デュアルGeForce RTX 5090の真価とは? M&Eクリエイターを熱と騒音から解放するGDEPソリューションズの液冷GPUワークステーション「AquSys」の破壊力
サーバ用GPUに匹敵する計算パワーを、個人のデスクサイドで静かに運用できないか――。そんなクリエイターの夢を具現化したのが、GDEPソリューションズの独自液冷GPU搭載ワークステーション「AquSys」だ。今回は特別仕様として、GeForce RTX 5090を2基搭載し、100V電源で動作する検証機を用意。3DCG制作やR&Dの第一線で活躍するコロッサスの澤田友明氏にテストを依頼し、Maya、Blender、ComfyUIなど多岐にわたるツールで徹底検証を行なった。液冷デュアルGPUがM&E分野の3DCG制作にどのような恩恵をもたらすか、じっくりとお伝えする。
澤田友明氏
コロッサス
レンダリングスペシャリスト
広告業界やB2B関係のCG制作で長年R&Dを担当。グローバルイルミネーションレンダラについても初期段階から様々な検証を行なってきた。現在は専門学校の講師も務めるほか、レンダリング関連の記事なども執筆。自宅ではAMD製CPUを搭載した自作PCを愛用する。
cls-studio.co.jp/
なぜ今"液冷"なのか —— サーバ級のパワーを居室で扱うための最適解
CG黎明期からR&D用途で数多のハードウェアとソフトウェアを検証してきた澤田友明氏に今回テストを依頼したのは、GDEPソリューションズが展開する液冷GPUワークステーション「AquSys」シリーズのオールインワンタイプ(SYS-551A-T)だ。
○液冷GPUワークステーション AquSys オールインワンタイプ SYS-551A-T
| スペック | |
|---|---|
| CPU | インテル Xeon W5-3435X(16コア/3.1GHz) |
| GPU | GeForce RTX 5090×2(液冷) |
| メモリ | 128GB(16GB×8) |
| SSD | 1TB NVMe PCIe Gen4 |
| OS | Windows 11 |
| PSU | 2500W(200V時 2500W/100V時 1400W) |
特筆すべきは、本機がGeForce RTX 5090を独自機構で液冷化し、2基搭載している点。さらに、日本の一般的なオフィスや家屋での利用を想定し、100V電源で動作するようにシステム側でGPUの消費電力を1基あたり450Wに制限(TGP制限)している。今回は、澤田氏が普段業務で使用しているPC2種を検証環境とした。
○澤田氏が会社で使用しているPC
| スペック | |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 9 9950X |
| GPU | RTX Pro 4000 Blackwell |
| メモリ | 96GB |
| SSD | 1TB(+6ドライブ) |
| OS | Windows 11 Pro |
○澤田氏が自宅で使用しているPC
| スペック | |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 9 9950X |
| GPU | RTX 5080 |
| メモリ | 64GB |
| SSD | 1TB(+5ドライブ) |
| OS | Windows 11 Pro |
そもそも、なぜGPUを液冷化する必要があるのか? GDEPソリューションズの担当者は、GPUの用途を陸上競技に例えて説明する。「ゲーム用GPUは100m走、ワークステーション用は10,000m走やマラソン、そしてサーバ用GPUはトライアスロンやグレートレースのようなものです」。AIやシミュレーションの現場では、高い処理能力を持つサーバ用GPUへのニーズが強い。
しかし、研究者やクリエイターは専用のサーバルームを持たず、200Vの電源環境もないことから、「自分のデスクのすぐ横に置いて使おう」と考える。そこでネックになるのが、かなりの騒音と排熱だ。サーバ用GPUはそれ自体にファンがなく、PC筐体側の強力なファンで強制冷却する設計のため、稼働時には爆音と猛烈な熱が発生する。
GDEPソリューションズの担当者は、AquSys開発のきっかけをこう振り返る。「使うご本人は作業に熱中して我慢できても、同じ部屋にいる周囲のメンバーから『うるさくて電話ができない』、『部屋が暑すぎる』と苦情が出てしまい、どうにかならないかと相談されるケースが多々ありました。オフィス環境を損なわずにサーバ級のパワーを手元で使ってもらう。そのために開発したのが、当社の独自液冷GPUシステムです」。
