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第7回:レンダリング(1)レンダリング設定

第7回:レンダリング(1)レンダリング設定

社内にBlenderチームを結成し、デモ映像の制作を通じて日々検証を行なっているグリオグルーヴ。本連載では、3ds Max歴25年からBlenderを使い始めた同社のCGディレクター横田義生氏が、自身の経験からBlenderを始めたい人に向けたTIPSを紹介していく。

TEXT_横田義生 / Yoshio Yokota(Griot Groove)
EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(@UNIKO_LITTLE

Infomation

『DEEP HUNTER』
グリオグルーヴBlenderチームによる、Blenderで制作を完結させることを目標としたCGアニメーション作品のパイロットムービー。本連載では、この映像の制作を通してBlenderの基礎を解説していく

はじめに

今回から数回にわけて、レンダリングに関する説明をしていきます。

Blenderにはレンダリングエンジンとして、高速なリアルタイムレンダラEeveeとPhysicalベースのレンダラCyclesの2種類が用意されています(正確にはWorkbenchというレガシーなレンダラも用意されているのですが、滅多に使用することはないでしょう)。レンダリングの処理方法もEeveeに関してはGPUのみですが、CyclesはCPU、GPU、GPU+CPUと自分のPCのスペックに合わせて選択することができます。

『DEEP HUNTER』は、筆者にとってもBlenderを使用した初めてのムービー制作であったため、使い慣れた3Dツールと同じ感覚で使用できるCyclesを使って、全てのレンダリングを行いました。Cyclesを使用したもう1つの理由として、『DEEP HUNTER』のルックを表現するために、View Layerプロパティで出力されるレンダリング要素を使用して、コンポジットツールで画づくりをするためです。

最新バージョンのBlenderのEeveeでは、多くのレンダリング要素の出力が可能となっているようなので、いずれEeveeを使用した作品づくりも行なっていきたいと思っています。今回はCyclesの使用を前提として、RenderプロパティとOutputプロパティのレンダリングに関する基本的な設定項目の説明をしていきます。

制作環境
Blender 2.83.2(Portable版)
OS:Windows 10
CPU:Intel Core i7-9700K
メモリ:32GB
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2080 SUPER

<1>Renderプロパティ

Renderプロパティでは、レンダリングに関する設定を行います。最終的に出力するレンダリング結果に大きく影響する項目が多く設定も細かいため、今回はレンダリングをするための主となるパラメータの設定に絞って説明していきます。

●Render Engine/Feature Set/Device
この項目では、使用するレンダリングエンジンとデバイスの指定ができます。デバイスに関しては、使用するPCによってCPUかGPUかを適切に選択する必要があります。選択するデバイスによりレンダリングのパフォーマンスは大きく変わるので、注意してください。【1-A】


  • ◀【1-A】Renderプロパティ①Render Engine/Feature Set/Device
    Render Engineで[Eevee]を設定した場合には、[Feature Set]と[Device]の項目は表示されません

1:Render Engine
ここで、レンダリングエンジンとしてEeveeとCyclesのどちらのエンジンを使用するかを設定します。ここで選択するエンジンによって、Propertiesエディタの多くの設定項目が変化します。

2:Feature Set(Cyclesのみ)
Blenderに今後搭載される予定の機能を試験的に使用することができます。デフォルトでは[Supported]が設定されていますが、[Experimental]に切り替えると隠されていた機能が表示され、使用することができます。

3:Device(Cyclesのみ)
レンダリングにCPUとGPUどちらのデバイスを使用するかを設定することができます。ここで[GPU Compute]を選択した場合は、Preferencesの[System→Cycles Render Devices]で設定されたデバイスが使用されます【1-B】


  • ◀【1-B】Renderプロパティ②Cycles Render Devices
    Toonkit等のレンダリング関連のアドオンによっては、デバイスをCPUに設定しないとレンダリングできない場合もあります

NVIDIAのGPUを搭載しているビデオカードを使用している場合は、CUDAの項目で設定することになりますが、ここではGPU単体とGPU+CPUを指定することができます。筆者のマシン環境は、CPUはIntel Core i7-9700K、GPUはGeForce RTX 2080 Superですが、『DEEP HUNTER』のレンダリングではCPUがGPUの処理性能についていけず、GPU+CPUよりもGPU単体の設定の方がレンダリングパフォーマンスが高いという現象が発生していました。近年ではGPUの性能の進化がCPUより上回っていることもあり、多くのデバイスを使用した方が処理速度が速くなる、というわけではないことを覚えておいてください。

●Sampling
レンダリング結果のクオリティを大きく左右する設定項目です【1-C】


  • ◀【1-C】Renderプロパティ③Sampling
    サンプリングの数値を低くするとレンダリング速度は上がりますが、レンダリング結果にジャギーやノイズが発生します。View Layerプロパティで設定したレンダリング要素の中には、サンプリングが低すぎると正しい結果にならない場合がありますので注意が必要です。プリセットのプルダウンメニューにある[New Preset]の項目に名前を入力し、[+]をクリックすると、その時点のサンプリングの設定がプリセットとして登録されるため、気に入った設定を登録して後々再利用することができます

サンプリングの数値を上げると、当然最終結果のクオリティは上がっていきます。しかし、それに伴いレンダリング時間も増大します。

ここでは、レンダリング時とビューポート表示(Viewport ShadingがRendered表示)のサンプリング数を分けて設定することができます。そのため、作業時にRenderedのビューポート表示が重いと感じるときは、Viewportの項目のサンプリングを極力低く設定するようにしてください。

サンプリングの数値に関しては、シーンの複雑さやレンダリング解像度によって大きく変わってくるので、「どの数値が正解か」とは一概には言えませんが、緑枠の部分をクリックするとプリセットのプルダウンメニューが表示されるので、[Final]という設定を最終レンダリングのサンプリング数の目安にして、そこから設定を増減させて決定するのも良いと思います。

●Light Paths
この項目では光のバウンス回数を設定します【1-D】


  • ◀【1-D】Renderプロパティ④Light Paths
    GIなどの二次的な光の計算が必要のないものをレンダリングするときは、プリセットの[Direct Light]を設定すると、GIの計算を省きレンダリング時間を短縮することができます

基本的に光のバウンスが多いほど明るくなり、少ないほど暗くなります。ここでもSamplingの項目と同様にプリセットが用意されているので、そこから調整すると良いでしょう。

●Film
前回説明しましたが、ここの項目の[Transparent]にチェックを入れると、アルファチャンネル付きの画像をレンダリングすることができます(カメラから見てオブジェクトがない背景部分がマスクで抜かれている状態です)【1-E】


  • ◀【1-E】Renderプロパティ⑤Transparent
    チェックを入れることで、ビューポート上でも背景部分が格子柄になりマスクで抜かれていることを確認できます

●Performance
[Performance→Tiles]でレンダリング時のタイルの大きさを設定することができます【1-F】


  • ◀【1-F】Renderプロパティ⑥Tiles
    筆者はGPUレンダリングを行うときは、この設定はX・Y共に[256px]に設定していますが、デフォルト設定の64pxよりもレンダリング処理は速くなります

CPUでレンダリングする際は、メモリを節約するために「ある程度小さい設定」の方が計算速度が速くなると一般的には言われています。しかし、GPUレンダリングのときはGPU専用のメモリを使用するためか、タイルが大きい方がパフォーマンスが高いようです。

ビデオカードを複数枚使用しない限りタイルは1つなので、GPUレンダリング時のここでの設定は、レンダリング時間にも影響を及ぼします。



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<2>Outputプロパティ

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