のポリゴンに適用したいMaterial Indexを設定することができます
マテリアルリストでマテリアルの順番を変えても、ポリゴンとそれに割り当てられているマテリアルとの関連性は変わりませんが、Material Indexの数値は常に上から順に0から始まるためその順番に則して変更されます【3-F】。
Profile.
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横田義生/Yoshio Yokota(Griot Groove)
3ds Max歴25年。Web3D、建築、ゲーム、CMを経て現在映像プロダクション・グリオグルーヴにディレクターとして所属。頑なに3ds Maxを使用してきましたが、そろそろ新しいツールを覚えたいと言うタイミングでBlenderに出会い仕事の傍ら猛勉強中です。もともとジェネラリストでしたが、ここしばらくは制作現場からは遠ざかっていたため、これを機に一クリエイターとして制作をしていこうと意気込んでいます