冷却効果を高めることで性能を最大限に引き出し、熱による劣化を防いで長寿命化を図る。これが液冷の最大のメリットだ。販売形態としては、今回検証したワークステーション内に全てを収めた「オールインワンタイプ」のほか、ラジエータ部を外出しにした「セパレートタイプ」、既存のシステムに追加できる「eGPUタイプ」の3種類を展開し、ユーザーの環境に合わせた導入を可能にしている。
検証機を入手した澤田氏はまず、一般的なフルタワーPCに近い外観でありながら、その静音性に驚いたという。「13個ものファンを搭載していると聞き、どれほどうるさいのかと身構えましたが、実際に動かしてみると本当に静かです。また、液冷化されたGeForce RTX 5090は水枕(ウォーターブロック)の分だけ薄くなり、前後長も短くコンパクトに収まっている点も印象的でした。重量はかなりのものですが、キャスター付きの台座に乗せて運用すれば問題ないでしょう」(澤田氏)。
MayaとBlenderで検証。GPU負荷が高まるほど際立つマルチGPUの威力
ここからは、澤田氏による実際の業務を想定した検証結果を見ていく。まずはMaya 2027.1を使用したBifrostのリキッドシミュレーションだ。CPU、GPU、メモリ、ストレージなどPC全体の総合力が試される処理となる。
まず、GPUレンダリングの負荷が少ないフェーズ(Arnold Render AA Sample3)では、会社PC(Ryzen 9 9950X搭載)が53分で完了したのに対し、検証PCのAquSysは1時間17分と、CPUの地力の差が出る結果となった。しかし、サンプリング数を上げ、GPUの計算負荷が高まる実用的なフェーズ(AA Sample10)に移行すると、2基のGeForce RTX 5090がその真価を発揮。会社PCが6時間53分、自宅PCが4時間49分かかった重い処理を、AquSysは2時間51分でクリア。特に会社PCに対しては2倍以上の大差をつける結果となった。
さらに高負荷な8Kサイズの静止画レンダリングでは、会社PCが15分かかるところをAquSysはわずか3分7秒で終え、その差は約5倍。
澤田氏が驚いたのは、その圧倒的な速度だけではない。「レンダリング中のGPU温度を計測したところ、GeForce RTX 5090×2は最大でも55.7℃。比較機のRTX Pro 4000 Blackwellが84.3℃、GeForce RTX 5080が63.3℃まで上昇したので、専用水冷システムの冷却能力の高さは尋常ではないな、と。しかも、高負荷時でもファンの回転音が急激に上がったり下がったりせず、常に一定の静かな状態を保っています。作業時のストレス要因がかなり減りますね」。
続いて、Blender 5.1.2において、Cycles Render DevicesにNVIDIA OptiXを用いたレンダリングテストを実施。
純粋なGPUパワーを測るのに適したベンチマークだ。「BarBar」と呼ばれる重いシーンでは、会社PCが54秒、自宅PCが42秒のところ、AquSysはわずか28秒で完了した。
一方で、比較的負荷の軽い「ClassRoom」シーンでは、AquSysが5秒、会社PCが11秒、自宅PCが8秒と、明確な差はつきにくかった。
これらの結果からわかるのは、処理が重く、GPUへの依存度が高まるほど、マルチGPUの並列計算能力が発揮されるということ。1基あたりの電力を本来の600Wから450Wへとセーブしているため、GPU単体としての理論値最高速ではないものの、2基による並列計算のパワーが、一般的なGPU1枚挿しのPCを完全に置き去りにするパフォーマンスを叩き出している。
生成AIでの動画生成と3DGS作成テスト。長時間駆動が前提のAIタスクを安定して支える
ここからは、AIを利用したクリエイティブワークにおけるAquSysの恩恵を検証していく。まず澤田氏はComfyUIを使用し、動画生成モデル「LTX2.3」でのテストを行なった。
デフォルト設定の5秒動画の生成では、AquSysが42秒、会社PCが1分6秒となった。一見するとわずかな差だが、生成時間を10秒に延長して負荷をかけると、AquSysが1分21秒だったのに対し、会社PCは2分29秒と倍近い差が開いた。
「生成AIのワークフローは、プロンプトやパラメータを少しずつ変えて何度もつくり直すのが基本です。この計算時間の短縮は、ローカル環境で試行錯誤する上で大きなメリットになります」と澤田氏は語る。
AIの処理においては、Ge Force RTX 5090の大きな武器である、大容量32GB VRAMの存在も見逃せない。今後のアップデートで複数GPUのVRAMを統合して扱えるようになれば、計64GBの巨大なVRAM空間を利用でき、さらに大規模なモデルのローカル運用も視野に入るだろう。
続いては、Postshot v1.1を利用した3DGS(3D Gaussian Splatting)の作成テストだ。
GPU負荷の高いタスクだが、AquSysは10分7秒で処理を完了。業務で多用されるRTX Pro 4000の17分28秒を大きく引き離した。「3DGSはクオリティを上げようとして写真の枚数を増やすほど計算時間が跳ね上がります。圧倒的なGPUパワーで処理時間をねじ伏せられる本機は、時間との戦いになる現場で重宝されるはずです」(澤田氏)。
AI関連のタスクは、数時間〜数十時間もGPUをフル稼働させることが珍しくない。澤田氏は過去に空冷のハイエンド機を連続稼働させた際、マザーボードから発煙するトラブルを経験したという。「高消費電力の空冷グラフィックボードを24時間回し続けるのは、発火リスクやパーツ劣化の観点から精神的な不安が伴います。しかし、AquSysの液冷システムなら温度が60℃を下回るうえ、450W制限がかかっているため、長時間のフルパワー稼働でも極めて安心感が高い。この心理的安全性こそが、プロの現場で高く評価されるポイントだと思います」(澤田氏)。
100V環境でのデュアルGPU運用で見えた新たな制作体験
3DCGやAI領域で無類の強さを見せたAquSysだが、全ての作業で万能というわけではなかった。それを示したのが、2D画像処理におけるテスト結果だ。
LightRoomを使用したAIデノイズ処理(6,100万画素のRAWデータ354枚)では、AquSysが1時間15分10秒だったのに対し、会社PCは1時間7分51秒と、逆転現象が起きた。また、Affinityを用いた巨大な画像のパノラマ合成テスト(68枚の画像を合成し、最終的に43,440×18,450ピクセルを出力)においても、AquSysの5分7秒に対し、会社PCが3分49秒と速い結果となった。
「この原因は明確で、これらの処理がCPUの能力に大きく依存しているからです。検証機のXeon W5-3435X(16コア)と、会社PCのRyzen 9 9950Xの地力の差が、そのまま処理スピードのちがいとして表れました。いくら最高峰のGPUを2枚積んでいても、処理の性質によってはCPUがボトルネックになってしまうという、ハードウェア構成のバランスの難しさを示す好例と言えます」と澤田氏は分析する。
全ての検証を終え、澤田氏は本機を次のように総括した。「これまでのマルチGPU搭載ワークステーションは、200V電源が必須であったり、極端に騒音が大きかったりと、一般的なクリエイターの環境には導入しづらい特殊なものでした。しかし、AquSysは100Vコンセントで運用でき、かつ液冷によって熱と騒音の問題をクリアしています。CPU依存のタスクでは構成の工夫が必要ですが、GPUに大きく依存する物理シミュレーションやレンダリング、AI生成においては、デュアルGPUの恩恵を確実に受けることができます」。
GDEPソリューションズの担当者も、静音性という特徴が思わぬ需要を生んでいると明かす。「AIのコンサルティング会社などが、顧客先にデモ機として持ち込む際に利用されるケースもあります。空冷のハイエンド機では、排熱と騒音で顧客に不快な思いをさせてしまうところ、液冷のAquSysであれば静かにデモが行えるからです。また、プロジェクションマッピングのイベントなど、暗騒音を嫌う現場からの引き合いもあります」。
100V環境という日本のインフラ上の“壁”の中、2基のGeForce RTX 5090というスペックをいかに安全に、そして静かに運用するか。GDEPソリューションズのAquSysは、クリエイターが「快適に作業に没頭できる環境」そのものを提供するソリューションと言える。M&E分野の制作現場において、新たなスタンダードとなり得る強力な選択肢である。
お問い合わせ
GDEPソリューションズ株式会社
gdep-sol.co.jp
お問い合わせはこちら
TEXT__kagaya(ハリんち)
EDIT_永田睦子/Mutsuko Nagata
PHOTO_弘田 充/Mitsuru Hirota